作品情報
『友罪』は、受賞作としての輪郭を通じて、人と時代の関係を見つめる作品である。
薬丸岳の『友罪』は、小説として記録されている受賞作である。単行本または収録書の書誌情報を確認し、識別子を記録した。作品紹介では、物語や詩歌が扱う関係性、記憶、時代感覚を中心に、公開情報から確認できる範囲で整理している。
レビュー要約
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題材の切り取り方と人物描写を評価する声がある一方、静かな展開や重い主題をじっくり読む作品として受け止められている。
書籍情報
- 出版社
- 集英社
- 発売日
- 2013-05-02
- ページ数
- 528ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784087714937
- ISBN-10
- 4087714934
- 価格
- 1305 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
―過去に重大犯罪を犯した人間が、会社の同僚だとわかったら?― ミステリ界の若手旗手である薬丸岳が、児童連続殺傷事件に着想を得て、凶悪少年犯罪の「その後」を描いた傑作長編! ジャーナリストを志して夢破れ、製作所に住み込みで働くことになった益田純一。同僚の鈴木秀人は無口で陰気、どことなく影があって職場で好かれていない。しかし、益田は鈴木と同期入社のよしみもあって、少しずつ打ち解け合っていく。事務員の藤沢美代子は、職場で起きたある事件についてかばってもらったことをきっかけに、鈴木に好意を抱いている。益田はある日、元恋人のアナウンサー・清美から「13年前におきた黒蛇神事件について、話を聞かせてほしい」と連絡を受ける。13年前の残虐な少年犯罪について調べを進めるうち、その事件の犯人である「青柳」が、実は同僚の鈴木なのではないか?と疑念を抱きはじめる・・・・・・
レビュー
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考えさせられました
長編ですが、読みやすく一気に読みました。 フィクションとわかっていながら、自分が同じ立場だったらどうか?と考えさせられる1冊です。 学生さんにおすすめです。
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真の更生とは何か、真の救済が必要なのは誰か⁉︎
私は薬丸岳作品を全部、読んでいるが、1番、印象に残っている作品です。誰もがこの作品を読めばあの酒鬼薔薇聖斗の事件を思い出すだろう。この作品が世に出て2年後に酒鬼薔薇聖斗は、自叙伝を出版していると知り薬丸岳の凄さに驚嘆した。ただ、私はあの事件を克明に覚えている。世代が同じで、学校にカウンセラーが入ったからだ。ただ、同級生達ともこの話はよくしたのだが、毎日、嫌というぐらいの報道で大人でもなく子供でもない、微妙な年頃の世代に世の大人達は何だか最近の青少年として扱われた事に不満があった。14歳は微妙な年齢だが、殺人を犯していいかどうか、そんな判断はつく年齢だ。ただこの作品を読んで、初めて少年には国から戸籍が新たに与えられ、生涯、守られている事実を知り愕然となった。この作品に出てくる少年は果たして更生したのだろうか?と思わされる、普通では考えられない薄気味悪さが、へばりつく。登場人物達も全員、訳ありのため物語としては面白いし、一気に読破できる。ただ、被害者側に一切、触れられていないのと、ちょっと少年を純粋っぽく描写されているのに抵抗を感じる。実際、少年事件は被害者側のプライバシーに配慮が欠ける。子供を惨殺された上にさらに追い討ちをかけるように報道され何度も心が殺されていくように感じる。この作品には、被害者遺族の感情やそれに対して一切、触れていない。ただ、国は誰を救済しないといけないのだろうか?非常に考えさせられた。我が子を殺された遺族に真の救済などあろうはずがない。しかしながら、もう少し被害者遺族に踏み込んであればと思うので☆4にしています。
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今度こそ、大きな声で言うよ。きみが死んだら、ぼくは悲しい
