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地球環境報告 (岩波新書 新赤版 33)

毎日出版文化賞

地球環境報告 (岩波新書 新赤版 33)

石弘之

『地球環境報告』は石弘之による、事実や資料を手がかりに、対象の輪郭を丹念に追う作品です。受賞作として、題名が示す主題を軸に、読後に残る余韻を重んじた一作として位置づけられます。

記録人物像時代社会

作品情報

『地球環境報告』は、短い題名の奥に人物、時代、土地の気配を重ねる作品です。

岩波書店刊行の『地球環境報告』に収められた作品です。『地球環境報告』は石弘之による、事実や資料を手がかりに、対象の輪郭を丹念に追う作品です。受賞作として、題名が示す主題を軸に、読後に残る余韻を重んじた一作として位置づけられます。

書籍情報

出版社
岩波書店
発売日
1988-08-22
ページ数
258ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784004300335
ISBN-10
4004300339
価格
311 JPY
カテゴリ
本/アート・建築・デザイン/建築/建設・土木/建築・土木工学

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レビュー

  • 人の営みは本源的に環境の負担なのか。

    環境問題の重要性が叫ばれてから既に久しく、最近では温暖化の問題なども世間の耳目を集めているのですが、問題の所在に対する一般の理解はまだまだ甘いのではないかと思います。恥ずかしながら小生自信も、「環境」といえば「公害」を連想し、有毒物質の排出規制や絶滅寸前の種の保護といった事柄だけを思い浮かべるといった具合でした。 本書は、そうした表層的な問題設定を超えて、世界中の様々な環境危機の事例を紹介しつつ、十分なデータを添えながら、環境問題の全体像と問題の所在の本質とを極めて分かり易く示してくれているように思います。すなわち、人口爆発と無謀な農業開発による森林破壊や土壌浸食、生態破壊による自然災害激化の構図、有害物質による地球的規模の汚染、そしてそれらの問題の根底にある貧富の格差や先進国による公害輸出などなど、この地球上における人類の営みが、自然環境に対して如何に無理を強いているかが一目瞭然に語られています。まるで人類は地球にとってのガン細胞なのではないかと思えてしまうほど、人の営みと環境破壊が密接に関わっていることが分かります。 読んでいて暗澹たる気持ちを禁じえませんでしたが、「あとがき」の部分にはほんの僅かながら希望の兆しが示されていました。子供や子孫たちのためにも、環境問題をきちんと勉強しなければいけないと思いました。

  • 進行する環境問題

    進行する環境問題の警鐘。 なかなか自分の足では世界中を歩けないので、本書のような報告は助かります。 公害対応先進国の日本は、公害を輸出するのではなく、公害対策を輸出すべきなのだと思っています。 どうすればうまくかみ合うか、その視点をつかみたい。

  • 名著だが、放射能汚染の問題を取り上げて居ない事は驚き

    朝日新聞にその人有りと言はれた石弘之氏の本である。人口問題、森林破壊、砂漠化、土壌流失、有機スズ問題、農薬問題など、多岐に渡る事柄を分かり易く解説した名著である。特に、地球環境問題を南北問題と表裏一体の問題として分析、論じて居る点が秀逸である。(スーダンの砂漠化に関する個所など、その後のスーダン情勢を意識しながら読むと、非常に考えさせられる物が有る。) 本当に素晴らしい本なのだが、チェルノブイリ原発事故をはじめとする放射能汚染の問題を取り上げて居ないのは何故なのか、不思議である。(よって、不本意だが、星4つとする) (西岡昌紀・内科医/チェルノブイリ原発事故から25年目の日に)

