チャイルド44 下巻
『チャイルド44』はトム・ロブ・スミスによる作品で、日本冒険小説協会大賞で受賞に選ばれた。新潮社から2008年に刊行された書籍で、受賞作としての位置づけと刊行形態の双方が確認できる。
作品情報
『チャイルド44』
『チャイルド44』は、日本冒険小説協会大賞の受賞作として読まれるトム・ロブ・スミスの作品。刊行情報が確認できるため、受賞履歴から作品へたどれる書籍として扱える。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2008-08-28
- ページ数
- 383ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-13
- 9784102169322
- ISBN-10
- 4102169326
- 価格
- 737 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/評論・文学研究/外国文学研究/英米文学
この男は連続殺人の放擲を許さない。ゆえに犯人を孤独に追いつづける――。CWA賞受賞。本年最大の注目作! 少年少女が際限なく殺されてゆく。どの遺体にも共通の“しるし”を残して――。知的障害者、窃盗犯、レイプ犯と、国家から不要と断じられた者たちがそれぞれの容疑者として捕縛され、いとも簡単に処刑される。国家の威信とは? 組織の規律とは? 個人の尊厳とは? そして家族の絆とは? 葛藤を封じ込め、愛する者たちのすべてを危険にさらしながら、レオは真犯人に肉迫してゆく。
レビュー
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新刊でなくても読む価値のあるオールタイムベスト作品
スパイ・冒険・スリラーの魅力の一つは同時代性あると思います。今自分の生きているこの時代のカ神となることでリアリティが生まれるのです。しかし、一方でそれらは生もので、時代と共にどんな傑作でも時間と共に色あせて褪せてしまいます。本書は時代設定をあえて1895年代スターリン統治下のソ連にしています。誰にも語られていない暗黒の時代だったから頃時代を超えて存在し続けることのできる稀有な作品と言えるでしょう。 絶体絶命の危機の連発、何度死んでもおかしくない状況がこれでもかと続きます。しかし、本書はそれだけでなく主人公やその妻の心情の変化など人物描写も優れています。体制下ソ連の国家保安省捜査官と言えば、ステレオタイプの残忍な悪役を想像していますが、彼らの心情にもう一歩踏み込んだ描写がストーリーに厚みを持たせています。 終盤ほとんどページが残っていないのに、問題山済みでどうすんの?を心配してしまいますが、見事に着地させているのは作者というより、編集者の力量によるところが大きいのかもしれません。
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スターリン体制
久々に集中して読める作品でした ある種ドキュメントとも言えるほどで 旧ソ連の体制にも興味がわきます
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啓蒙的には良いのかも。
最近のミステリーは猟奇的えぐみ無くして成り立たないのか、と思わせる本書。 具体的なえぐい描写には、もうつくづくウンザリなのだが。 昨今の若者には、えぐみ抜きのミステリーはカフェインレスコーヒーみたいなものなのだろうか? 冒頭部分が本筋に繋がって行くミステリー部分に関しては面白いが、ご都合主義の様に感じながら読み進める。 が、最後の最後で非常に巧く落とし込んでいるし、えぐい話の割には読後感が良い。 旧ソ連の体制、思想を全く知らないで読む人には、その部分に震撼し、面白さが凝縮するのかも知れない。 「知る楽しみ」「新しい驚き」抜きには、そこまで「面白いっ!コワヒっ!」と思う事は無い気がする。 数年前、ジャーナリストが国外で暗殺されたロシア、事実は小説より奇なり。 旧体制の真実は、小説だけでは測れない。 個人的に致命的に思うのは、旧ソ連の描写に重点を置くあまり、そこにある人間への描写が少ないこと。 そもそも主人公のレオの容貌の描写からして殆ど無い。(髪の色さえ定かでは無い。) 意図的か、無意識か分からないのだが、その分感情移入し辛いね。 レオを憎む部下役の方がキャラ設定がしっかりしている点などが新人だから、って事なのだろうか。 下巻後半から本当の意味で面白くなるミステリーではあるが、ヒトが言う程傑作とは思わない。 「このミス1位」って納得出来た事が無い、ホント。
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想像以上の傑作