少年時代に子どもを殺してしまった鈴木くん。 同級生を自死させてしまった益田くん。 単身の寮長、山内さん。 鈴木くんの「母」、白石さん。 暴力男に貪られ、追い回され、徹底的に辱しめられる藤沢さん。 皆、家族とはともに生きられない。 「あの人はひとり」だと、においでわかる、と鈴木くん。 「ひとり」をわかる鈴木くんは、「友」を求める。味方になってくれなくても、厳しい言葉を投げつけられても、ぼくが死んだら悲しいと言ってくれる友達でいてほしいと。 きみが死んだら、ぼくは悲しい。ぼくが死んだら、その人が悲しんでくれる。 友情、いや、人と人とのつながりの根源。 鈴木くんの気持ち。 ぼくが自殺したら悲しい、ぼくが必要だと言ってくれる友達に出会えてとてもうれしい。 逃げても逃げても過去に追いかけられる。 普通に生きることが許されない。 死にたい。生きる価値がない。 ぼくを縛らないで欲しい。 ぼくには行くところがない。ここにおいてください。 ぼくみたいに大きな罪ではないだろうけど、きみも何かの罪で苦しんでいるのではないの。 どうやって生きていけばいいのかわからない。罪に苦しんでいる誰かと一緒に悩み、考えたい。どう生きていけばいいのかを。 鈴木くんのまわりの人たちの気持ち。 彼は間違いを犯したけれども、化け物なんかではない。 子どもを殺したことのある人間と顔を合わせるのが恐い。 彼の過去を告白されるのが恐ろしい。 憎悪はない。ただそばにいてほしくない。 犯した罪を反省しているのか。 被害者や遺族に対して罪を償いたいと思っているのか。 もう人を殺すことはないのか。 おまえと一緒にされたくない。 彼にも生きる場所が必要だ。その邪魔をしたいとは思わない。彼がこれからどう生きて行くのか見てみたい。 彼がしたことを知って、友達だと思えますか。好きでいられますか。恋人でいられますか。 彼には、根無し草の生き方しか残されていないのだろうか。何十年もそうするしかないのか。そう思うと、胸が締め付けられる。 彼の優しい面、弱さ、強さ、まっとうさを、おれは知っていた。だけど、それを他の人に伝えると、彼を擁護していると思われてしまう。 過ちを繰り返さず、自分の罪を深く見つめ、被害者や家族への償いの気持ちを深め、強く生きてほしい。たった一人でも、彼に寄り添う人がいてほしい。 きみが何の反省もせずに、のうのうと生きているなどとは、思っていない。 きみの優しさも知っている。 きみと一緒にいて危険だと感じたことはない。 遺族の言葉に共感するが、きみには、逃げないで、生きていってほしい 自ら死を選択しないでほしい。 ふたたび、きみの顔を見たい。 登場者の気持ち、心持ちに胸が詰まる思いで一挙に読み、最後の十数頁で、涙がこぼれた。 ただし、疑問も残る。元犯罪者を人間扱いしない表現、女性を性の奴隷とする描写。それを克服しようとする文脈であっても、文脈から独立して、傷ついた人をふたたび傷つける暴力を持っている。
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罪を負って生きていく、とは?
本作品は、1997年に発生した神戸連続児童殺傷事件という、中学生の少年が小学生たちを殺傷し、世間に大きな衝撃を与えた事件を題材にしたフィクションです。 本作品では、「黒蛇神事件」という名称で呼ばれており、主人公の益田純一が中学生であった14年前、隣町でふたりの小学生が相次いで殺され、逮捕されたのが同い年の中学生であったことから日本中を震撼させたという設定になっています。 物語は、ジャーナリストを志しながらも、希望が叶わず、職を転々とする益田が、埼玉にあるステンレス製造会社の面接に応募するところから幕を開ける。 採用枠は1名であったが、ここにもう一人、鈴木という男性が面接を受けに来る。 結果は、ふたりとも合格で、試用期間としてアルバイトとして採用されることになった。 ふたりは、会社の寮で暮らすことになったが、どこか他人に馴染もうとしない鈴木に、益田は違和感を覚えた。 それでも、次第に打ち解けていくふたりであったが、益田は、あるきっかけで、鈴木が、黒蛇神事件の犯人なのではないかと疑い始めた…。 自分の身近な人が、殺人犯だったら――という設定で、その時、人はどんな心境に陥るのか、そしてどんな行動を取るのか、という点がサスペンスフルに描かれていきます。 本作品が、単なるサスペンスで終わっていないのは、鈴木以外の登場人物たちの多くが、知られたくない過去を抱えており、苦しんでいるという点です。 主人公の益田もそうですし、会社の同僚である藤沢美代子、黒蛇神事件の犯人の医療少年院時代の保護観察官である白石弥生、会社の寮長である山内といった人たちです。 