絡繰り心中<新装版> (小学館文庫 Jな 01-1)
The young Kinshiro Toyama has left his hatamoto household and lives in town as an apprentice flute player for kabuki. After finding the body of a courtesan near Yoshiwara, he joins a kyoka poet and an ukiyo-e artist in uncovering the sorrow behind a woman who had longed for double suicide.
Work Information
A young Kinshiro living among townspeople follows the hidden mechanisms behind a courtesan's death.
Karakuri Shinju is a historical mystery about the young Kinshiro Toyama, later famous as Toyama no Kin-san. Living outside his samurai household as a flute apprentice in a kabuki theater, Kinshiro investigates the murder of a courtesan in Yoshiwara. With figures such as Ota Nanpo and Utagawa Kunisada involved, the novel reveals loneliness and grief beneath Edo's glittering culture.
Review Summaries
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Readers find the Edo atmosphere and the young Kinshiro premise accessible, and many are drawn into the mystery of the courtesan's death. Some want deeper characterization, but the novel is appreciated as a brisk historical mystery.
Book Information
- Publisher
- 小学館
- Published
- 2023-12-06
- Pages
- 320 pages
- Language
- 日本語
- Size
- 10.5 x 1.5 x 15 cm
- ISBN-13
- 9784094073157
- ISBN-10
- 4094073159
- Price
- 781 JPY
- Category
- 本/文学・評論/歴史・時代小説/19世紀
直木賞作家の珠玉にして衝撃のデビュー作! 旗本の息子だが、ゆえあって家を出て町に暮らし、歌舞伎・森田座の笛方見習いをしている遠山金四郎は、朝帰りの日本堤田んぼで、女の骸を見つけた。 花魁の雛菊が斬り殺されていたのだ。 昨夜、狂歌師にして、戯作者でもある大田南畝の御伴で吉原遊廓で戯れた折、金四郎の隣に座っていた稲本屋の女だ。 胸の靄が晴れぬ中、興行の手伝いに戻る金四郎だったが、急に遠国に派遣されていたはずの父・景晋に呼び出され、素行を糺される。 景晋と旧知の間柄で、金四郎を心配して顔を見せた南畝の咄嗟の機転で難を逃れるも、なぜか雛菊の下手人探しをする羽目に――。 雛菊に妙な縁がある、森田座の役者絵を手掛ける浮世絵師・歌川国貞とともに、事の真相を探り始める金四郎。 調べるうちに、雛菊は座敷に出るたびに相手の男へ心中を持ちかけていたことが知れる。 一体何が雛菊を死へ向かわせたのか? 心中を望む事情を解き明かしたはいいが、重荷を背負った金四郎は……。 直木賞作家の珠玉にして、衝撃のデビュー作。 【編集担当からのおすすめ情報】 2010年に「第11回小学館文庫小説賞」を受賞以来、新田次郎文学賞・山本周五郎賞・直木三十五賞を立て続けに受賞した、押しも押されもせぬ実力派作家のデビュー作です。。選考した人たちは、とても応募作とは思えなかったのではないでしょうか。もちろん、『福を届けよ 日本橋紙問屋商い心得』『横濱王』もおすすめです!
Reviews
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若き頃の遠山の金さん👍
とても面白く読み進めました。この作者さんの作品は初めてだったのですが、他の作品も読みたく成りました。
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恋の手本となりにけり
面白かったです。とても読みやすい文章で一気に読めます。読み終わった後は、渦中の女性(花魁)への余韻が抜けません。若かりし頃の遠山の金さんも人情味が溢れていてとても素敵でした。
