日本の文学賞

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私の男

直木三十五賞

私の男

桜庭一樹

『私の男』は桜庭一樹による文学作品。受賞・候補歴を通じて読者に知られ、人物の感情や時代の空気を物語の中で丁寧に描いている。

文学人間関係記憶社会

作品情報

桜庭一樹『私の男』。作品の核にある感情と時代の手触りをたどる一作。

『私の男』は、桜庭一樹の受賞・候補作として知られる作品です。作品名と著者名を基準に単行本・文庫・収録書籍の公開情報を確認し、確実な識別子が得られない場合は null としました。物語や題材の魅力が伝わるよう、ジャンルと受賞歴から読み取れる特徴を中心に紹介しています。

レビュー要約

  • 読者からは、題材への踏み込み方と語りの密度を評価する声がある。一方で、抑制された展開や重い主題をじっくり読む作品として受け止められている。

書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
2007-10-30
ページ数
381ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784163264301
ISBN-10
4163264302
価格
1624 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

狂気にみちた愛のもとでは善と悪の境もない。暗い北の海から逃げてきた父と娘の過去を、美しく力強い筆致で抉りだす著者の真骨頂

レビュー

  • 思っていたよりも…

    到着が速く状態の説明も丁寧です。他所はどういった感覚で状態の説明をしているのか分かりませんが、ここはわかりやすいです。

  • 読み応えのある作品だが、人に奨めるのは躊躇するか

    この作家の作品を読むのは3冊目ですが、ライトノベルを書いていたという知識があるせいか、文芸作品的な本を読んでもどこまで作者は真剣に文学的な表現しようとしているのかを、つい疑いながら読んでしまうのが良くない点です。この作品も実際のところ、そういう疑いを抱きつつ読みましたが、読後に読んだ解説によれば、解説者の北上次郎氏が「まったく素晴らしい」と絶賛しているし、直木賞の選考委員の浅田次郎氏にも「文句なしに推挽させていただいた」と言わしめたそうなので、文芸作品としての価値はおそらく高い作品なのだと思います。 実際私も作品に感動したというほどではなかったですが、ストーリーとしては面白い作品だと思いましたし、読み応えのある作品でした。 ただ父と娘の禁忌を非常に生々しく描いているという作品の性格上、中途半端にこの作品のことを知っている人に対して、この本を読んだことを気軽に話すこともはばかられるし、身近にいる人に対して(特に女性に)奨める気にはならないですね。 ところでこの本の解説の冒頭で、「何の予備知識もなく、先入観もなく、ただ読み始めるのがよい。」と書いてありますが、私も解説者と同じ意味でではないかもしれないですが、この作品は、予備知識も先入観もなしに読むのが良いと思いました。 その理由は、この作品を読む前提として、遠縁の若い男に養女にされた少女の話だと思って読む方が多いと思いますが、読み進めると義父淳悟と娘花の正確な関係や、紋別出身の小町と淳悟の関係、また花の元の両親と淳悟との関係など、小出しにされる形で徐々にわかってくるので、自分がレビューを書いておいてなんですが、あまり前もって書評などで予備知識を仕入れてしまうと、この作品はつまらなくなってしまうと思います。 作品はamazonの商品紹介にも書いてある通り。現在から過去に逆に遡って描かれますが、章のタイトルに20××年×月と書いてあるので、話の順序とその時点での登場人物の年齢がわかりやすいですね。桜木紫乃の「ホテルローヤル」を読んだときに、同じように時間軸を逆に遡る話でしたが、はっきり年代が書いてなくて、よく読まないと話の順序がわからなかったのに比べると、時間軸はわかりやすいと思います。 また、全6章はそれぞれ花、花の婚約者の美郎、淳悟、小町の各人物の視点で描かれるのですが、たとえば「第一章 2,008年6月 花とふるいカメラ」というタイトルの「花と」の人物の視点で描かれていることに気づきました。 なお、作品の裏表紙にあるように、この作品は「内なる空虚を抱え、愛に飢えた親子が超えた禁忌」を描いているのだとは思いますが、私は内容的にリアリティは感じませんでした。文芸作品に必ずしもリアリティが求められるわけではないのかもしれませんが、現実社会で養父や実父に性的な関係を迫られている少女・女性が、この作品を読んだことで、その行為が養父(実父)の愛情なのではないかなどと、無用な幻想を抱かないでほしいです。現実世界での娘に対するそういった行為は、まず例外なく父親の肉欲に基づく卑しい行為です。

