作品情報
毎日出版文化賞で評価された、白幡洋三郎の表現を伝える一作です。
『プラントハンター:ヨーロッパの植物熱と日本』は、毎日出版文化賞の1994-1回で取り上げられた作品です。白幡洋三郎の関心や筆致がうかがえる作品として、同賞の文脈のなかで読まれてきました。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 1994-02-01
- ページ数
- 286ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062580069
- ISBN-10
- 4062580063
- 価格
- 1980 JPY
- カテゴリ
- 本/科学・テクノロジー/生物・バイオテクノロジー/植物学
19世紀イギリス。誰も知らない珍しい花や樹々を求め、国中が沸きたっていた。この要求に応えて世界をかけめぐるプラントハンターたち。ラン、チャ、ユリ……。エキゾチックなあこがれを満たすべく、彼らはジヤワ、中国、そしてニッポンをめざす。豊富な文献渉猟から植物をめぐる文化交流をあざやかに位置づけた力作。
1949年生まれ。京都大学大学院農学研究科林学専攻博士課程修了。農学博士。現在、国際日本文化研究センター教授。専攻は比較文化、産業技術史。著書に、『図説・万国博覧会史』(共著・思文閣出版)、『造園の歴史と文化』(共著・養賢堂)などがある。
レビュー
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バンクスはその人の身分など気にせずにただ優秀と信じた人を送り出した
前半は、プラントハンターの誕生から、バンクスを始めとした代表的なプラントハンターの業績を紹介している。 後半は、江戸末期から明治にかけて、日本を訪れたプラントハンターを紹介している。 バンクスは自らもプラントハンターとして海外を回ったが、成功した後は、多くの才能を見出して海外へ送り出した。 そうした人々の多くは、バンクスの周囲で働いていた人々だが、生まれや素性がわからない人が多いという。 バンクスはその人の身分など全く気にせずに、ただプラントハンターとして優秀と信じた人を送り出した。 何ともイギリスのお国柄がよく表れているエピソードだと感じた。
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驚くべき園芸熱の余波。
ヨーロッパにおける園芸熱の高まりと、それに伴うプラントハンターの活躍を描いた入門書。本書では、特に日本の江戸時代から始まる日本産植物のヨーロッパへの導入について、かなり重点を置いて詳しく解説しております。 前半部分ではプラントハンターの誕生、園芸の発展と大衆化、そしてそれに伴うプラントハンティングの隆盛について解説されます。中でも面白いのは、キナノキ、パンノキ、ゴムノキ、チャなどといった有用植物です。イギリスの大植民地主義による三角貿易とも絡んでくる話で、当時の西欧列強による陣取り合戦とも関わりがあるのですから、プラントハンターに課せられた重責もなかなかのものです。しかし、それでもシダの流行があったことなどを見るにつけ、純粋な園芸熱こそが、プラントハンターの発展の主たるものであったのでしょう。 後半部分は日本における西欧人のプラントハンティングの様相です。プラントハンターと言っても一様ではなく、最初は主に調査のために標本を作製したりしていたようです。しかし、ペリー艦隊来航の時代から、未知なるものを調べるという博物学的な態度が濃厚なのは、ヨーロッパの科学技術の発展というものがそのような興味によって成立したのであろうという考えを予感させます。さて、その後は専門の業者がユリなどの輸出を行っていた様子が描かれており、思って以上に日本とヨーロッパは植物により繋がっていたということに驚かされます。
関連する文学賞
- 毎日出版文化賞 第48回(1994年) ・奨励賞