Book Information
- Publisher
- 集英社
- Published
- 2026-02-20
- Pages
- 296 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 10.5 x 1.3 x 15.2 cm
- ISBN-13
- 9784087448627
- ISBN-10
- 4087448622
- Price
- 836 JPY
- Category
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
【第36回小説すばる新人賞受賞作】 定時制高校に通いながら無職の父に代わり働く耕一郎は、ある冬、苦労して貯めた八万円が無くなっていたことに気づく。 父に問い質すと、金を使ったことを悪びれもせずに認めた上、予想を超える衝撃の言葉を言い放った。 衝動的に父を蹴り飛ばした耕一郎は、雪の中に倒れた父を放置して故郷を逃げるように去る。 しかし、僅かな所持金は瞬く間に減り、逃亡生活は厳しくなる一方。 遂に金が底をつき、すべてを諦めようとしたそのとき、 「……なに、訳あり?」 公園の隅、小さなホームレスの溜まり場から、ひとつの手が差し伸べられる。 出会いと別れを繰り返し、残酷な現実を乗り越えた先、故郷へと帰る決意を固めた耕一郎を待ち受けていたものは――。 社会から切り離される圧倒的な絶望と、心と心が深く繋がるやさしさを描いた、25歳の若き著者による感動のデビュー作。 【著者略歴】 逢崎遊 (あいざき・ゆう) 1998年沖縄県生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。2023年「正しき地図の裏側より」(「遡上の魚」を改題)で、第36回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
Reviews
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人生の3分の2を過ごしてきた僕にとっては、息子の立場として、そして父親の立場として、涙がボロボロと溢れる作品。今までにない新しい青春小説。
小説すばる新人賞の受賞作が発表されました。 二作の受賞のうち、審査員の村山由佳さん、宮部みゆきさんの推薦の言葉がこの本の帯に書かれています。 村山由佳さん 「これだけ緻密な物語をねじ伏せて書き上げる執念と熱量はなんとしても捨てがたい。たとえ好きでなくとも最後までぐいぐい読まされてしまう」 宮部みゆきさん 「本作を推しました。「筋論」の云々を超えて人を動かす「情」というもののありがたみに、主人公と共に読者の私たちもまた気づかされる。」 ということで、僕の大好きな作家の村山由佳さんと宮部みゆきさんが推す本書を、即ポチでキンドルで電子本を発売日の2月26日当日に購入しました。オーストラリアにいても、読みたい本が発売日に即読める現代のテクノロジーに感謝して、思わずX(ツイッター)で僕は以下のように呟きました。 「村山由佳さん、宮部みゆきさん、ご両人推し小説。読まない理由は僕にはない。小説すばる新人賞で僕の好きな「天使の卵」や「オロロ畑でつかまえて」を超えるだろうか・・・楽しみ」 そして村山由佳さんの仰るとおり、「最後までぐいぐい」と読まされてしまい、最後にはもう涙が止まらなくなってしまいました。 「完読。もう涙が止まらない。恋愛小説でないのに、胸の奥が締め付けられる。村山由佳さんとも宮部みゆきさんとも全く違う。父親と息子の関係、そしてお金を得て生活するための仕事と生きることを実感するための仕事。逢崎遊さん、凄すぎ。」 これは、父親と息子(主人公)の関係を軸としながらも、世の中で言われている底辺の職業に就く人々との交わり、そこで生きていくためのお金を稼ぐ仕事と、生きがい・生きている証としての仕事、絶望のどん底の中でどうやって生きる希望を灯していくのか。。。など僕の娘と同い年の作者、逢崎遊(あいざき・ゆう)さんの「緻密な物語をねじ伏せて書き上げる執念と熱量(村山由佳談)」に圧倒されてしまいました。 そして、読書中、今年84歳になった自分の父親との関係、そして今年25歳になる自分の娘や30歳になる息子との関係を思い起こしながら、子として、そして親として過ごした日々を振り返る自分があり、読後には感情の昂りで、涙が止まらなくなってしまいました。 主人公と係る(過去に傷を負った)人々も、主人公と「情」でつながっているのがよくわかり、オイルライター、自転車、腕時計、たこ焼き屋台、金属加工(旋盤)、新幹線とローカル線ディーゼル汽車、など物語をより現実的に具体化するアイテム(?)も、ぐいぐいと物語に引き込まれる要因なのかもしれません。 いやー、小説すばる新人賞の受賞作って、本当に良いですね。
