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シリアの家族

Kaiko Takeshi Nonfiction Award

シリアの家族

Yuka Komatsu

A nonfiction work by Yuka Komatsu following a Syrian family through civil war and displacement, portraying ordinary people living through historic change.

Syriarefugeesfamilycivil wardocumentation

Work Information

A nonfiction account in which the author, a photographer and wife of a Syrian refugee, records the lives of ordinary people.

Syria no Kazoku is a nonfiction work by Yuka Komatsu, published by Shueisha in November 2025. It received the 23rd Kaiko Takeshi Nonfiction Award.

Book Information

Publisher
集英社
Published
2025-11-26
Pages
328 pages
Language
日本語
Size
13.4 x 2.6 x 19.4 cm
ISBN-13
9784087817737
ISBN-10
4087817733
Price
2420 JPY
Category
本/ノンフィクション/思想・社会/軍事問題

第23回開高健ノンフィクション賞受賞作 選考委員大絶賛! 書き手自身を取り巻く「人間」を、シリアの政治と歴史への深い理解とともに厚みをもって描ききった。 加藤陽子 (東京大学教授・歴史学者) 大家族の幸せな記憶、その一瞬の光芒が眼前に浮かんできそうだ。名作である。 姜尚中 (政治学者) もはや言葉にすらできぬ過酷な日常を現実として生きた/生き続ける女性がいる。 藤沢 周 (作家) 世界が抱える矛盾を独自の視点で描ききった秀作。 堀川惠子 (ノンフィクション作家) 秘密警察も移民となったシリア人も政府軍兵士もイラン軍兵士も、すべて等身大の人間として描かれている。 森 達也 (映画監督・作家) ※五十音順/選評より 風土に根差して生きる人々を撮り続ける著者は、シリアの沙漠で総勢70名という大家族アブドゥルラティーフ一家と出会い、その十二男、ラドワンと恋に落ちる。 やがて「アラブの春」から始まるシリア内戦に巻き込まれ、ラドワンは徴兵され、六男サーメルは政治犯として逮捕される。一家は故郷パルミラを追われ、難民として散り散りになってしまう。 脱走兵としてヨルダンに逃れたラドワンと結婚し、「シリアの家族」の一員となった著者は、異郷に生きる難民たちの取材を始める。 難民となりトルコで暮らして5年。一家の長である義父・ガーセムが、故郷に帰る夢を叶えることなく永眠した。アブドゥルラティーフ家の故郷パルミラの今を見たい……。著者は11年ぶりにシリアに向かい、秘密警察の監視や親族による軟禁をくぐり抜け、かつて一家が暮らした家にたどり着く。 命がけの取材から帰還した著者を待ち受けていたのは、夫ラドワンの「第二夫人を娶りたい」という驚きの一言だった……。 2024年12月、生きて故郷の土を踏むことはないと思っていたラドワン、そして多くのシリア難民に転機が訪れる。半世紀以上にわたって独裁を続けてきたアサド政権が崩壊したのだ。 政権崩壊から8日後、著者はラドワンと長男と共にシリアに入る。逮捕されたサーメルの消息を求め、「人間虐殺の場」と呼ばれたサイドナヤ刑務所を訪れる。その現場で目にしたもの、そして数少ない生存者が語った言葉は衝撃的なものだった。 激動のシリアを生きた市井の人々の、等身大の姿を描くノンフィクション。 小松由佳 (こまつ・ゆか) ドキュメンタリー写真家。1982年、秋田県生まれ。2006年、世界第2位の高峰K2(8611m/パキスタン)に日本人女性として初めて登頂し、植村直己冒険賞を受賞。風土に根ざした人間の営みに惹かれ、草原や沙漠を旅しながら写真家を志す。12年からシリア内戦・難民を取材。著書に『人間の土地へ』(20年 集英社インターナショナル)など。25年、本作品で第23回開高健ノンフィクション賞を受賞。日本写真家協会会員。

