Art Encouragement Prize for Minister of Education, Culture, Sports, Science and Technology
淀川にちかい町から
淀川にちかい町から is an honored work or activity connected with 岩阪恵子's artistic practice, performance, or exhibition. A related publication by 岩阪, 恵子, 1946- is confirmed for 1993.10.
Work Information
淀川にちかい町から is the work by 岩阪恵子 recognized by the award.
淀川にちかい町から was honored by an arts award that covers achievements beyond literary books, including performance, visual art, and music. Any confirmed publication is treated as connected material for that activity.
Book Information
- Publisher
- 講談社
- Published
- 1993-11-01
- Pages
- 261 pages
- Language
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062063906
- ISBN-10
- 4062063905
- Price
- 3896 JPY
- Category
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
第4回(1994年) 紫式部文学賞受賞
Reviews
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快いリズム感
作者岩坂恵子氏の文章はリズム感があって大変よい。 こういう文章を読んでいると何か救われるような気がする。
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死生観に救われる
読んでいてとても心が落ち着きます。描かれているのは小市民の日常の断片ばかり。でも、だからこそ自分の記憶や経験と直接的・間接的に関わる部分が確実にあって、親しみ深く味わい深いです。淀川近くの昭和な生活風景と大阪弁の人懐っこい響きも、小説世界にノスタルジックな詩情を湛え、より心を穏やかにしてくれます。 特に心にすっと浸透するのは、世の中のちょっとした不条理に直面した時の微妙な心理や、ドロップアウトした人や死を意識した人の心境も、人としての優劣や物事の善悪ではなく、痛みや救いに根差した素直な成り行きとして書かれていること。死生観に自由や解放性があって、不思議な納得感で満たされます。そして、死んで無になる者同士が生あるうちに縁を結ぶ、時間・空間への思慕が募るような読後感が好きです。 言葉の力で静謐に心を潤してくれる、純文学の素晴らしさに浸る1冊。殊に老境に差し掛かった頃に読むと、過去を振り返り老い先を見つめながら、あっけない死に至るまでの、小さなエピソードと繊細な喜怒哀楽が積み重なった、自分や家族や他人の凡庸な人生が愛おしくなると思います。
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「おたふく」は名作
短編集ですが、中でも「おたふく」が最高に良いです。 以前にNHK「ラジオ文芸館」で朗読をしていたのを聞いて、とても味わい深かったので、原作も読みました。 離婚して小さなうどん屋を切り盛りしている女主人のもとに元の旦那が月一回うどんを食べにくる。 そのやり取りが大人の人情の機微を感じさせ、うどん屋をとりまく周辺の人々との交流もとても気持ちよく 描写されています。 私は蕎麦派でしたが、これを読んでから関西だしのうどんのおいしさにハマってしまいました。
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まさに文学
タイトルにまず魅かれた。大阪の住人ではないが、近県に住んで大阪にはよく出かける。「淀川にちかい町」というだけで、その街並みや人々の姿が浮かぶ。時代は50年代から80年代にかけてで、作者とほぼ同世代の私には風俗や時代が持つ匂いのようなものが懐かしく共感できた。市井に生きる人々、家族や近隣の関係の中で生きる人々の日々の振る舞いと伴う心理が実に丁寧に緻密に描かれる。その一行、一行を、読むというよりも味わうような気持でたどって濃密な存在感に触れられるのが、この小説集のなによりの醍醐味である。著者の世界を見つめる眼は冷徹である。苦界であることを根底に据えながら、にもかかわらず生きるしかない人々の悲しみと喜びのあざなえる諸相を繰り広げてみせる。まさに文学というしかない。
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浪速の町に生きる庶民の哀感。
静謐な、とても愛おしくなる短編群です。 どの作品も、大阪の町並みに生きる老若男女の平穏な日々を描いています。老いの悩みや家族の死も扱っていますが、小説世界はあくまで平穏。その静穏さの中でかすかにさざなみ立つ喜怒哀楽を、作者は丁寧に適確にすくい取っています。 「子供たちが幼くてみないっしょに布団を並べて寝ていたころ、やはり細君は眠気に引き摺られながらも、できるだけ子供らのほうへ風を送ってやろうとしていたものだった。手が勝手に動いているというほうが正しいようなものだったが、その手を無意識のうちに動かしている深く濃やかなものの存在を考えると彼は哀れという思いにゆきあたった。」 達意の文章が実に心地よい。純文学の楽しさを思い知らされる、実にうれしい一冊です。