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私の亡き父と話をしたくなりました
主人公の思い違いなどから、不幸な彷徨に人生が変わったように物語が始まりました・・ そこで経験した様々な事が、後々に生き別れになった父親の息子に対する愛情を強く感じ、そしてより幸せに向かって行こうという決意に変わっていく・・物語の後半はじぃ~んと来ました。 私も父を13年前に亡くし、今は2人の孫のおじいちゃんになりましたが、もう一度父親の声だけでもいいから、聴きたい!!!そんな想いにかられたとても感動的な作品です。宮部みゆきさん、村山由佳さんが帯にて絶賛され、小説すばる賞を受賞されるのが分かります。 島崎さんのこれからの出版本に、期待しております。
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面白かったです
小説としてよむなら、面白かったです 引き上げ者の苦労がよく伝わり、改めて中国人や韓国人の非動さや、人としての倫理の外れた行動に寒気がしました。
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考えさせられた本です
新聞の紹介記事で興味を持って電子版を買いました 初めの方からわりとページを捲る手が止まらず読み進みましたが、後半は本当に続きが気になって一気に読み切りました いい本でした
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共感せずにいられない
あらすじのインパクトに 戦慄しながら手にしたのですが 満塁ホームラン級のアタリでした。 過酷な家庭環境で忍耐を重ねていた少年が、 ついには限界を超え、暴発し、 悲惨な逃亡生活に身を落としていく物語です。 何このリアルさ! グサグサに刺さったじゃないですか。 ホームレスや、日雇い労働者の日常が 真に迫っていて、寄る辺なく生きる 難しさが身に沁みましたよ。 人情に魂を揺さぶられる場面もたびたび。 主人公が人の温かさを引き寄せたのは、 彼自身の心根が澄んでいたから だろうと感じましたね。 登場する不器用すぎる人々の歩みからは、 “人生を無駄にするな!”という 読者への強烈なメッセージを感じました。 冒頭からしてあまりに不穏なので、 どこまで堕ちるかハラハラしましたが、 心安らぐ終幕に限りなく満たされましたよ。 (対象年齢は13歳半以上かな?)
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正直な小説
とても良かった。 人も物語も丁寧に描かれていて、静かに強く結末まで運んでくれた。 主人公の生き方は、若くヒリヒリとして、不安や痛みを与えるけれど、その分正直な生き方や感情に、読み手としても嘘はつけないように思った。 普通は予想のできる展開は、読者の心を離すけれど、まるでそんなことはなく、読みながら願った流れが、心地良く胸に沁みてきた。優しく心を温めてくれた。 そんな読書体験だった。
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読んで良かった
最近の小説はどうも薄いと感じていましたが、この小説は違いました。 これだけの作品を次々と発表するのは難しいかも知れませんが、この著者には時間をかけても着実に良い作品を発表していただきたいと思います。
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人柄と面倒見がよく、誰よりも耕一郎のことを考えてくれるおっちゃんが好きだった
密かにアルバイトで貯めていたお金を父親に盗まれ、さらに自分の恋人を陵辱されたことで、逆上して父親に暴行を加え雪の中に放置した罪の意識から、逃亡生活を送る井口耕一郎。 ホームレス、日雇い労働者、屋台、町工場と様々な経験や仕事をしながら、人との縁を育み、自分の過去の罪とに向き合っていく姿に心を打たれた。 住むところもなく所持金が減っていく恐怖に怯える序盤。 ダンボールで作った家という生活拠点を手に入れても、些細なことで感情が振り回させる日々。 居場所を探して転々と歩き続け少しは娯楽を楽しめるようになった日雇い環境。 そして日雇い労働で出会ったおっちゃんとの共同生活と屋台の仕事を始める中盤。 中盤から後半は、人間関係が一気に広がるとともに、日々の平穏を望みながら穏やかに過ごすおっちゃんとの温かい関係性も好きだった。 人柄と面倒見がよく、誰よりも耕一郎のことを考えてくれるおっちゃんと出会えたからこそ、自分の気持ちに正直になったり、誠意を相手に伝えることができるようになったのだと思う。 物語の終盤は、自分の過去を清算する旅に出るのだが、自分の罪としっかり向き合うことを決意し、父親のその後を知った耕一郎のやりきれない気持ちは切なかった。