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敗北を抱きしめて 上: 第二次大戦後の日本人

大佛次郎論壇賞

敗北を抱きしめて 上: 第二次大戦後の日本人

ジョン・ダワー

『敗北を抱きしめて』は、ジョン・ダワーによる歴史書。占領期日本を敗戦の体験から捉え直し、社会変化と人びとの心理を多層的に描く。

歴史記録個人の生

Work Information

敗北を抱きしめては、題名が呼び込む世界を手がかりに、人や時代の輪郭を静かに浮かび上がらせる。

『敗北を抱きしめて』は、ジョン・ダワーによる歴史書。占領期日本を敗戦の体験から捉え直し、社会変化と人びとの心理を多層的に描く。 受賞作としての読みどころは、題材の珍しさだけでなく、人物や出来事を通じて時代の空気を伝える点にある。読者は、物語や論述の進行に沿って、背景にある社会や価値観の変化までたどることができる。

Book Information

Publisher
岩波書店
Published
2001-03-21
Pages
400 pages
Language
日本語
ISBN-13
9784000244022
ISBN-10
4000244027
Price
3150 JPY
Category
本/ノンフィクション/思想・社会/戦争/その他

1945年8月,焦土と化した日本に上陸した占領軍兵士がそこに見出したのは,驚くべきことに,敗者の卑屈や憎悪ではなく,改革への希望に満ちた民衆の姿であった.勝者による上からの革命に,敗北を抱きしめながら民衆が力強く呼応したこの奇跡的な「敗北の物語」を,米国最高の歴史家が描く.20世紀の叙事詩.ピュリッツァー賞受賞.

Reviews

  • 日本人が書いた本以上かも

    アメリカ人ながら、アメリカの当時の政策を正当化することなく、かといって日本に肩入れするでもなく、割と多角的に中立的な立場から書いてくれている本だと思う。西欧の歴史観では当時の日本は絶対悪ということにされているので、この原著が英語で流布していることには意味があると思う。

  • 現代の日本人では書けなかった論点

    この書を一言で表せば、 「『天皇制民主主義』の形成過程」である。 日本の研究史が「民主化」から「冷戦」を経た 「逆コース」への動きを通説とするのに対して、 本書は「逆コース」以前に形成された 「天皇制民主主義」の枠組みに至った経緯を論じている。 天皇制の危機事態を、異なる可能性があったとの視野から 相対化する、という考え方は、日本人の視点からは欠落する。 さらに、返す刀で日本の親米派の言説をも砕く。 アメリカの「傲慢で植民地主義的な」占領政策は、 理想主義的ではあったが、その達成の為に 官僚制と検閲システムを利用した。 この事が、日本人に対し「どこまでが解釈領域なのか」 を自発的に悟らせ、報道、ひいては思想的な「自主規制」に 至らしめた。 さらに、アメリカの占領政策の遂行から 天皇制を護持する必要から、 法理論上の根拠を踏みにじって遂行された東京裁判は、 『日本人自身で戦争犯罪者を裁く契機』を喪わしめ、 「侵略の加害者」から「戦争の犠牲者」への自己規定に 至らしめる契機となったとの視野も、 やはり日本人研究者から総論としては出てこないものだった。 著者は流石に第一級の研究者であり、 オーソドックスな占領期研究の蓄積をきちんとこなしていることは、 文献リスト、協力者として掲げられている研究者を見れば判る。 また、かなり左派的な観点から書かれているが、 批判の俎上に登っているのは日本ではなく、 日本の占領統治を通じたアメリカである。 エピローグのマッカーサーに対する叙述を読めば、 エスノセントリズムの観点を できるだけ中和して書こうとした意図を伺える。 天皇制支持者としては天皇の能動性に対してやや辛い印象を持つが、 日本人ではこの論述はまずタブーであり、 まして占領統治全体におけるキー概念として駆使することはできない。 第一級の海外研究者のみが為しうる俯瞰図であり、佳作である。

  • 外国人から見た戦後日本

    日本人には、なかなか中立の立場は難しいのでしょうが、安心して読めました。やや手厳しい所もあったような記憶が…。日本人によって戦争責任が追求できるとよかったなあ。あまりにもひどく負け過ぎました。

  • 占領統治を概観するにはもってこい

    敗戦後の日本における民主主義受容の過程を、「庶民」、アメリカ 日本政府、などそれぞれの立場から、多くの文書や大衆文化の 実例を挙げながらまとめ上げた本。 この本を読み始めたとき一番知りたかったのは、なぜ日本人がアメ リカの占領統治を簡単に受け入れ、そして民主主義の確立を待望し たのか、という点だった。 だが、この本は、戦後の庶民、政府、アメリカ、それぞれの思いや 事情について網羅的に触れているため、その疑問に対する明確な答 えは描かれない。「民主と愛国」という、戦後の言説に焦点を絞り、 戦後思想を総括してみせた本なんかに比べると、やや不十分な印象。 とはいえ、戦後の占領統治について概観できるような知識が欠けて いるぼくのような人には、頭の中が整理されて有益だった。皮肉や 冗談混じりの文章もうまく織り込んであって、挿話の選択も絶妙。 小説を読むように物語を追うことが出来て心地よかった。一般向け の歴史書でこういった本があるのは、とっても大事なことかと思う。

