日本の文学賞

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ワシントンの街から
文藝春秋

ワシントンの街から

ハロラン芙美子

アメリカで暮らす著者が、ワシントンD.C.の生活風景を通して、政治都市の制度的な顔と、そこに住む人びとの感情や日常を描いたノンフィクションである。異文化の街を外から眺めるだけでなく、生活者の視点から人種、家族、社交、都市の空気をすくい取り、米国社会の人工的な仕組みと人間味のずれを見つめる。

にっぽん音吉漂流記
晶文社

にっぽん音吉漂流記

春名 徹

尾張の船乗り音吉が、宝順丸の漂流をきっかけに北米、マカオ、上海へと渡り、開国前後の東アジア外交の周縁を生きた軌跡を描くノンフィクションである。限られた記録から一人の漂流民の生涯を掘り起こし、モリソン号事件や通商、宣教、通訳の歴史を結び合わせて、幕末日本を外側から照らし出す。

動脈列島 (角川文庫 緑 463-1)
KADOKAWA

動脈列島 (角川文庫 緑 463-1)

清水 一行

『動脈列島』は、新幹線を標的にした社会派サスペンス。高度成長の象徴である交通インフラを舞台に、技術、組織、犯罪計画が交差する緊迫した長編推理小説である。

殺意という名の家畜 (角川文庫)
角川書店

殺意という名の家畜 (角川文庫)

河野典生

失踪した若い女性の痕跡を追う語り手が、都市の退廃と暴力の気配の中へ踏み込んでいくハードボイルド小説。青春群像の危うさと、事件の背後にある冷えた人間関係を鋭く描く。

英国鉄道物語
晶文社

英国鉄道物語

小池 滋

『英国鉄道物語』は、小池滋によるイギリス鉄道史と文学文化を結びつけた評論。鉄道の誕生と発展、時刻表や旅行の文化、ディケンズをはじめとする文学や推理小説に現れる鉄道を通して、近代イギリスの社会と想像力を描く。

遠き落日 上
KADOKAWA

遠き落日 上

渡辺 淳一

渡辺淳一が吉川英治文学賞を受賞した二つの歴史小説。『遠き落日』は野口英世の生涯を、会津の貧しい少年時代から渡米後の研究生活まで、医学の栄光と人間的な弱さを合わせて描く。『長崎ロシア遊女館』は幕末から明治へ移る長崎を舞台に、医学、異国との接触、遊女たちの哀歓を短編連作的に描く。

春よこい (偕成社の創作文学)
偕成社

春よこい (偕成社の創作文学)

はまみつを, 武部本一郎

『春よこい』は、はまみつをによる児童文学作品。春を待つ季節の感覚を背景に、子どもたちの心の動き、友だちや家族との関わり、身近な地域の風景をやわらかな語り口で描く。

七瀬ふたたび (新潮文庫)
新潮社

七瀬ふたたび (新潮文庫)

筒井 康隆

『七瀬ふたたび』は、他人の心を読む力を持つ火田七瀬が、同じように超能力を抱えた人々と出会いながら逃避行を続ける長編である。SF 的な設定を用いながら、異質な者が社会の中で孤立し、追いつめられる不安を描く。