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無頼の掟 (文春文庫 フ 27-1)

日本冒険小説協会大賞

無頼の掟 (文春文庫 フ 27-1)

ジェイムズ・カルロス・ブレイク

禁酒法時代の米南部を舞台に、強盗団と執念深い追跡者が砂塵と硝煙の中でぶつかる犯罪活劇。荒野、復讐、男たちの夢が、乾いた暴力のリズムで描かれる。

犯罪小説禁酒法時代復讐西部劇逃走

作品情報

禁酒法時代の荒野を走る強盗団と追撃者の犯罪活劇。

文春文庫版は文藝春秋公式と版元ドットコムで ISBN、判型、ページ数を確認できる。翻訳は加賀山卓朗によるもので、米国犯罪小説を日本語文庫として紹介した受賞作である。

レビュー要約

  • 犯罪活劇としての疾走感と、荒々しい人物造形が魅力とされる。暴力の乾いた手触りと復讐譚の強さが前面に出るため、硬質なノワールを好む読者に向く。

書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
2005-01-07
ページ数
444ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784167661892
ISBN-10
4167661896
価格
11 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/英米文学

禁酒法時代、米南部の荒野を裂く三人の強盗団。復讐の悪鬼となって追撃する刑事。決戦の場は廃鉱の町だ。ペキンパー直系の犯罪活劇

レビュー

  • 素晴らしい疾走感!

    T.H.クックのまどろっこしくてもったいぶった長編を読んだ後だけに、スピード感に圧倒されながら、一気に読了しました。 最初から破滅の予感しかしないアウトロー達の物語で、反省するのは犯罪の失敗のみ、入った金は使いきり、老後のことなど考えず、強盗のひりひり感が生命力をもっとも感じさせるという連中が、必ずしも笑えないアメリカンジョークを連発しながら暴れまくります。終盤に活躍を始めるヒロインもぶっとんでいる。それがリアルさを失わないよう、禁酒法時代を舞台にしたのは大成功です。 この作家の翻訳本は3冊しかないようです。すでに全部確保しましたが、もっともっと読みたいな。

  • 読書の姿勢が悪かった反省

    主人公ソニーは双子の叔父バックとラッセルと共に銀行強盗を働くが不運見舞われ1人だけ捕まってしまう。しかも裁判の収監中に看守を殺害し,短くても10年の判決を受ける。その後なんとか刑務所を脱獄したソニーの背後には殺害した看守の父:鬼刑事ボーンズの影が忍び寄る・・・ 発行順は逆になるが先日読んだ同作者の『荒ぶる血』と時代背景と舞台となる土地が同じ禁酒法時代の南アメリカである。また,多少登場人物も重なる部分もある。読むのに一月もかかったため,物語に対しての興が冷めてしまって,非常にもったいなかったほど,物語としては『荒ぶる血』同様の面白さであった。自分の読書の姿勢の悪さもありなかなか読み込めなかった。本に対して失礼な読み方をしたなぁ・・・

  • 無法者を描きながらも、さわやかな読後感

    時は1928年。主な登場人物は、生まれながらの無法者であるバックとラッセルという33歳の二卵性双生児と、その甥でハイスクールを卒業したばかりのソニー。 物語の前半は、この三人が、州都バトン・ルージュを根城にルイジアナ州の各地で働く武装強盗の顛末と、その合間に繰り広げられるそれぞれの情事、さらにソニーが叔父たちの仲間入りをするに至る過程を、主人公であり語り手でもあるソニーの回想というかたちで、アクションとユーモアを織り交ぜ、スリリングかつ痛快に描く。しかし、銀行強盗に失敗し、ソニーひとりが逮捕され、しかも不幸なアクシデントから悪徳警官を撲殺、脱獄不能とうたわれる刑務所に彼は収監されてしまう。 しかし、脱獄して自由の身となったソニーは叔父たちと合流。ラッセルの愛人シャーリーを加えた一行は、一路、新天地を求めてテキサス西部を目指す。そこには、おりからのオイル景気に沸く町が、まだ裏の支配者が確定しないまま残っているからだ。そんな一攫千金を夢見る彼らが、道中、家出娘のベルを偶然拾うところあたりから、物語は緊張感を増し、うねり始める。さらには、この話と並行して、警官である息子をソニーに殺された、伝説の保安官補ジョン・ボーンズが、復讐のために彼らの足跡を追い、着々と迫ってくるのだ。 この作品で主人公たちが活躍するのは、第一次世界大戦が終わり、フランスからバックとラッセルが生還した1918年の終わりから、世界恐慌が起こった1929年の夏まで。空前の好景気にアメリカ中が沸き、誰もがチャンスをものにできるのではないかと信じた時代であり、モータリゼーションの飛躍的な進行により、行動範囲が一気に広がった時代だ。 本書では、三つのタイプの無法者が描かれる。昨日の、今日の、そして明日のアウトローだ。バックとラッセルは「昨日のアウトロー」だ。大戦から生還した彼らは、慣れ親しんできた犯罪者の道にすんなりと復帰する。彼らは生まれながらの無法者であり、伝統的なアウトローである。 そんな叔父たちと違ってソニーは「今日のアウトロー」である。彼は私立高校に通い、学業優秀なうえに、ボクシングのチャンピオンだ。貧困や愛情の欠如とも無縁であり、大学に進学し、まともな方法で稼ぐだけの能力を備えていた。それにもかかわらず、彼はアウトローになることを選ぶ。それは、叔父たち同様、危険と隣り合わせの人生に、生きている実感を求めてしまう抑えがたい欲求に加え、物心ついたときには、繁栄と狂乱の二十年代が始まっていたことも大いに関係していると思う。そして、最後に「明日のアウトロー」の誕生を予感させつつ、本書は静かに幕を閉じる。