  • あなたが戦後生まれなら、強くお勧めです

    私自身は、団塊の世代よりやや若い世代で、戦争や戦後について直接は何も知らない。祖父や祖父の世代の人々から、戦中や戦後の話を断片的に聞いたことがあるだけだ。戦争で息子を失った父や母の思い、特攻隊、大空襲・・・。 学校では、戦後の日本の歴史は大して教えてもらえなかったし、エコノミックアニマル(?)と呼ばれた時代を駆け抜けてきたから、本格的に調べたこともなかった。ただ、興味は持っていたし、何故、全体像の分かる資料が見つからないのかなとはいつも思っていた。 この本は、私が出会った中では、日本の戦後(1945〜1951年)、GHQが日本を占領していた時代についての最良の書物だ。この本は冒頭の「日本の読者へ」にあるように、日本人の支配者層だけでなく、貧困層も、中間層も、都会の住人も、農村の人々も、政治家や資本家だけでなく、闇市のヤクザの商売人も、つまり日本人「みんな」を扱っている。 ピュリッツァー賞を取った書物であり、大部なのに、よく出来た小説のように読みやすい。アメリカ人の学者がアメリカ人のために書いた書物だ。アメリカ人の視点で、勝者の視点かもしれないが、日本的な保守やリベラルの視点によるバイアスは気にしなくても済む。 上巻は、終戦の日に玉音放送を聞いた農村の女性の話から始まる。彼女のその時の思いは、満州に出征している夫に対する「ああ、どうか自決しないで」だったと記されている。上巻は、そこから、民主主義と反応、敗戦後の虚脱、闇市、パンパン、カストリ文化と断片的にしか聞いたことのない戦後の現象についての詳しい描写が続いている。 祖父の世代から聞いた断片的な話が、この本のおかげでつながった部分もある。この本に出会えたことに感謝している。 下巻ももちろんお勧めです。

  • 生きているうちに読めてよかった。

    こういうものは第三者の目の方が冷静にかけるのかもしれない。戦争にはどっちが悪いなんてことはないと思うが、決着がついた後の「責任の取りよう」にはその国の性質が現れるのではないか。ほとんどの誰もが責任を取らず、やや被害者意識が先行するこの国に戦後生まれた自分。知っておいた方がよいことが、この本の中にたっぷりと詰まっている。

  • 貴重な歴史資料であることは間違いない

    日本の戦後ドキュメンタリーを描いた本です 著者の立ち位置は一面公平です 歴史事実の記述部分には、日本とアメリカそれぞれの主張が、表裏ともに描かれている 全体的に見れば、非常に有益且つ貴重な歴史資料である 残念なのは以下の点 ・大東亜戦争は侵略戦争であるという偏った立場での見解。 ・アジアの人々を苦しめる自分勝手な侵略戦争を行ったという誤った認識。 ・中国や東南アジアで残虐な行為を行ったというプロパガンダにとらわれた認識。 ・天皇が退位しなかったのは納得がいかないという個人的考えに基づく記述。 特に良い点は以下の点 ・読み進めていくうちに、今まで知らなかった戦後の庶民の姿が感じ取れる。 ・具体的な数字や写真をあげて、当時の新聞や週刊誌の内容など、資料に基づいた記述になっている ・ヤミ市や、それに関わる人々に関する部分は、特に他の本では味わえないリアリティがある 上記の偏った認識に基づいた記述さえなければ、教科書にしたいくらいの良い内容だと思う 山本七平氏の戦争体験記等で、戦争のリアルを学んだ後に読むと、正しい認識で読めると思う しかしながら、今後、これ以上の内容を書ける日本人は現れるだろうか?

  • 我が国の戦後の世相が

    敗戦直後の我が国の民衆の世相が、なんのテラいもなくありありと書かれています。特に驚いたのは、民衆の食糧難の折、怒った民衆が皇居に押しかけた時、民衆の塗炭の苦しみをあざ笑うかのような天皇の豪華な食事が並べられていたという記述に、怒りさえ覚えました。 今、日本人の民度が世界的にも優れているということを民族主義者たちは懸命にアピールしているようですが、敗戦直後の食糧難、住宅難の時代の日本人の行動は、略奪、強盗など頻繁に起きていたという事実を曇りなく受け入れる必要があります。 衣食住足りて礼節を知るということの実証です。 それにしても、GHQの政策に、その後の日本の在り方にどこもまで考えていたのか、疑問が大きくなります。 日本を共産主義に対抗すべく将来のアメリカの防波堤にしようとした時のアメリカ政府の戦略が成功した稀有な例でしょうか。

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