作品情報
朝鮮戦争から帰還した男の手記を通して、戦争が残す傷を見つめる野呂邦暢のデビュー短編。
『ある男の故郷』は『文學界』1965年11月号に掲載された野呂邦暢のデビュー作。2013年刊の『野呂邦暢小説集成1 棕櫚の葉を風にそよがせよ』に収録されている。
書籍情報
- 出版社
- 文遊社
- 発売日
- 2013-05-31
- ページ数
- 520ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784892570919
- ISBN-10
- 4892570915
- 価格
- 3080 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
故郷・諫早に根差し、日常の機微や自然を描いたものからミステリー、歴史小説まで、幅広いジャンルの作品を端正な文体によって描きながらも惜しくも早世した作家・野呂邦暢のみずみずしい筆致による初期作品をまとめます。 単行本未収録の貴重な短篇を掲載。作家の青来有一氏によるエッセイ、および中野章子氏による作品解説を収録。
野呂邦暢 1937年、9月20日、長崎市岩川町に生まれる。1945年、諫早市にある母の実家に疎開。8月9日、原爆が長崎市に投下され、原爆の閃光を諫早から目撃する。長崎市立銭座小学校の同級生の多くが被爆により亡くなった。長崎県立諫早高等学校を卒業後、様々な職を経て、19歳で自衛隊に入隊。入隊の年、諫早大水害が発生。翌年の除隊後、諫早に帰郷し、水害で変貌した故郷の町を歩いてまわり、散文や詩をしたためる。 1965年、「或る男の故郷」が第二十一回文學界新人賞佳作に入選。芥川賞候補作に「壁の絵」「白桃」「海辺の広い庭」「鳥たちの河口」が挙がったのち、1974年、自衛隊体験を描いた「草のつるぎ」で受賞。『十一月 水晶』(冬樹社)、『海辺の広い庭』『一滴の夏』『諫早菖蒲日記』『落城記』(文藝春秋)など著作多数。1980年、急逝。享年42。 エッセイ 青来有一 1958年、長崎市生まれ。長崎大教育学部卒。作家。長崎を舞台にした「ジェロニモの十字架」で95年、文學界新人賞を受賞。2001年「聖水」で芥川賞受賞。07年「爆心」で谷崎潤一郎賞と伊藤整文学賞をダブル受賞。長崎市在住。 各巻解説 中野章子 1946年、長崎市生まれ。エッセイスト。著書に『彷徨と回帰 野呂邦暢の文学世界』(西日本新聞社)、共著に『男たちの天地』『女たちの日月』(樹花舎)、共編に『野呂邦暢・長谷川修 往復書簡集』(葦書房)など。 監修 豊田健次 1936年東京生まれ。1959年早稲田大学文学部卒業。「文學界・別冊文藝春秋」編集長、「オール讀物」編集長、「文春文庫」部長を歴任。野呂邦暢の才能をいちはやく発見し、デビュー作から編集者として野呂を支え続けた。著書に『それぞれの芥川賞 直木賞』(文藝春秋)『文士のたたずまい』(ランダムハウス講談社)。
レビュー
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良い装丁です
シッカリしたステキな装丁です(手に取ることができずネットの写真だけで判断しなければならない購入予定者は他の方のレビューを読んで気を殺がれたかもしれませんが)。野呂邦暢の小説を順を追って、まとめて読むことができる喜び、製作者に感謝します。
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組版にがっかり
野呂氏の集成が出版されたことは嬉しかったが、組版にがっかり。この組版のデザイナーは、小説を読むこと、本を読むことを愛しているのだろうか。字ずらと余白のバランスが理解されていない組版は、本を読む行為に伴うあらゆる感覚への配慮に欠けている。この集成の次の発刊を待ち望む気持が失せてしまった。
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本格的な野呂邦暢再評価が始まった
みすず書房の随筆集成と合わせ、野呂邦暢が残したほぼすべての作品を読むことが可能になります。是非とも、お蔵入りしている「解纜の時」も是非収録してもらいたい。文遊社の試みに拍手を送りたいと思いますが、他の方が指摘されているよう組版がちょっと残念。同社は絶版中の海外小説を掘り起こして出版していますが、紙や印字、組み方がほぼ同じ。予算の関係があるのかもしれませんが、もう少し配慮があってもよかったかも。ということで★一つマイナスですが、完結を祈り見守りたいと思います。