  • 命の矛盾と葛藤を載せたアウトローたちのロード・ノヴェル

    微熱のように残る作品である。多かれ少なかれ、現代という都市性に委ねられた我々の日常生活から、いかに遠く隔たった場所へ連れて行ってくれるかというあたりは、小説というスタイルの醍醐味であるが、それこそこの物語は1920年代、禁酒法時代のテキサス。ジャズの街、ニューオーリンズから、荒くれた無法地帯である西部油田地帯へ、ロード・ノヴェルと、過去へのフェイド・バックを交えながら、丹念な歴史絵のタペストリーの如く紡ぎ出されてゆく。 『ワイルド・バンチ』を意識させるような、冒頭の銀行強盗シーンに始まる衝撃のストーリーは、過去に旅し、主人公の中に夢と冒険と無法とをいっしょくたにさせたような、荒くれた気分が誕生してゆくプロセスを念入りに、探る。これが、思えばラスト・シーンへの助走であったことを悟らされるのに、まるまる一冊の物語と、登場人物たちの山のような死体が必要となる。 すぐそこに死が潜んでいるビジネス。それが犯罪である。犯罪稼業には、濡れ手に粟といった愉快さに、非業な死や肉体的損壊といったリスクが共存する。そうした中にいないと燃えることのできない男たちと、奴らを中心に回ってゆく擬似家族たちの運命共同体が、内部の葛藤を繰り返しながら、性と暴力にダンスしてゆく姿は、やはりピカレスク・ノワールの、とてもオーソドックスで正攻法な切り口であるように思える。 未だ書かれていなかったことが腑に落ちないくらいに、正攻法な小説である。けれんみのないストレートな一人称話法に、接近する大低気圧みたいな冷血の復讐鬼。アナログでとても人間味のある悪党たちと、非常に機械的に処理し、自らの復讐劇をプログラミングしてゆく無表情な復讐者は、あたかも自然の摂理に基づいて動く森の中の原始的な生態風景のようでもある。 そのくらいに都市文明がものを言わなかった、人間たちが丸はだかであった時代と場所。美しい陽光が空気を斜めに断ち切り、真っ赤な溶鉱炉に変えるような神がかり的に美しい世界。性も暴力も、まるで陽が昇り、そして沈んでゆくだけのことのように、流砂の物語として、こぼれてゆく。ただただ熱い血のうめきだけを、生存者の体内に残して。 タフで、熱気溢れる男たちと、関わりあう女たちの世界。プリミティブなアメリカの光景を満載した、硝煙香る死のプロットである。

  • 都市から荒野へ

    ハードボイルドというジャンルが成立するためにはアウトローが存在しうる地平線を想起できなければならない。 チャンドラーやハメットから流れ出した系譜では、そこを無関心な人々の足音が残響する都市と定めたわけだが、 『無頼の掟』は荒々しく投機的な荒野こそがそうだと雄弁に語る。 あるいはアメリカ臭いロードムーヴィーそのものだ。 強盗、脱獄、逃亡、その日暮らし、情事。 湿っぽい国では体験できないであろうタフな情景が、 油田地帯のロードサイドにニキビのように噴出した街の路上を背景に、 ぶっきらぼうな筆致で描き出される。 18才の若造が、こんな臨場感のある出来事の渦中にいたなら。 感情移入できる舞台設定だ。 簡潔に表現された荒野を脳裏に浮かべながら読める書物だと思う。

  • 楽しいミステリー

    待ってました!痛快で手に汗握るアウトロー小説。 主人公が駆け抜ける沼、川、森の描写に息詰まるハードな展開。いっきに読ませますが、洒脱な文体に読後感はスッキリ。

  • 大満足のクライムノベル

    1920年代アメリカが舞台。18才主人公が、おれの一人称で語るクライムノベル。おれと強盗を繰り返しながら、「無法者の世界だからってルールがないわけじゃない」と生き様を教え込む双子の叔父達、強烈すぎます。加え、主人公への復讐の鬼と化す悪徳警官、これまた負けず劣らず強烈。こんな一癖も二癖もある男達が暴れまくる物語を作家ジェイムズ・カルロス・ブレイクは、とことんカッコ良さにこだわり書いている。面白くないわけがない!最初の数ページでハートを射抜かれました。またまた、大好物の1冊に出会えました!満腹!満腹!

  • 三人のブレインである甥の語りで進行。

    組織に属せぬ、三人の血の繋がった無法者三人が20'sを舞台に、ひたすら暴れ、女を魅了し、哀愁など描かれないまま、不法の限りを尽くす。だから邦題の「掟」は少し違う。そこが70年代半ば~80年代頃まで日本の読書界を席巻した、俺の苦手な「冒険小説」との決定的な違い。映画で言うと、ニック・ケイヴ原作「欲望のバージニア」似。ただこちらは田舎でもムーンシャイナーでもなぃ、プロの犯罪者で金になれば何でもやり、常に逃避行にある。そして復讐の鬼たる追跡者。

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