鈴木が本当に犯人であったのかが明らかになるメインの展開と絡めて、彼らの過去の実態が明らかになっていき、飽きさせることのないストーリーが展開していきます。 もっとも、益田がどうやって鈴木の素姓を知っていくのか、という点だけでみると、ある程度予想のつく展開だったのも事実です。 しかし、問題は、その後で、益田と鈴木の人間関係がどんな結末を迎えるのか、については、着地点を推測するのは困難でしょう。 そして、この思いもかけない結末は、人間と贖罪の関係を巧みに表現しており、ある種、感動的なものとなっていました。 文章そのものは平易で読みやすいので、中学生による殺人という罪を単なる興味本意ではなく、人間と罪との関係としてじっくりと考えたい方には、是非とも読んでいただきたい佳作と感じました。
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高学歴な善人の無能
益田と鈴木は同期入社の新人。やがて2人はやや親しくなるが、益田は鈴木が過去の有名な少年犯罪者だと気づく。益田はそれを知ってもなお鈴木と友人でいられるか?という話で、面白そうなのだが、問題はこの益田という男がとにかく無能だという事なのだ。 益田は大学出でジャーナリスト志望、人当たりがいいし前カノは女子アナ。ところが彼、仕事が全くできない。勤め先の工場は腰掛けのつもりでいるから資格を取る気もないし、自分の不注意でケガして労災になるし、はては自分の野心のために同僚の鈴木の過去をバラして会社にいられなくさせる。対して鈴木は仕事は真面目だしDV被害者の女性社員は身を挺して庇ってやるのに、過去の犯罪のために会社を去らなければならなくなる。 益田は頭は良いかもしれないが、現実には鈴木の方がずっと役に立っているし、気立てもいい。益田がケガしたとき適切な処置で助けてくれたのも鈴木。なのに益田は最後まで妙に上から目線。 大学出のジャーナリスト志望ってそんなに偉いの?女子アナに好意を持たれてるようだが、私はこんな奴のどこがいいのかさっぱりわからん。というか、はっきり言って私は益田と友達になりたくない。ゆえに、彼が鈴木をどう判断しようが私には関係ないなと思ってしまう。
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不完全な結末がリアルに感じました。
身近ではなくとも、日本では現実にあった犯罪。加害者の人間の中に何があるのか、それとも彼もまた普通の人だけど一線を超えてしまったのだとしたら、それはなんなのか。 そうとは知らず出会ってしまった人達、過去を知ることで彼もその闇を覗きたくなる。 闇があるとしたらなんなのか、不完全な結末が返ってリアルで余韻が残りました。
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更生って どう云う事なのかな?
ストーリーの題材としては 色々興味を惹かれる要素が詰まってたので 一気に読んでしまいましたが その1つ1つが 消化不良な感じでした また 個人的には 何才であろうと 殺人を犯せば 自身の生命で贖う (死刑)のが 無惨に奪われた 生命に対し唯一贖罪となり得ると思います この小説に限らず、いじめで自殺する人も 遺書を書いたり 友達に電話をする前に なぜ 親に話さないのか、 事件後 親御さんが何も知らない事に 驚きます いじめられてる事を、 プライドがあり親には知られたくないと思う気持ちは 分かるけど 死んでしまうぐらいなら 打ち開けて欲しい 。親なら 何としても子供を 守りたいと思うから。
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犯罪者との過去と向き合う"犯罪者小説"とでも言うべき作品
もう悩ましさの詰め合わせみたいな本だよ〜。 こんなん答えなんか出せないよ…!先入観とか色眼鏡で人を判断してはいけないんだろうけど、僕も自信が無いなぁ。 でもそう言えるのは第三者だからであって、被害者の気持ちとかを考えると…うーん…。本人がいくら反省しても被害者は帰ってこないし、だからこそ一生罪を償う気持ちで生きていてほしいけど。 以前、少年Aの絶歌を読んだけど、あれは加害者のエゴなのかな。腸が煮えくりかえるほど気持ち悪くなったことだけは覚えてる。
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