  • 薄っぺらい

    「情景描写がくどい」という意見が多いが、私は良かったと思う。 北国の情景が鮮明に浮かび、聖地を巡礼したくなった。 また情景描写は、二人の心理をも雄弁に物語っていたと思う。 が、情景描写だけでは物語は成立しない。 直接的な心理描写が、この小説には不足している。 故に薄っぺらい雰囲気が終始漂っているように感じた。 何が言いたいかというと、もっと丁寧に描いてほしかった。 以下はネタバレ。 インモラルな点については特に文句はないが、実の親子である必要はなかったと思う。 ショックを盛り込めば良いというものではない。

  • 映画より、よっぽど面白かった。

    各章の時間が逆の配置になっている。 物語には、秘密が大切だという立場でいつも色々読んでいる。この時間軸が逆に設定されているところは、よい。 私のような何の変哲も無い人間からすると、全く別の人間の感性を疑似体験できて興味深かった。 改めて、小説って面白いと思った。

  • 読後のカタルシスのまったくない作品

    文学として倫理観とか現実味がない、という評価は横に置いておいて、やたら文章の運びが巧いので、気持ち悪いなぁ‥と思いつつとりあえず最後まで読んでしまった。 読み進むごとに[私の男]と女主人公から呼ばれる男のタバコのヤニが纏わり付いたようなイヤーな感じが増してゆく。 吸い殻を執拗なまでに踏みにじる、そのヤニが広がる気持ち悪さが口のなかに広がる… なのに性行為の描写が空想の域を出ない甘ちゃんな稚拙さで笑った。 章の運びを逆さまにしたら、少しはあざとさ消えるかなぁ、とか男が太っててビジュアル悪かったら成立しないな、とか考えていたら作品自体が作者の自慰的行為に見えてきた。 いくらご自身の美意識に叶わないからといってあの二つの殺人は乱暴過ぎるし処理の仕方がホラーチックで一気に覚める。 唯一、拓殖銀行の小町さんの章だけが血の通ったものに感じられた。 こちらも作者の悪意?でビジュアル大幅に変えられてはいたが…笑

  • 一読の価値はある

    内容が内容ですので、好き嫌いはあると思います。「気持ち悪い」「気分が悪くなる」と受け入れがたい人もいると思います。反対に「至高の愛」と読む人もいるかもしれません。 好き嫌いを別とするなら、構成力も文筆力もたいへん優れており、こういう小説もあるのかと、読み終えてみて一読の価値はあったと思います。個人的には「好きではないけれど、すごい小説に出会った」と受け止めています。

  • なぜカメラのフィルムを誰も現像しなかったの?

    津波によって家族を失い、孤児となった12歳の少女「平中花」。花は戸籍上は遠縁にあたる男「淳悟」に引きとられる。淳悟は25歳で、海上保安官だった。淳悟は花と北海道の紋別で暮らし始める。こうして花は新しい「おとうさん」と同時に「私の男」を手に入れる―― 読みはじめたときから、読み進めているときも、読み了わったときも、ずっと気持ち悪かった。国語の読書感想文的に「作者はどういう気持ちで書いたと思いますか?」と問われたらなんと答えるだろう、と思いながら読んでいた。 作者は巧妙で、淳悟を糾弾していないし、花に賛同してもいない。あるいは淳悟を許諾していないし、花を断罪してもいない。ただただ「親子の関係」を描写し続けるだけ。読者は「自分の観点と感情」で2人の物語を読み続けるしかなく、ぼくはこの「宙ぶらりん」で「責任を放棄」した物語を読んでいてむずがゆかった。 既読の『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』『少女には向かない職業』にも「悪い父親」が登場して悲劇が起こったが、ぎりぎりに「未来」があった。しかし、この『私の男』は、あたかも未来がないことを示すように、物語が過去へ過去へと逆流していく。 桜庭一樹は『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』のヒロインの一人に「海野藻屑」という名前を付けているが、この小説のヒロインは淳悟に引きとられて「腐野花」になる。悪趣味。

  • おっかない話

    おっかない話です。救いが無い。でも一気読み。

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