日本の文学賞

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家計からみる日本経済 (岩波新書 新赤版 873)

石橋湛山賞

家計からみる日本経済 (岩波新書 新赤版 873)

橘木俊詔

戦後日本経済を、企業や生産ではなく家計の側から読み直す新書。長期不況、格差、雇用、社会保障の問題を生活者の実感に引き寄せて論じる。

日本経済家計格差社会保障

作品情報

経済成長の陰で、家計に何が起きていたのかを問い直す。

橘木俊詔の岩波新書。高度成長と長期不況の影響を家計から分析し、産業中心の発想から生活重視への転換を説く。

レビュー要約

  • 生活者の視点から経済政策を問い直す点が評価される。専門的な論点を新書の読みやすさで整理し、格差や貧困への問題意識を前面に出している。

書籍情報

出版社
岩波書店
発売日
2004-01-20
ページ数
213ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784004308737
ISBN-10
4004308739
価格
792 JPY
カテゴリ
本/ビジネス・経済/経済学・経済事情/各国経済事情/日本/一般

戦後,目覚しい高度経済成長を遂げた日本.しかし,経済成長に主眼を置いた政策は,一方でゆとりある人間らしい生活を常に犠牲にしてきた.そして,いま長期不況のもとで,そうした政策の生んだ歪みが深刻化している.サービス残業は増え続け,所得格差は広がり,貧困家計は増大する一方である.本書は生活者の「家計」から日本経済を分析し,産業重視の政策が生んだ問題点とその対応策を提示する.

レビュー

  • 日本の最低賃金の低さ。。。

    読了:2017年049冊(4月4冊)★3.2 『家計からみる日本経済 (岩波新書)』2004/1/20、橘木 俊詔 (著) 11刷もされている、非常に名著らしい。私にはあまり響かなかった。戦後から現代までを家計の変遷で紐解く。単にデフレとかそういう面だけでなく、家計から社会性を見出す検証が興味深かった。特に女性の社会進出(後退?)について。戦中は男女共働きが一般的で、世界でもその確率はかなり高い方だったという。それが戦後好景気になるにつれて、所得は増え、日本人の勤労意識の高さ(?)から男性は朝から晩まで働き続け、女性は今までの労働から進んで解放され、“専業主婦”が増加して、憧れの“職業”となる。そして、現代。その波は戦中に戻り、夫婦共働きの割合が過半数を占めている。時代は巡り、その当時の人々の意識や常識も変わる。その趨勢は面白いなぁと素直に思った。 また、日本の最低賃金の低さも驚いた。確かに、生活保護受給額より時給×労働時間の方が低ければ、人は働く動機を失う。このような逆転現象が起きている国は珍しいという。最低賃金の向上は喫緊の課題である。 ───自分が負担するのは拒否するが、誰か他人が負担することによって、自分の社会保障受給額を増加させたいというやや身勝手な論理を、国民は考えている。負担がない限り福祉のサービスはあり得ない、という最も基本的な命題を国民は理解して欲しいものである。高福祉・低負担、あるいは高福祉・中負担、というのはありえない。高福祉を望むなら高負担は必要条件であるという認識が必要である。ただし、国民が低福祉・低負担を望むのであれば、それも選択なので、話は難しくないし、政策対応も容易である。(p.184)

  • 日本経済の現状を概観

    「行き先を見失った日本経済」「家計からみた戦後の日本経済」「豊かさを実感しない家計の存在」「家計の経済危機」「社会保障制度改革と家計の対応策」。各章のタイトルは面白そうだが,内容にはそれほど目新しさを感じられない。従来,言われていたことが体系的に整理されているところが長所か? 貧困家計の増加,失業者の増大,生活への不満,世代間の抗争,社会保障改革の不徹底(p.191)だけは,確かなことだ。 著者による日本の所得格差拡大傾向の実証は「日本の経済格差」に,また税の投入による年金改革は「消費税15%による年金改革」に詳しく,その議論が再論されている。医療保険制度についても一本化が望ましいと述べられている。文体は,歯切れがよい。

  • もう少し違う視点が欲しかった・・・。

    『家庭経済学』の部類ではなく、 通常の経済学で、視点を家計に置いた内容です。 家計を取り巻く経済環境(社会保障、労働)について、 データを持ちながらわかりやすく書かれています。 知識の無い人でも読みやすく、 勉強になると思いますが、 個人的には、 もっと家計の中身まで深く取り上げてもらいたかったです。 提言内容などは共感のできるものでした。 評価としては星4つです。

  • 生活不安解消のために社会保障制度改革を

    家計は日本の経済成長の果実によって豊かになったとされるが、それは本当なのだろうか。現在の家計がかかえる問題は何だろうか―――このような漠然とした問いから出発し、本書は、第一に、長引く不況から脱出するためには何が求められているのかという短期的な問題と、第二に、低成長社会を生き抜くために何が必要かという中・長期的な問題とを、家計の行動に焦点をあてて論じるものである。 それではなぜ家計に注目するのか。経済行動を行う主体は、家計、企業、政府に三分されるが、経済の規模からすると、実は家計が一番大きい。にもかかわらず、景気循環や経済成長を論じるときには、企業や政府の行動に注目することが多く、家計消費のあり方に注目する論者は少ない。ここに、家計に注目する意義がある。 第一の問題についてであるが、バブル崩壊後の長期不況下において、従来の財政・金融政策が効力を発しなくなったとされるが、その理由のひとつとして、将来への不安という心理的要因が家計消費を冷却させていることが挙げられる。そして、それら生活不安を解消するためには、年金、医療、介護など社会保障制度の抜本的な改革が求められると筆者は考える。具体的には、普遍主義の考え方に立ち、並立する制度の統合・一本化、財源の税収への移行による、高福祉の実現を唱える。もっとも、日本では公共部門の提供するサービスに対する不満、不信感が強いため、国民は簡単には高負担を受け入れない。そこで、公共部門のサービスの効率化が避けられないとされる。 第二の問題については、高度成長社会から低成長社会への移行にともない、華美で贅沢な消費の抑制、「働きすぎ」から脱し余暇を楽しむような人生観への転換の必要性が唱えられる。

  • 数字というのは説得力があるね

    日本経済に元気が戻らない。なぜか。一番の稼ぎどころの「消費」に元気が無いからである。なぜか。年金、福祉、共稼ぎ、サービス残業、幾つかの要因が、説得力持つ「数字」でもって説明される。あるいは学者からの指摘で、あらためて、ああなるほどな、ということも多かった。 元気に戻す対策では幾つかはっきりしないところはあったが、分析部分は数字に疎い私でもなんとか付いて行けるレベルだった。 家計というのは日本経済の土台部分である。上から下を見るよりは、下から上を見たほうが物事の本質ははっきり見えるようになる。

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