日本の文学賞

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スリー・アゲーツ―三つの瑪瑙

大藪春彦賞

スリー・アゲーツ―三つの瑪瑙

五條瑛

『スリー・アゲーツ 三つの瑪瑙』は、五條 瑚による冒険小説。偽造紙幣と諜報の闇をめぐり、三つの家族と国家の思惑が交差する。

記憶社会人間関係

作品情報

スリー・アゲーツ 三つの瑪瑙は、題名が呼び込む世界を手がかりに、人や時代の輪郭を静かに浮かび上がらせる。

『スリー・アゲーツ 三つの瑪瑙』は、五條 瑚による冒険小説。偽造紙幣と諜報の闇をめぐり、三つの家族と国家の思惑が交差する。 受賞作としての読みどころは、題材の珍しさだけでなく、人物や出来事を通じて時代の空気を伝える点にある。読者は、物語や論述の進行に沿って、背景にある社会や価値観の変化までたどることができる。

書籍情報

出版社
集英社
発売日
1999-12-01
ページ数
402ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784087752571
ISBN-10
4087752577
価格
3076 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

第3回大藪春彦賞受賞作!「お父さんは必ず来る!」―守り石にこめられた家族への愛。北朝鮮と日本、ふたつの家族の間で揺れ動く北朝鮮スパイが下した究極の選択とは?『プラチナ・ビーズ』に続く本格スパイ小説第2弾。

レビュー

  • 工作員も人間

    工作員はもう人間らしさをすべて捨ててしまっているのかと思っていた。でもこの本に出てくるエージェントたちは皆とても人間臭い。 チョンも、スーパーKを持ち込み経済をかく乱させようとする行為など、一面は厭うべき工作員ではあるが、家族を愛し、自分の責務を全うしようとする、そんなところに悲しさを感じた。 今この小説に描かれた国の様々な問題が指摘されている。 しかしその国に住む人がこのようにやりきれない思いをしているという事を読むと、この国の人を怨んだり、憎んだりするのではなく、この国の人も幸せになってほしいと思った。 チョンが決して祖国を嫌いではなく(むしろ好き)、工作員としての許されざる行為も全て家族への愛によるものだというところが涙をさそう。 作者の綿密な調査と知識、そして語り口によってぐんぐん惹きこまれてしまった。

  • 北朝鮮の工作員が命がけで守ろうとしたもの

    北朝鮮の工作員チャンが最後の任務を遂行しながらも命がけで守ろうとしたのは家族だった。 前作「プラチナ・ビーズ」で活躍した葉山、坂下も登場し、北朝鮮、中国、日本の思惑や社会情勢に関する詳細の描画や、会社と工作員たちとの間で繰り広げられる情報戦も見所ではあるが、今回は葉山とチョンの人間性が際立っていたと感じた。 チョンの誠実さや家族を守るための苦悩が丁寧に描かれており、チョンの人間性は好感がもてた。一方の葉山も、前作ではエディや北朝鮮のスパイにいいようにやられていたが、その押しの弱い人間性はそのままで、今回はアナリストとして大きく成長していたように感じた。 葉山の家族に関する真実もまだ明かされていないので、次回作も期待したい。

  • 面白くなってきた

    シリーズ1作目「プラチナビーズ」は、登場人物のキャラが先にきて、物語がそのキャラにがんばって沿っている感じがして、さらに「え?本当に情報扱うプロがそんなこともわからないのか?」という部分もありましたが、この本はそういう部分がほとんど払拭されていました。 ひとりの男をはさんだ2つの家族、それを囲むいわゆる情報部関係者の思惑と見えない戦いが繰り広げられますが、いわゆるスパイ物語というよりは、人間の持つ複雑さや、無意識のうちに自分を支配している国や文化、習慣などの大きさを描いているように思いました。 中心にいるチャンが、いかに誠実で人間的に良い人格を持っていたとしても、彼が行ったものとその結果は、素晴らしいものでも明るいものでもなく、結局は人を利用し殺し、その幸福を踏みにじるものであるという悲劇が淡々と描かれていました。 何も知らずに犠牲になるのはいつも子供ですが、この話しの中では、かつて自分もその犠牲となった葉山が、想いをこめて彼らに語りかけ、手をさしのべています。 彼らの未来は決して明るいものではありませんが、希望がないわけではないのだ。 そういうふうに我々に思わせるEDは、感動的でした。

  • 最も泣いた本の1つ

    北朝鮮の拉致被害者問題が今のように声高に叫ばれる前に発表され、のちに大薮賞を受賞した、いわゆる「鉱物シリーズ」の2作目にあたります。 「プラチナ・ビーズ」の数カ月後なので、黒髪のフェロモンキングは海の向こうに行ってしまっていて、彼目当ての方には今回御期待に添えないでしょう。しかしなにより今作では葉山の目覚ましい成長ぶりが見られます。いい仕事をしています。…そして北と日本に2つの家族を持つ男の真実。謀略小説として素晴しい作品であるのは言うまでもありませんが、さらに家族とは、祖国とは、という精神性、人間性まで深く、しかし嫌味なく描かれているのはさすがの一言につきます。 私が読んだ頃は、北朝鮮の映像というとTVでは総書記の顔とマスゲームくらいしか見ませんでしたが、今は貧しい農村地区や中国との国境の川などもよく放映されるようになりました。この本の情景が、より眼に浮かびやすくなったと思います。 もしも「プラチナ・ビーズ」を手にとったなら「スリー・アゲーツ」もぜひ読んでほしい。むしろ「スリー・アゲーツ」を読むために「プラチナ・ビーズ」を読むのでもいい、とさえ思います。 そして早くシリーズ3作目「パーフェクト・クォーツ」が世に出ることを切に望みます。

  • 人の良いテロリスト(補佐(;^^)。)。

    なんといっても上の印象につきますな……、良い人なんです良い人だ(汗)。一作目に引き続いて北朝鮮ねた、北朝鮮公式発行とまで囁かれる偽ドル札“スーパーK”の関係者ではないかと目されるチャン(仮名)という男の捕縛命令がぽしゃったところから話は始まります。何故かHumint(人情的情報収集活動)の葉山のところに、チャンの走り書き──というより文字の練習帳めいたメモ書きが分析に回ってきます。葉山の普段の主な役割は、情報価値がほとんどないと判断される人間その他の媒体を、本当に情報価値がないかどうかを判断するというようなもの(下っ端なんですね(笑)。)。 とにかくこのチャンが好人物なんだ、実に真っ当、実に当り前。もちろんその手を汚しているわけなのですが、どこがって言われると表現しづらいですが、あえて言えば自分の出来る範囲内の誠実さで人と対しているように見えます。 このチャンの最後の大仕事と、彼の国を違えたふたつの家族がストーリーの核です。タイトルはそれを象徴する印。有能なスパイである彼の足跡を追っていく内に、仄見えてくる情めいたものに、葉山は違和感を強めていきます。彼の感情がもうひとつの核。

  • ドキドキがとまらない

    はらはらがつづきます

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