郡虎彦: その夢と生涯
『郡虎彦』は杉山正樹による作品で、芸術選奨文部科学大臣新人賞の1988年回で選ばれた。受賞作として、作者の関心や表現の特徴を伝える一作である。
作品情報
芸術選奨文部科学大臣新人賞で選ばれた杉山正樹の『郡虎彦』。
『郡虎彦』は杉山正樹による作品で、芸術選奨文部科学大臣新人賞の1988年回で選ばれた。受賞作として、作者の関心や表現の特徴を伝える一作である。 岩波書店の刊行物として読者に届けられた。
書籍情報
- 出版社
- 岩波書店
- 発売日
- 1987-08-01
- ページ数
- 280ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784000008075
- ISBN-10
- 4000008072
- 価格
- 434 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
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レビュー
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物足りない
日本人としては珍しく、イギリスで創作活動にいそしみ、自作の脚本が上演される機会を得た。時代的にも開国から半世紀も経ない時代の、海外における日本人として注目に値する人物の評伝である。似た環境の人物としては野口米次郎がいるくらいだろう。しかし野口にレオニーというほとんど代作者と言う存在があったように、郡にもヘクターという女性が存在する。彼女たちの才能と語学の才と、献身的な協力を過小評価し、海外で活躍する日本人と言う面を強調するのは、いささか評価に正当さが欠けると言えよう。また第1次大戦前後の郡の日常があまりに情報が乏しく、わずか数行で終わっている面は物足りない。この厳しい時代に、ヨーロッパにいた日本人がどのような辛苦を経験したか、藤田嗣治の例などが有名だが、郡に関してももう少し詳しい情報が欲しい。海外における日本人の活躍と言う面からは興味深いが、その面を強調しすぎると、肝心の作品の評価に誤りが生じる。ヤマタキクのように、日本人の枠を越えた人物はまだ多い。そういう人たちを「日本人を捨てた」と切り捨てる評価で満足することは間違いである。日本人であることを意識させないくらいに海外で活躍している人の多いことを、再認識すべきであろう。その意味で郡は、一流の文学者ではなかった。また、海外に出たままの日本人を網羅的に回顧する評論もあってほしい。