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敗者の精神史

大佛次郎賞

敗者の精神史

山口昌男

『「敗者」の精神史』は、山口昌男による大佛次郎賞の対象作。作品名が示す題材を軸に、人物、時代、場所、記憶の手触りをたどる作品として読める。

受賞作大佛次郎賞人物と時代記憶

作品情報

「敗者」の精神史という題名のもと、山口昌男が対象に向き合う姿勢が前面に出る作品。

『「敗者」の精神史』は、山口昌男による大佛次郎賞の対象作。作品名が示す題材を軸に、人物、時代、場所、記憶の手触りをたどる作品として読める。

レビュー要約

  • 題材への着眼と読みやすい構成が評価される一方、背景知識を求める読者にはやや専門的に感じられる部分もある。

書籍情報

出版社
岩波書店
発売日
1995-07-21
ページ数
596ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784000029667
ISBN-10
4000029665
価格
3 JPY
カテゴリ
本/歴史・地理/日本史/一般/日本史一般

淡島椿岳・寒月,土田杏村らは明治維新以後の階層秩序から離れて独自の道を探究し,吉野作造は多様な魅力ある人々とつながっていた.本書は「敗者」の視点で近代日本を見直し,彼らの中から知的遺産を発掘する.

レビュー

  • 薩長史観と反逆の神話と包摂化

    お前がいうな案件ですが、序列の網の中からはみ出した者が奇人・変人枠で挫折したもの達であるが、 それらも包摂されて秩序の枠内で飼いならされて商業化、医療化してしまうのがオチの世の中になりました。 戦後以降は変人・奇人の好事家や収集家やバックパッカーはアングラ、オタク、サブカル、芸能人、芸術家、芸人、 学者、個人経営者、作家、相場師枠の中にだいたい収まる形になり、ネットの発展以降はSNS上で可視化されて変人・奇人のショーケース、陳列状態で商業化やインフルエンサー化を競い合うエピゴーネン達の戦場になった感があります。やはりそれも社会不適応者が多くて実家の太さに依存しがちなデカダンスでもあります。平成奇人伝は『ドロップアウトのえらいひと』なんかがあてはまるのかもしれない。それ以外のカテゴリーの人や書籍もあるとは思いますが…(アウトロー/アウトサイダーなど)

  • 賞賛に値する中身の美本

    人類学者の研究域を遥かに超えた素晴らしい著書に触れ嬉しく、没頭して二段組みの分厚い美本に取り組んでいます。

  • 超コッテリの分厚いステーキを沢山いただいたという気分

    本当に山口先生恐るべしでございます。圧倒的集中力とパワーでグイグイ書かれたという感じ。先生の好奇心はまさにとどまることがなかったのでございますね。超コッテリの分厚いステーキを沢山いただいたという気分です。 薩長が仕切った明治政府に背を向けた方々など多数登場。 本当に力作です。オススメです。読むのには結構体力が必要ですが…。カバーの袖には「近代日本の歴史人類学の課題がここに達成された」なんて書いてあります。でも,山口先生にしてみれば,これでもまだまだ全然書き足りていらっしゃらないと思います。明治大正昭和初期の大海のほんのちょっとしか紹介できていない,と先生はお考えだったことでしょう。それでも私なんぞには十分面白い。東京の話が多いということもありますが。 さてさて,で,産業革命時とか明治維新後とか戦後占領下の日本とか,変化の激しい時代に多様な世代の人々(特に「時代の波に乗りそこねた人々」)がどう対応してきたのかという研究も読みたくなりますなんて思っていたので,ちょうどいいかなと思ったのですが,本書で山口先生が紹介してくださっているのは,「別の波」を創った(あるいは乗った)人たち。あえて一言で言ってしまうと「婆娑羅」な人たち。これはこれで参考になるのでフムフムと拝読したわけですが,ホントのところは,もっと普通の人たちの生活史を読んでみたいと思っていたのでした。しかし,なるほど,だから宮本常一さんの『忘れられた日本人』が名著とされているのだろうということがわかりました。これはむずかしい仕事なんですね。 ただ山口先生は,そこから学ぶものは何もないとお考えなような気もします。特に「周縁のダイナミズム」を浮き上がらせるというのが,この本のテーマでしょうし,安い飲み屋で愚痴ってるサラリーマンの歴史なんて知ってナンボのモンよということなのでしょう。でも知りたい。

  • 知の宝庫

    これは山口昌男の『「挫折」の昭和史』に続く続編と見ていいだろう。明治の藩閥政府によって作られたヒエラルキーを避けて自発的な繋がりで、別の日本、もう一つの日本、見えない日本を作り上げてきた人々が存在した。彼らは当然勲功の対象にもならないし、書かれたものも散発的でよほどの積み重ね作業を行なわないと全体の眺望を得られない人々の繋がりであった。しかし著者は21世紀に日本が生き残るために見習わなければならないのはこれら「敗者の視点」で日本近代を見直すことだと訴える。 著者は「モダニズム」の担い手として百貨店に注目し、三越百貨店を中心とする都市文化とそれに連なる人々を紹介して行く。次に「変り者」のモダニズムとして淡島椿岳・寒月父子と同時代の記録者内田魯庵を採り上げ、戊辰戦争で敗れた諸藩出身者の明治以後の生き方を紹介する。また大正時代から吉野作造と小杉放庵、絵画の世界から久保田米僊を採り上げて彼らを中心とするネットワークを紹介、最後に明治維新とともに静岡に退いた幕臣たちのその後を紹介する。 この本も大変なボリュームで読み終えるのに労力を要するが、前著同様に知の宝庫でどこを読んでも興味は尽きない。

  • 山口昌男さんのこと

    もう亡くなられたが、その博学ぶりには関心させられる。

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