作品情報
暴力のただなかで、少年はかすかな恋と外の世界を見つめる。
第39回さきがけ文学賞の入選作で、2023年6月に新幹社から単行本として刊行された。表題作を含む短編集として、在日朝鮮人家族の中にある暴力と、少年の淡い初恋を描く作品として紹介されている。
書籍情報
- 出版社
- 新幹社
- 発売日
- 2023-07-20
- ページ数
- 234ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 1.9 x 13.5 x 19.5 cm
- ISBN-13
- 9784884001513
- ISBN-10
- 4884001516
- 価格
- 2178 JPY
- カテゴリ
- 本/社会・政治
陰惨な現実と、その対極の美しさに魅せられる 表題作「草むらの小屋」は1960 年代後半、日本社会から隔離されたような朝鮮人集落の差別と貧しさのなか、登場人物たちは時に暴力性や残酷さを帯び……。 少年の淡い初恋は、北朝鮮への帰還事業という歴史の動きにも翻弄される。人間の業を緻密にあぶり出した本作は、秋田魁新報社主催:第39 回(2022 年)「さきがけ文学賞」受賞作。「つなぐ旅」は在日コリアンの「帰化」問題について啓蒙的・教科書的でなく、狭間で苦悩する在日2世の本音を感情豊かに描いた。その他の作品も、時代を必死に生きてきた在日の喜び悲しみが弱者の視点から淡々とした筆致で描かれている。 立場や時代を超え、これが現実という普遍的な人間ドラマとして読むことができる、心に深く染み入る作品群だ。著者は一貫して在日コリアンの北朝鮮帰 国事業をテーマとして書き続けてきた。表題作を含め、強烈な視覚的イマジネーションで構成された稀な文章が描く、絵の見える小説群である。 「死ぬまでに一度でもいい、自分の思いの詰まった本を残したい。それは誰からも読まれないかもしれないし、いや本になったことすら誰も知らない、そんな本でも。日本で生まれ育ったコリアンとして、物心がついた時から憑りついている違和感がまだくすぶり続けています。それは私にとって在日を生きる証、私の「生」に違いないと確信じみたことを思っています。この「くすぶり」がある限りまだ安々と死ねないなあ」(あとがきより)
レビュー
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在日文学
読み終わったあとに、ずっとイメージが残ります。在日文学としては、名作だと思います。
関連する文学賞
- さきがけ文学賞 第39回(2022年) ・入選