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きみが忘れた世界のおわり (講談社文庫 し 125-1)

Shosetsu Gendai Long-form Newcomer Award

きみが忘れた世界のおわり (講談社文庫 し 125-1)

Saeko Jitsuishi

Book Information

Publisher
講談社
Published
2025-12-12
Pages
336 pages
Language
日本語
Size
10.7 x 1.5 x 14.9 cm
ISBN-13
9784065419021
ISBN-10
4065419026
Price
913 JPY
Category
本/文学・評論

きみはあの事故で、わたしを忘れてしまった。 きみは描こうと決意する。事故で亡くした幼馴染――わたしの姿を。 第16回小説現代長編新人賞奨励賞受賞! いま注目の著者の一番泣けるデビュー作! 芸術を通して死者と向き合うといった普遍的な取り組みに、 死者視点の二人称と、さらにはSF的な趣向を加えた技巧的な意欲作。――宮内悠介 記憶喪失、アップデートされる幻覚、さらに夢を用いながら大切だった人を思い出していくという、とても凝った造りの作品で強く惹きつけられた。――薬丸岳 完成間近の卒業制作を酷評された蒼介は、事故で亡くした幼馴染・明音をテーマに絵を描き直そうと決意する。だが蒼介は、彼女にまつわる記憶を完全に失っていた。明音の情報を集めるうち、蒼介のイメージを投影した幻覚・アカネが現れる。固く蓋をした過去にたどり着くまでの、苦しくも力強い再生の物語。

1996年生まれ、静岡県出身。2021年、「踊れ、かっぽれ」で第11回ポプラ社小説新人賞奨励賞受賞。翌年、「リメンバー・マイ・エモーション 」(のちに本作『きみが忘れた世界のおわり』に改題)で第16回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞しデビュー。他の著書に『物語を継ぐ者は』『17歳のサリーダ』『扇谷家の不思議な家じまい』『マッドのイカれた青春』がある。

Reviews

  • 瑞々しく、しなやかな

    タイトルの時点で、もうこの作品世界への導入がなされているところが凄いと思いました。 そう、二人称の作品世界への導入が。 そしてその「きみ」という二人称でつづられる、ある絵描きの青年の「もがき」。 それは才能についてであり、人生についてであり、過去についてであり、未来についてでもあります。 主人公が青年であることから、その「もがき」に瑞々しさを感じました。 あるいは、その青年が過去を失ったことによる、ゼロからのスタートであることからの瑞々しさかもしれません。 そして、しなやか。 「きみ」と語りかける何者か。 その何者かは、青年に対して、とてもしなやかに対しています。 そのしなやかさと瑞々しさがもつれ、ほつれ、そして……。 その時、えもいわれぬ感動を受けました。 とても、面白い作品です。 末尾ながら、小説投稿サイト「カクヨム」で投稿された頃から、同じ作者の作品に接して来た者の一人として、この素晴らしい作品に触れることができ、とても嬉しく思っております。 Jさん、やったね! いや、今は実石先生、やりましたね! こんな素敵な作品を書けるなんて! 乱分乱筆失礼しました。 ではではノシ

  • 二人称ってこんなに面白いのか

    描くことでしか感情を表せない主人公と、対照的に感情豊かな登場人物たち。かなり揺さぶられた。 幼馴染について知るにつれひとつずつ何かが壊れていく描写が圧巻。二人称という小説でしか描けない世界。なんというか、芸術に触れる感覚。 肝心の絵の中身があまり描写されてないんだけど、そこに込められた想いやら背景やら葛藤やらをずっと見ているので、本当に絵が描かれていく感覚がある。たぶんそれが読後に絵画を鑑賞した感覚にさせるんだと思う。 読みながら頭のなかにそのひとなりの明音が描かれていくのがおもしろい。第16回小説現代長編新人賞奨励賞作品。

  • 意欲的な作品だが、描写に違和感を覚える

    ネタバレを含みます。ご了承のほど参考にしてください。 小説では三人称視点が用いられることが圧倒的に多い。そんな中で二人称を試みた点が評価されているのだと思う。しかし、人物造形が本著の題材である絵のように浅い。記憶が欠落した木田君のバイト先の人物が用いる言葉、会話が年齢の割に大人びていたり、親族なのにこんなに畏まって言葉を選ぶか等、会話の違和感を拭えない。まるで、音声で自動検索ができる機械の返答のようである。また、エピソードを活かしきれていない。大学生になった女子三人組との会話は真の情報だったということだろうか。話の焦点が分かりにくい。 最後に明音が登場する場面も幻夢の中でのオチなため、モヤモヤが残る。駆け足で話を終わらせた感じが否めない。そして、距離が増えるといった描写が確かあったが、意味が不明瞭。絵のように、抽象的な感性が随所に滲んでいる。全体を通して、感動はできず、ぼやけた物語だなとしか思えなかった。

  • 世界は終わってまた続く

    幽霊視点というのがよかった。村上春樹さんのアフターダークに出てくる監視カメラ視点に続く驚き。幽霊はすべてを俯瞰できるから、登場人物の描写が客観的になって外国文学のよう。それ以上にこの本で好きだったのは、カタカナのアカネという存在。他人のイメージのなかの自分と本当の自分の乖離はどんな人でも経験すると思うが、それを具体的に表したところに新鮮味を感じた。ストーリーそのものの味わいと構成上の技巧的なおもしろさの両方が楽しめてよい読書体験でした!

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