  • 「温暖化」登場前夜の環境問題

    約20年前に地球環境問題,とくに人口の問題から砂漠化や農業問題などをわかりやすく解説し,世に知らしめたといっても良い本.もはや環境問題の古典かもしれませんね. 学生の頃読んだのですが,あらためて読み直してみました. あれから20年.問題の本質はほとんど変わってないんだなと感じました. ただ,この当時は急激な人口増加と南北問題を背景とする食糧危機への危惧がかなり強かったのですね.アフリカ諸国とくにエチオピアにおける飢饉の印象が相当に強かったためでしょう.なので砂漠化や土壌浸食による耕地面積の減少が主要な関心事項になっています. これ以外に印象的だったのは,六章の「増える災害の犠牲者」で語られていること. 好感を覚えるのは,「災害」の質の違いをきちんと考察していること. 多発する気象災害とそれによる犠牲者の増大の主要な要因を気象条件の変化によるものではなく,人口増加と土地の不足によって引き起こされた「人災」だと結論づけている点です. さて,もし今同じ章をこの著者が執筆したとするとどのように書くのか? くしくも本書が出版された1988年にはじめて「温暖化」という問題が浮上.たぶん今ならきっと,地球温暖化によって災害が増えていると結論づけるのではないか.そんな気がします.体の良いラベルが登場する前だったからより深く考察されているのかも知れません. 本書をあらためて読んで,「地球環境」問題も時代背景が変わると問題も変わるんだなっという,本筋とは違う部分に妙な印象を持ちました. たまには古典に帰るのも良いかも知れませんね.

  • 貧困が生み出す悪循環

    最近の災害の規模が大きいのは、焼き畑などの人災がが関与していることは周知。 この本は、断片的な知識をまとめさせてくれます。 人口が増加し、食糧不足になる。 焼き畑を行う。 降雨の際、森林が消滅したため、土壌が流される。 燃料としての木、原料としての木材が不足する。 よって食糧が賄えなくなる。 さらに、焼き畑を行う。 人口過密を抑えるために、政府が強制移住を行う。 非人道的なことばかりで、目を覆いたくなります。 この現実と向き合わなければ、明日はないと思います。 現在は、当時よりも悲惨な状況だと思います。 それを認識して、政府や企業のあり方を考え直す時期に来ていると思います。

  • 環境問題のイントロダクション

    本著は、大学受験の小論文対策として読んだが 環境問題に関するイントロダクションとしては 最適な文献ではないでしょうか。 ローマクラブの「成長の限界」や その続編の「限界を超えて」、 アル・ゴア元米国副大統領の「Earth in the balance」等を 読む前に、イントロダクションとして本著を読まれることを お薦めしたい。 特に、高校生や環境問題に関心を持たれた方には 読みやすく、分量的にもそれほど長くもなく リーズナブルな価格であることもあり、 イントロダクションとして最適ではないかと考えます。

  • 利権 × 環境 × 人権について、貧困や砂漠化や政治から考えてみる手引き書

    ちょっと古くは、自然環境の再生能力を超えて、動植物を採取しすぎることなどから、自然破壊が生じるという、素朴な環境破壊論もあった。 今では、巨大産業や大地主さらに国家が自らの利益の拡大を目指して、動植物などの自然環境や鉱物資源、戦略的動植物の栽培などを通じて、 利益の集積を狙うとともに、土地や養分、水分、乾燥状態に悪い影響を及ぼしており、アジア、アフリカ、中南米の熱帯付近や亜熱帯で砂漠が拡大し、 人々や動植物の生活圏が結果的に減少している。 五輪の開催されたメキシコや、今季リオ五輪が開催されるブラジルは人口面で集積度の高い都市である。その構成人口の多くは、 十分な収入を得られずにスラム街で生活する貧民が構成していると報告している。 農産物の土地からの収奪事例が多く報告されているが、マレーシアでの核汚染鉱滓の放置公害などにも、若干触れている。 必要十分な生活の糧が得られない場合、住民は住んでいた土地を離れ、都市のスラムに集まる。 土地の所有は一層大地主へと集中し、大企業や大地主が、労働者や小作人および、土地や水資源などを搾取する活動が拡大する。 共産主義国家においても、資本主義社会と同じように、富の搾取と環境破壊が同時進行している。 こういった、環境の変化や破壊を、どのようにとらえるのがよいのか、多少は文学的な表現も用いて、コンパクトにまとめられている。 問題提起の新書としては、読みやすい。 個別の事例については、別途資料を調査して、裏付けをとったほうが良いであろう。 そういった点、環境を考えてみるための入門書である。

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