Reviews

  • 小松 由佳著「人間の土地へ」→「シリアの家族」両方おすすめです

    冒険系のノンフィクション作品を読むのが好きで、なんとなくその繋がりで読んでみようかと思い、 図書館で借りた小松由佳著『人間の土地へ』面白すぎて結局購入し、『シリアの家族』も購入した。 登頂が困難で致死率25%と言われる非情の山K2に日本人女性として 初登頂した際のプロローグから始まり、やがて山を降り、その土地に生きる人々を撮りたいと写真家に転身し、 内戦前のシリアに魅せられ、継続的に取材を重ねるうちに、砂漠の土地パルミラで生きる家族に出会い、 その中の末っ子と恋に落ちる。 その後今世紀最大の人道危機と呼ばれる内戦が勃発し、幸せだったシリアの家族が難民となり、その後の 様子も継続的に取材する。やがてそのシリア人男性と結婚し、日本での共同生活を送る。1歳、3歳の子供 を抱えてシリア、トルコ、レバノンでの取材を継続し、時の情勢を伝える。ごく簡単な本の概要はこの通りである。 かなり稀有な生き方をした著者の目を通したシリア情勢がメインの著書である。 しかし、冒頭のK2登頂の情景が美しい。そこからどのようにシリアにたどり着くのかも書かれているが、 結局のところプロローグにそれを持ってきたあたり原点はK2登頂にあるのではないだろうか。 冒険や探検について考える。現代においてはもはや地図的な空白地帯は存在せず、未踏のどこかの地域を探検し、 新しいルートを開拓しても、それは一つのバリエーションルートということで、スポーツとしての登山では偉業であるが 社会的な価値としては昔よりは乏しい。今現在、到達できない地域や山は、ほとんどなく、あるとしても自然環境が過酷というよりは、宗教・政治的理由で到達できない地域が多い。 そんな中、現代の探検者は、「到達」や「発見」の概念の変革が求められている。 一つはアルパインスタイル。酸素ボンベなどの装備をできるだけ排除し、己の肉体に全てを委ねるスタイルでの登山や 冒険。その派生としての冒険・探検としては服部文祥氏の実践するサバイバル登山。山の中で狩猟や採集を続け、自力で どこまで行けるのかを試す試みや角幡唯介氏の北極圏極夜で狩猟を続けながら極北を目指す旅などが挙げられる。 いづれも従来の登山史や冒険史としては業績として挙げられることのない。というか、古代には当たり前にあった様式の活動であるが現代では逆に困難になった活動をあえて実践することで内なる探検に取り組む活動に意味を見出す潮流がある。 もう一つは今現在、政治的・宗教的理由で到達できない地域にあえて切り込んでいくスタイルの冒険。 例を挙げると、『西南シルクロードは密林に消える』に代表される高野 秀行氏。あえて武装地帯や、 アフリカの海賊国家プントランド、未承認国家ソマリランドなどに潜入する危険な探検を通した報告をしている。 そして、そのような変わった探検や冒険を試みる人達のキャリアは登山から出発している人が多い。 つまりは、日本における身近な探検はまずは登山であり、安易な低山ですら遭難のリスクはあり、探検の要素を含んでいる。さらには登山の難易度をどんどんと高めていき、その最高峰まで到達したのが小松 由佳氏であろう。 大学の山岳部の人にヒマラヤ登山を体験した人がいたが、その美しさや、道端にいまだに回収できない遺体が放置されている様子などを見て、美しさと死について考えさせられたと言っていた。その人もどこか浮世離れしており、あまり、俗世に関心がないようにも見えた。登山やその他の冒険に魅せられた人は、そこに到達するまでの体力や技術、サバイバル能力が身についており、それに裏打ちされた自信がある。その為さらに困難な到達地点を目指そうとする。というか もはや一般人の私から見ると事故傾性に類似した、危険にあえて向かっていきたい衝動を持ってしまっているようにも 見える。困難な新しいルートである山の登頂が出来たことや、無補給で北極点まで到達できることがどれほど価値が あるのかもはや分からないが、本人の内面的には人生を賭けるほどの価値があることなのだろう。それはその後の報告 を読むと伝わってくる。 その一環に小松由佳氏が山から降りた後の活動もあるのではないか。つまりは山という壮大な探検のフィールドから離れたが、シリアという政治的に困難なフィールドでの冒険は続いている。しかも、単純に自己満足のためだけの冒険ではなく、シビアな環境の中に入り、イスラム社会の家族や人間関係という異文化のフィールドの複雑な探索をし、報告している。その環境に身を投げ入れる。シンプルにイスラム文化に溶け込もうとした体験や秘密警察に狙われた体験など、著書を読んでいるとまさに、アブソーブド インやインヴォルブド インと言えそうなヒヤヒヤした報告が多々ある。 それら全て、冒頭のK2登頂の体験記に帰結するように、自己の探検記として読み取れる。 『シリアの家族』は『人間の土地へ』の続編と捉えられることもでき、その冒頭はやはり美しい。 出口のない砂漠の暗夜を無灯火のバイクが走る。砂嵐に巻き込まれ「ベドウィンはいないのか!」と叫ぶ。 安易な例えで申し訳ないが、砂漠の生活では映画「DUNE」みたいな状況が本当にあるのかと。 『シリアの家族』ではアサド政権崩壊後の、シリア難民の帰還までを引き続き報告している。 更にイスラム文化に溶け込もうとする著者の遭遇する困難やその先に進もうとする理由も興味深い。 昨今の複雑・緊迫化する中東情勢の理解の一助になる一冊でもある。

  • シリアの一般の人々の暮らしぶりが分かる本

    著者は写真家で、シリア人と結婚し、アサド政権下で夫やその一族がどんな生活をしたか取材して本書を著わした。アサド政権下及び崩壊後のシリアの人々の暮らしぶりは、ニュースで報じられることが少ないので、本書は貴重だ。

  • 小松由佳さん、これからも頑張って!

    とても読みやすく、しかも緊張感をもって読んだ。次はどうなるだろうと展開が気になり一気に読んでしまった。

  • 第二部は圧巻でした!

    写真の迫力が文章を引き立てていて、受賞は妥当だと思います。

  • 読み始めたらとまらなかった

    ニュースでは断片的にしか見えてこないシリアの現状。写真家として、シリア人の家族を持つ一人の女性として、シリアが歩んできた道を丁寧かつ冷静に伝えてくれている。シリアに生きる市民、反政府軍、政府軍、さまざまな人たちの葛藤を彼女のカメラのレンズと通して近くで見ているようだった。この本と読むと、なぜアサドがロシアに亡命できたのか、これからのシリアのことも中東情勢もよく分かる。ミクロとマクロの視点でシリアを理解できる良質なノンフィクション。幼い子供を育てながらの危険な取材、取材費のためにウーバーでのアルバイトなど、人生をかけて取材している著者の姿勢にも女性として感銘し刺激をうけた。

  • 人として無視できない一冊

    シリアの現状を理解するのに最適な本です。

  • シリアを生で知る

    大使館が閉鎖され危険情報が出ているシリアをバイタリティ溢れた取材を通して著者ならでは書けない国情を知ることが出来ました

  • リアル!

    世界の今を切り取った本物のリアルが体験できる秀作。

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