作品情報
近代中国知識人の日本留学を、憧れと警戒が交差する精神史として描く。
岩波書店刊。第一章から第六章まで、留学前後の摩擦、留学生社会の生態、日本像の形成、戦争とナショナリズムの変化を追う。近代東アジアの交流を、制度史ではなく知識人の内面と相互認識の変化から読む一冊。
レビュー要約
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目次からは、留学制度や学校生活だけでなく、人類館、遊就館、日露戦争への反応など、精神面の揺れを多面的に扱う構成が評価できる。
書籍情報
- 出版社
- 岩波書店
- 発売日
- 1991-12-05
- ページ数
- 380ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784000016896
- ISBN-10
- 400001689X
- 価格
- 83 JPY
- カテゴリ
- 本/人文・思想/教育学/高等教育
日清戦争から辛亥革命にかけて,中国から日本に大勢の男女学生が渡来した.東アジアの歴史変動のなかにあって彼らはいったいいかなる精神のドラマを体験したのか.数多くの例に即し,その意味を内在的に明らかにする.
レビュー
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清末の留学生は日本で何を学んだか
清末の中国は、もはや中華大国として独立自尊というわけにいかず、変法維新・改革を求める声が巻き起こる。しかし漢族は支配され、革命か、改革か、明確な路線に結集できるはずもなかった。曽国藩がアメリカに留学生を送り、李鴻章がイギリス、フランス、ドイツへ送ったが、甲午戦争(日清戦争)の敗北で洋務運動は終焉し、今度は日本へ学生を送る時代となった。本書は以後、辛亥革命までの時代の日本への留学生の体験を、親中派日本人、為政者や知識人との交流を交えて、詳細に物語る。日本は土足厳禁、毎日風呂に入り、畳に布団を敷いて雑魚寝をするという暮らし方に、中国人は驚く。街に出れば、辮髪が豚の尻尾よろしく、チャンチャン坊主と子供たちにはやし立てられ、人類館では纏足女性に注目があつまるといったことから、様々な教育機関での授業、方々の見学、日本側の差別的な対応、日本で学んだことの中国への導入の苦労など、実に盛沢山の記述に出会う。日本も努力しなかったわけではないが、しかし、中国人留学生は親日にはならず抗日になった。なぜ抗日になったのか、本書を読みながらいろいろ考えさせられた。辛亥革命後、留学はフランスに向かう。「留仏勤工倹学」運動である。本書は1991年刊行で、2009年の第5刷を買っていて、このほど通読した。中日関係には難しい問題がたくさんあると改めて認識した。
関連する文学賞
- 大佛次郎賞 第19回(1992年) ・受賞