作品情報
「枯骨の恋」は、岡部えつによる受賞作。
「枯骨の恋」は、岡部えつによる受賞作。人物の心の動きと周囲の世界を丁寧にたどり、短い題名の奥にある葛藤や変化を描き出す。
書籍情報
- 出版社
- メディアファクトリー
- 発売日
- 2009-06-03
- ページ数
- 256ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784840127974
- ISBN-10
- 4840127972
- 価格
- 1008 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
女の部屋の何もない壁際には、捨てた男の骸骨が立っている。 あきらめきれもせず、かといって新たな野望を燃やせもしない中年独身女、真千子。彼女が独りで住まうアパートの部屋には、かつての恋人、博也の骸骨が立っている。 20代のいっときを共に暮らした博也は、真千子と別れて間もなく病死していた。骸骨は、男を捨て去った真千子のうしろめたさが見せる幻影なのだ。恋人ができると、真千子はその幻に痴態を晒して快感に酔い、そしてまた恋を失うと、もの言わぬ枯骨相手に問わず語りを繰返す。初めて愛情の持てない男を部屋に入れた夜、暗闇の中で真千子は、男の愛撫に博也の癖を見つける。今自分を陵辱しているのが何者なのか、明かりのついたとき、真千子はそれを見る。
第3回幽文学賞短編部門大賞受賞者。 1964年、大阪府生まれ。群馬県育ち。「きらら携帯メール小説」で月間賞を受賞。『てのひら怪談』にも作品が収録されている。本作品がデビュー作となる。
レビュー
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言葉いやしからずして、姿幽玄なり☆
本書は、第三回『幽』怪談文学賞で 短編部門対象を受賞した短編集。 筆者にとっては初の単行本となります。 旧友の通夜に出るため、東京から戻った女性と 田舎で暮らし続けた女性が交わす会話が、思いもよらぬ結末につながる「棘の路」 職場でパワハラを受け、自ら命を絶った女性の実家を 同じ職場に勤める派遣社員が訪れる「アブレバチ」 ―など、古典的な怪談のスタイルを踏襲しつつも、 現代に生きる女性の情念や孤独を巧みに融合した作品が並びます。 それぞれの読後感は、なかなか重いのですが 最後に収められた「メモリィ」は、 家族を見つめなおす姿を描いたファンタジー調の作品で読後感もさわやかです。 そのため、全体を通読し終えたときにも無用な重さは残りません。 個人的に印象深かったのは、表題作である『枯骨の恋』 クライマックスは怪談等ではおなじみの情景ですが それがいまなお持ち続ける淫靡さと恐ろしさ そして、それらを現代に蘇らせるストーリーが相まって、 忘れられない読書経験になりました。 近年、何がなんだかわからなくなった感のある「ホラー」において 正当な「怪談」の怖さや醍醐味を思い出させてくれるとともに まぎれもなく現代を描いている本書。 怪談、ホラー好きだけでなく 一人でも多くの方に読んでいただきたい作品です。
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怖い?とは違うかもしれないけど…
表題作以外の話が結構好きです。 怖くて眠れない〜って思うお話は少ないと思いますが、 描写も細やかで美しく、イメージしやすい。 細部が丁寧に書かれていることで、その世界に 入っていきやすいと思います。
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背筋が凍らない
第3回『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作の肩書きが大きな切り札にならないのは、この文学賞から世に出た作品がヒットしていないことにある。 今回第1回大賞受賞作黒史郎著『 夜は一緒に散歩しよ (幽BOOKS) 』以来久し振りにこの文学賞受賞作に手を出したものの、二度とこの文学賞受賞作に手を出さないだろうと確信になった。 昔の男が部屋に住みつき数十年、最後には女が連れ込んだ男に乗り移る狂気と色恋を描いた表題作でもある「枯骨の恋」の重要なラストが、前振りで読んでいて想像がつくだけに全くホラーになっていない。 他の6作品も新鮮味が無い作品なだけに、過去の類似文学作品を思い出さずにはいられない。 そう思うと篠田節子著の『 夜のジンファンデル 』は、短編の怪談として背筋がぞぞっとする怖さを味わえた作品だった。
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どの作品も味わい深く感じる
のは作者と私の年齢が近いせいかもしれません。 中年以降の人が読むといいでしょう。 個人的には表題作よりも他の短編の方が好きですね。 今度は長編を読んでみたい。
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- 『幽』文学賞 第3回(2008年) ・大賞