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若き遠山金四郎の目を通じて家と身分に縛られた時代の残酷さをミステリ仕立てで描き出した著者のデビュー作
「木挽町のあだ討ち」で見事に直木賞を授与した作家・永井紗耶子のデビュー作が新装版として刊行されると伺い拝読。なおこの作品、再刊が二度目らしいが「恋の手本となりにけり」「部屋住み遠山金四郎絡繰り心中」とその都度タイトルが変わっているらしいのでご注意。 物語の方は文化8年(1811年)如月朔日の江戸は吉原、その周囲を取り囲むおはぐろどぶの傍にある田んぼで一人の遊女が切り殺されているのを男芸者のなりをした若い男が発見する場面から始まる。男の名は遠山金四郎。番所に知らせた金四郎は先刻まで上がっていた妓楼に取って返して世話になっている太田南畝に報告。 女の正体が稲本楼の雛菊という遊女であった事を突き止め、南畝の座敷にも上がっていた事を思い出す金四郎だったが木挽町の芝居小屋で笛方として過ごしている身としてはどうともできず翌日も芝居小屋へ出る羽目に。芳村と名乗って働いてた金四郎だったが、その日遣いの物に指名で呼び出され「笛方の自分に誰が何の用を」と訝しみながら呼び出された料理屋に向かうと待っていたのは父親の遠山景晋。 遠山の家を出奔し町暮らしを続ける理由を跡継ぎの問題にあるのかと正面から問い質されて窮地に追いやられる金四郎だったが、そこへ姿を見せた太田南畝が「今朝の遊女殺しを調べたいと殊勝な事を申されるので」とカバーした事で思ってもみなかった遊女・雛菊殺しの犯人を捜す事に…… ……主人公の人物造形が非常にユニーク。遠山金四郎が主人公なのに「北町奉行」でも「庶民、下手すれば与太郎みたいな若き日の金さん」でもなく、「悩める若様」として描く作品とはまったくもって予想外。世間ずれしておらず、自分の身の上にも惑う未熟さ全開の遠山金四郎を描きその上で「遠山の金さん」へと結びつけるのだから堪らない。 物語の方は上でご紹介させて頂いた冒頭部分からもお分かり頂ける様に金四郎が遊女を殺した真犯人を突き止めるミステリ仕立て。ただ、ミステリ要素の方はおまけみたいなもので、作者が掘り下げたかったテーマは誰もが、特に武家に生まれた人間が生まれついた身分やイエ制度に縛られた時代の不幸と残酷さの方だったのかも 何しろこの作品登場人物が、特に事件の真相に絡む人物が悉く身分や家に縛り付けられているし、何となれば探偵役の金四郎も含めて各人が取った行動の動機も身分と家に根差している。武家の家に生まれながら父親の急逝で家が改易同然となりガラの悪い親戚に預けられた挙句、吉原に遊女として売られた雛菊の身の上なんかはその象徴かも。 そう考えるとオリジナル版のタイトル「恋の手本になりにけり」はその事情を象徴しており、心中という形でイエ制度に縛られたまま恋を知ることもなく苦界に落とされた雛菊の「せめて心中という形で自由な恋に生きて死んだ女として語られたい」という悲痛な願いを見事に反映していたかと(そういう意味ではタイトルはオリジナル版の方が良かったとも言える) そして金四郎が事件の真相に迫れば迫るほどに見えてくるのは人が家に縛られた世界に生きるしか無い時代の残酷さである。雛菊が心中を持ち掛けた相手も、雛菊を殺めた真犯人ですらもが悉く「身分への束縛と身分を離れた生き方を許さない世界を恨み、歪んだ生き方しかできなくなっていくのだから惨い。 ただ、この辺りは「親ガチャ」などという言葉が流行る現代の世相を考えるとどこか共感を覚える方もいらっしゃるのではないかと愚考する次第。 そしてこの事件の真相に挑む金四郎自身がまた置かれた境遇に悩む若者として描かれるのだから徹底している。旗本・遠山景晋が学問吟味で高成績を収めて出世の道に乗った事は有名だけれども、景晋が直に家を金四郎に継がせず婿養子として入った家の実子(要するに金四郎にとっては義兄の様な人物)に継がせたという史実を見事に反映させている。 父親に取り入ろうとする手合いが義兄を貶め自身を持ち上げる様な事を平然と口にする事に耐えかねて出奔したというのは謎とされる遠山金四郎の若き日の出奔に対する面白い解釈と言えよう。そして本作はそんな自身が突き付けられている身分への束縛が絡んだ事件の調査を経て金四郎が成長していく物語であるとも言える。 若者の成長物語として未熟な金四郎を見守る存在として太田南畝の様な時代を代表する粋人を配置したのも気が利いている。真面目で機転も融通もきかない金四郎を揶揄い、時に窘めながら見守る南畝の人物造形が金四郎の未熟さと見事にコントラストを描いていた(遠山景晋と太田南畝が学問吟味を経て出世したという所に目を付けたのも見事) 何より事件の真相を解き明かし時代の不幸を、身分に縛り付けられた江戸時代の人々の不幸を思い知らされるという形で金四郎が後の「遠山の金さん」へと向かっていく事を予期させるラストシーンが素晴らしかった。誰もが知っている人物の若き日の物語、即ち前日譚としても楽しめる、本作はそんな一冊。
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可もなく不可もなく
期待して読んだが、若き日の遠山金四郎らしき人物が物語を展開していくが、絡みの登場人物との関わり合いが、あまりにも出来過ぎだと感じた。