Poplar Publishing Newcomer Novel Award
あんずとぞんび (一般書)
After being bullied, Anzu meets a “zombie” man who lives in the same apartment building and slowly begins to see the world anew from within her loneliness. A heartwarming zombie novel and Encouragement Prize winner at the 12th Poplar Novel Newcomer Award.
作品情報
The one who saved me after God abandoned me was the zombie man living in the same apartment building.
Through the relationship between a lonely girl and a zombie man who does not attack people, the novel explores how to face others. Winner of the Encouragement Prize at the 12th Poplar Novel Newcomer Award.
書籍情報
- 出版社
- ポプラ社
- 発売日
- 2025-04-23
- ページ数
- 239ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 18.8 x 12.8 x 1.8 cm
- ISBN-13
- 9784591186077
- ISBN-10
- 4591186075
- 価格
- 1980 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
神様に見捨てられた私を助けてくれたのは、 同じアパートに住むゾンビのおじさんだった。 川をはさんだ向かいの町に、母と引っ越してきた小学生のあんず。いじめられていたあんずを助けてくれたのは、同じアパートに住むぞんびのおじさんだった。 孤独を受け止められないあんずと、孤独とともに生きるぞんびのおじさん。 お互いの存在が、それぞれの人生へのかすかな光となる。 ポプラ社小説新人賞奨励賞作品。
レビュー
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言葉はだれのため、何のための「魔法」なのか
本書はポプラ社小説新人賞奨励賞作品です。確かな筆力で描かれる「あんず」と「ぞんびのおじさん」の物語。重力のある文章とはまさにこのこと。ページをめくる手が止められませんでした。椅子取りゲームのように訪れてくる人生のままならなさ、人との諍い、お互いの「正義」、差別、諦め、苦しみ……。そこにあるのは、私たちの人生と地続きの世界でした。 中学入試に出題される可能性があると思って購入しました。 ーー人間はね、自分が困らない程度内で、なるべく人に親切がして見たいものだーーは『三四郎』(夏目漱石)の一節だったでしょうか。 この世界は私たちにとって優しいばかりではなく、どちらかといえば辛いことや面倒なことが多いように感じます。人から悪感情を向けられることも向けてしまうこともたくさんある。最終シーンで描かれるスピーチの内容に触れ、私も「魔法の国」を築く一助になりたいなと思いました。希望は私たちの優しさにある。これからを、今を生きる子どもたちにぜひ読んで欲しい一冊でした。
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深く良質な小説でした
タイトルと表紙からは、アットホームな交流を描いた物語かと思いましたが、アットホームでありつつも、実社会の「負」と「希望」の側面を射影した、深く良質な小説でした。
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意外に社会派
神さまに見捨てられた少女あんずと社会に見捨てられた「ぞんびのおじさん」の物語。 前半ちょっとスローペースで飽きそうになったが、中盤から怒涛の展開が始まってその後はグイグイ引きこまれた。 思ったより社会的なテーマの内容で、児童文学風のソフトな文章で差別とか暴力とか格差が語られるのがかえって刺さる。子どものキラキラした目でまっすぐ問いつめられてるような感覚。 最後のスピーチには感動。でも子供が昔より早く大人にならざるをえない社会を感じて痛くもあった。おい大人、しっかりしろと言われた気がした。
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終盤の素晴らしさが神
これは空想話なんかじゃない! 一人の大人として「絶叫」を 現実に噛み締める必要があると感じました。 主人公は親の離婚で生活が一変した小学生。 引越し先で過酷な運命に晒された彼女が、 アパートでの出会いや 驚愕の出来事などを機に、 劇的な変化を見せていきます。 奇病で差別され、世捨て人のようだった おじさんのさりげない優しさと 真の強さが胸に響きましたよ。 中盤までの哀しみに染まる日々は 重くゆっくりで、正直、やきもきする瞬間もありました。 ですが、終盤にかけての 弾けるような勢いは最高に気持ちよかった! ゾンビみたいな外見の感染後遺症者が 登場するものの、本作の世界観は現実と地続きですね。 この国だって難病の後遺症者が およそ30年前まで隔離されていた事実がありますから。 いつまでも世の中からなくならない 差別や偏見、そして争い。 それに対し、主人公が 勇気をふり絞って声を上げる場面には 魂ごとガッチリ持っていかれた! 断言します。 これは読まないと人生の損失。 あのスピーチに触れる以上に 価値のあることなんて、そうそう無いですから。 (対象年齢は12歳半以上かな?)
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もっと掘り下げてほしかったが、ポプラ社では これが限界?
児童書で有名なポプラ社、小学生とぞんびのおじさんの交流、ということで ほんわかした話かと思いきや、いじめや差別、ヘイトをテーマにした作品でした。遥か昔の恋人に偶然再会したり、偶然目撃した ぞんびの知人が テロを起こし、そのテロ現場に あんず が偶然居合わせて襲われるなど、偶然が重なりすぎる点や、小学三年生にしては あんず が賢すぎる気もするけれど、読み物として楽しむことはできました。 ただ、ヘイトによる排斥の問題を描くなら、もう少し掘り下げてほしかったかな。この作品では、なにも悪いことをしていない ぞんび たちが排斥を受け、一方的に可哀そうな人たちとして描かれているが、世の中 そんな単純なものではないからね。
関連する文学賞
- Poplar Publishing Newcomer Novel Award 第12回(2022年) ・encouragement award