日本の文学賞

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水晶内制度

センス・オブ・ジェンダー賞

水晶内制度

笙野頼子

作家の「私」が、原発受け入れを交換条件に日本から独立した女人国ウラミズモへ亡命するフェミニズムSF。国家、性別制度、宗教、言語を過激な想像力で組み替え、現代社会の抑圧を寓話化する。

フェミニズムSF女人国国家言語

作品情報

女人国ウラミズモへの亡命が、性別制度と言語の根を揺さぶる。

初刊は新潮社、のちエトセトラブックスから新版が刊行された。ウラミズモという架空国家を通じて、女性の身体、共同体、権力、文学の制度を一気に問い直す作品。

レビュー要約

  • 独自の神話化と制度批判を評価する声がある一方、強い語り口と複雑な構成には読み手を選ぶ面もある。挑発的なフェミニズム小説として受け止められている。

書籍情報

出版社
エトセトラブックス
発売日
2020-08-12
ページ数
312ページ
言語
日本語
サイズ
18.8 x 13.1 x 22 cm
ISBN-13
9784909910073
ISBN-10
4909910077
価格
2640 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

怒りと悲しみの上に生まれた女の国。 私はここで、女だけの神話を完成させる。 作家の「私」が亡命したのは、原発の受け入れを交換条件に日本から独立した女人国ウラミズモ。楽しい夜道、安全な子育て、女と女で暮らす性愛のなき「ディストピア」!作家はこの悪夢に魅了されて……。 読者悲願の「聖書」ついに復刊。渾身の書き下ろし自作解説一挙50枚。2003年センスオブジェンダー大賞受賞作。

1956年三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。81年「極楽」で群像新人文学賞受賞。91年『なにもしてない』で野間文芸新人賞、94年『二百回忌』で三島由紀夫賞、同年『タイムスリップ・コンビナート』で芥川龍之介賞、2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞、04年『水晶内制度』でセンス・オブ・ジェンダー大賞、05年『金毘羅』で伊藤整文学賞、14年『未闘病記―膠原病、「混合性結合組織病」の』で野間文芸賞をそれぞれ受賞。著作に『ひょうすべの国』『ウラミズモ奴隷選挙』』『会いに行って 静流藤娘紀行』など多数。

レビュー

  • 美醜を超えてぶつかる原初的イメージ

    笙野頼子さんの小説は、一時期積極的に追いかけていたのですが、フォローしきれぬままに年月が過ぎていました。2003年に出版されたこの作品を15年たった今読んで、改めてこの時期の作者の筆力無双ぶりを堪能することができました。 しかしまた、思考実験としてもかなり針が振り切っている、女だけの国家とは……。本文中、どうしても観念的な印象を否めないのですが、例えば完璧な世襲制をとって核兵器を手に周囲を振り回し続ける某国や、国会中継ではどこかで見たことのある顔ばかりがならぶおなじく世襲の多い某国などの、薄気味悪さを考えれば……あながち荒唐無稽とも言い難い気もします。 ジェンダーに関して、私がつべこべ言う資格はないのですが、筆者は単に日本の現状を斬り捨てるだけだなく、自らの性についての感覚を正面から見据えようと誠実に格闘しているかのように思えます。 そして何より「4 世の尽々に・生命終わるまで」での、神話という題材から導かれる、美醜がまだ陳腐に振り分けられていない原初的イメージのぶつかり合いが圧倒的な感銘を与えてくれます。 創作家として、単に物語を創るということを超えて、価値観や制度的な面も含めての神話的構築に取り組むなど、未だかつてそれに成功した日本人の作家はいたでしょうか。(私が知らないだけかもしれませんが。) 作家ご本人からは怒られるかもしませんが、私は笙野さんが大江健三郎さんや故安部公房さんと比肩する存在だと思います。どうぞご健康に留意され、益々ご活躍されますことを、心からお祈りします。

  • シリーズ最初から全部読めとは思わないけど…

    笙野頼子氏の本を読むきっかけになった本です。だいぶ前にリアル書店で装丁と帯文に惹かれて購入しました。 端的に言うと 女人国ウラミズモに亡命した作家が、記紀神話の読みかえと書き換えを行う偉業を成し遂げて亡くなるまでの小説です。 説明を端折りすぎたけど、とにかく読んでみてください。あっ、シリーズを最初から全部読め、という意味ではないですよ。

  • 疾走する文学、進化するフェミニズム

    「自由も倫理も性愛もない女人国家誕生!」というキャッチフレーズに、辛口の寓話を想像していたら、がつんと殴られました。「文学は終わった」と勝手に宣言するお気楽な面々と戦闘し続け、無視され続ける笙野氏の文学は、遥か遠くへ駆け去っていた! 女人国の保護牧場で差別されても何もわからず内部でちまちまプチ差別しあう男たちの姿に、自分も日本国ではそんな目にあいつつ無自覚にお気楽に生きてたのか、と衝撃を受けました。恋愛とかキャリアとかいう名のもとにうやむやになる多くの差別、偏見、人権侵害。しかし、この小説はそれだけでは終わらない。他人を斬るだけでなく、常に己に鋭い刃を向ける笙野氏(だからそれこそが文学じゃん)の出した結論は、性愛の極北に達しているとも言えるだろう。もはや男の性愛も女の性愛も二次元キャラへのキャラ萌えでしかないのか?新時代のフェミニズムを切り開く笙野氏に、息せききって駆け足でついて行くしかない。一緒に来る? 何はともあれ、一読の上、さあご一緒に「うわーっ!!」

  • 嬉しくもまたやられた

    ~ミルキィ・イソベの装丁は、いつものように別の世界への入り口。国民が支持する神話があって、経済基盤があって国家が強固に成立する。そこで、作られる新しい国の国家戦略による神話や教育や制度。レズビアンの無い女人国。女は子供を産み育てるがセックスは唾棄される。10代の頃に女として生きにくい将来にどんよりしていた自分を思い出した。結局、私は~~社会に飼いならされてしまったのか、しかしながら。 常に異世界でも誠実であろうとする語り部に揺すぶられます。~

  • 作家性!

    昨今の「そもそも需要の分母の少ない表現は無いことにします」というマーケッター界隈からは見向きもされないでしょう。 世間との軋轢にもがく芸術家の像があります。何故か私はこの書の読了後、椎名林檎を聴き漁るようになりました。

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