映画化されたニュースを受けて、積ん読状態だったことを思い出し、ダンボールの奥から探し出してきた。 そんなに期待していなかったが、上巻を3分の1ほど読んで想像以上の傑作だと感じた。 スターリン体制下のソ連での悲惨な民衆の暮らしや常に密告される危険がある社会、取り締まる国家側の残虐性がこれでもかと書かれ、読んでて辛くなる。 それでもページを繰る手が止められなかったのは、登場人物の生い立ちや内面が実に見事に描写されているからだ。殆どの登場人物に感情移入できてしまうのではないかと思わせられる筆力。それが本作品の真骨頂だ。 夫婦、親子、上司と部下、友人、同僚、同じ村、逃亡犯と追跡者、あらゆる人間関係が国家により亀裂を入れられ、彼らはその中で何を矜持として生きるのか?どの道を選ぶのか? 下巻の駅員のエピソードや主人公が両親を訪ねるシーンなど涙なしでは読めないぐらいだ。 自分の矜持を見つけたかのように見えるレオはこの先どう生きるのか?が気になり、即グラーグ57とエージェント6も購入しました。 終盤はご都合主義な点も目立ち、盛り上がりにもかけるが、それでも傑作。 ピルグリムなんかより断然面白い。ミレニアム三部作に匹敵すると思う。
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面白く読むことができました
今まで接することのなかった、スターリン政権下での犯罪捜査で非常に新鮮さを感じて読破しました。
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再生の物語
僕は上下巻の本作を、ミステリ好きの友人からもらった。しかしコードネームみたいなタイトルとソ連が舞台ということから、東西冷戦下における007みたいなスパイ物を勝手に連想して、本棚に放置していた。あれから10年以上が過ぎ、やっと読んでみたわけである。 思っていたのと全然違っていた。確かにスパイ物ではあるが、サイコサスペンスやハードボイルドの要素もあるので、なかなか一言では要約できないタイプの小説だった。変な例えだけれど「韓流ドラマみたいな面白さ」というようにも思う。すさまじい逆境がこれでもかこれでもかと襲いかかってくる感じが、似ていなくもない。 ソ連が舞台であることがクリフハンガー(ハラハラドキドキ)を生む原因になっていることはもちろん、この特殊な状況がさまざまな再生の物語を紡ぐ装置として機能していることも、見事である。その辺りのことは訳者の田口俊樹氏が、あとがきで熱のこもったよい文章を書いておられる。訳が素晴らしいのは言うまでもない。 実際にソ連で起こった猟奇的な連続殺人事件がヒントになっているそうだが、被害者が子どもたちであるため、正直読んでいてつらい描写もある。だからこそ、一見ありがちなパターンのラストにも、深い感動を覚えた。救いのようなものを感じた、と言ってもいい。映画化された作品も、機会があればぜひ観てみたいと思う。
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意匠に纏まりを欠き、安手のハードボイルドのよう
1950年代のモスクワで起こった少年の轢死事件を発端にし、MGB(KGBの前身)の捜査官レオを主人公として、当時の旧ソ連の世相を描き切った骨太の力作。前作の最後で地方の人民警察署に飛ばされたレオが、生き甲斐を求めて幼児連続殺人に取り組む姿が描かれたが、その続きから始まる。 上巻のレビューで、レオのMGB捜査官から人民警察官への降格は中途半端と評した。無論、人民警察官に降格した事が、限られた残りの人生における"生き甲斐"のために、レオを幼児連続殺人に取り組ませた原動力なのだが、こんな動機でサイコ・キラーと対決する捜査官と付き合わされる読者は堪らない。妻ライーサとの確執もあって、レオが唐突に正義感に目覚めたように見えるのも不自然。本来ならレオを敵視すべき筈の人民警察署長ネストロフもレオに協力する始末。ご都合主義が過ぎるのではないか。ネストロフ一家の命も掛かっているのだ。後続の村人達も同様。そして、レオに執拗な試練を与える様は、主人公を闇雲に痛めつける安手のハードボイルドを読んでいるかのよう。サイコ・キラーの生い立ちも中盤までに容易に推測出来るので終盤の興趣も薄い。国家権力による殺人とサイコ・キラーによる殺人との対比の皮肉が効いているのが僅かな取り柄か。結末も甘い。 旧ソ連の社会体制と一般市民の感情、サイコ・キラー追走劇、そしてレオと言う男を通して描く人間の矜持と運命の皮肉。これらを包括的に巧く描こうとして、悉く失敗しているような気がする。登場人物にロシア人の香りがしないのも致命的で、旧ソ連を舞台に選んだのも単なる目先の変化と主人公の障壁創りの容易さ以外には考えられない。冷戦終結後に本作を発表するセンスも疑問で、とにかく題材を絞って求心力のある物語にすべきだったろう。
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読み出したら止まらない
上と同じで、最近読んだ本の中で特筆すべき一冊です。読んだら後悔しません。