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ふくしま原発作業員日誌 イチエフの真実、9年間の記録

講談社ノンフィクション賞

ふくしま原発作業員日誌 イチエフの真実、9年間の記録

片山夏子

書籍情報

出版社
朝日新聞出版
発売日
2020-02-20
ページ数
464ページ
言語
日本語
サイズ
18.8 x 13 x 2.5 cm
ISBN-13
9784022516671
ISBN-10
4022516674
価格
1870 JPY
カテゴリ
本/ノンフィクション/思想・社会/エコロジー

【第42回 講談社 本田靖春ノンフィクション賞】、【第20回 石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞 奨励賞】のW受賞! 終わらない廃炉、イチエフ作業員たちの声 「誰かがやらなきゃならないなら俺が…」(47歳・下請け作業員) 「ゼネコンはいいなあ。俺らは原発以外仕事がないから、使い捨て」(35歳・カズマさん) 「自分は“高線量要員"だった」(45歳・下請け作業員) 「作業員が英雄視されたのなんて、事故後のほんの一瞬」(56歳・ヤマさん) 「地元では、東電社員になることは憧れだった」(30代・下請け作業員) ジャーナリスト青木理 絶賛! ! 人類史でも未曾有の原発事故から9年、本書ほど「現場」に迫った記録はない! 【内容】 高線量下で日当6500円、作業員の被ばく隠し、がん発病と訴訟… 箝口令が敷かれた作業員たちを、東京新聞記者が9年にわたり取材し続けて見えてきた、福島第一をめぐる真実 【構成】 福島第一原子力発電所 構内図/原子炉+タービン建屋図/汚染水をめぐる構図 目次 序章 1号機、3号機、4号機で水素爆発/不眠不休で危機に向き合った作業員たち……他 [1章] 原発作業員になった理由–––––2011年 ●全面マスク内は汗との闘い(シンさん)/初めて足を踏み入れたイチエフで身震い/防護服を着ても、被ばくする/7次請け、8次請け……原発の多重下請け構造「/福島のためにありがとう、でも……」/政府が作り出した「冷温停止状態」の意味/原発と暮らしてきた町/頭から汚染水をかぶった作業員●/現場の情報、ちゃんと教えて(作業員)/●吉田所長お疲れさま(ケンジさん)/政府の事故収束宣言に、作業員らの怒り「/人の声も、生活の音も、夕飯の香りもしない」……他 [2章] 作業員の被ばく隠し–––––2012年 ●津波きたら、イチエフはもたない(作業員)/続々と起こる仮設ホースの汚染水漏れ/年度末を越えれば被ばく線量は「リセット」/「脱原発依存」と「再稼働」の矛盾/会見の説明から消えた「炉心溶融」/「事故」→「事象」、「汚染水」→「滞留水」。東電、原発用語に言い換え●/春―「チャッカ」のない海(ケンジさん)/●高線量恐れず2号機格納容器に穴開け(セイさん)/原発は絶対安全なはずだった/幼い子どもたちと原発近くには住めない/退社する東電社員、とどまる東電社員/1〜4号機が廃止に「/津波への備えが不十分なことは知っていた」/四つの事故調査委員会、事故は「人災」か「天災」か/追いつめられた作業員らが「被ばく隠し」/「賃金、手当ピンハネ」労働局に訴え「/自分は〝高線量要員〞だった」/隠蔽される事故「上に報告しないでくれ」/●「絆」って何だろう 事故後に増えた離婚(カズマさん)/賠償金を「もらえる人」、「もらえない人」/「ちりとりで汚染水をすくう」記事に厚労省の圧力……?他 [3章] 途方もない汚染水–––––2013年 ●積雪これほどとは(シンさん)/自民党、原発ゼロ見直し「事故収束宣言」に答えぬ旧政権「/俺の存在は線量だけなのか」/超高線量の建屋内、5分が限界/責められる東電社員の家族/急ピッチで進められるタンク造り/広がる汚染水対策、国費470億円投入●/無駄な視察なら来るな(ヤマさん)/「原発で働いていると言えない」/●吉田所長安らかに(作業員)/「あんたらマスコミのせいだ」と怒られる/安倍首相「アンダーコントロール」、2020年五輪が東京に/国の圧力「急げ、急げ」作業10時間超え発覚/収束宣言を境にがん無料検診で差別……他 [4章] 安全二の次、死傷事故多発–––––2014年 本当に日当は1万円上がる●?/ネオン輝く東京に違和感(ヒロさん)/労働環境改善アンケート「本音書けない」/●事故からまだ3年「忘れられるのが一番怖い」(ハルトさん)/過酷なタンク内の除染作業/土砂下敷きで作業員死亡、救急要請50分後/10時間超えの違法労働、再び「人間扱いされない、奴隷だった」/●資格のない溶接工だらけ(ケンタロウさん)/次に原発事故が起きたときの準備……他 [5章] 作業員のがん発症と労災–––––2015年 3カ所にがん、「病気になったら知らん」/2週間の工事中止による賃金不払いに、憤る作業員たち/壊れていく夫婦関係●/借金して社員に手当(ヨシオさん)/●結局、使い捨てなのか(ヨシオさん)/白血病で、原発事故後初の労災認定●/もうすぐ第2子誕生、被ばくの影響が心配(ヒロさん)……他 [6章] 東電への支援額、天井しらず–––––2016年 ●「東電の負担を減らそう」とボーナス大幅カット(東電子会社作業員)/●「パパいらない」(ヒロさん)/1〜4号機を囲む凍土遮水壁、海側だけ先行/お守りは金髪の無修正ポスター/溶接工の男性、白血病で東電と九電を提訴●「/ポケモンGO」で起きた奇跡(ヒロさん)……他 [7章] イチエフでトヨタ式コストダウン–––––2017年 ●被ばく線量と__体重ばかり増え(トモさん)/3号機で初めてデブリを捉える●地元の漁師と交流(チハルさん)/入れ墨の作業員とヤクザの作業員/俺たち線量役者か●/お盆は妻の墓に(キミさん)/「トヨタ式」のコストダウン●/デブリの取り出し何十年先(?セイさん)/原子力御三家と原発カースト……他 [8章] 進まぬ作業員の被ばく調査–––––2018年 敷地は安全? 作業員の労務費下がる●/イチエフには戻らない(リョウさん)/●「イチエフ病」(ダイキさん)/進まぬ疫学調査、受診者は2割強●/酷暑に重装備、医務室行けば「健康管理不十分」(ノブさん)/長時間労働で過労死……他 [9章] 終わらない「福島第一原発事故」–––––2019年 2号機格納容器内でデブリ持ち上げに成功●/事故当時の中高生がイチエフで働くように(ハルトさん)/●選曲は「負けないで」から「宇宙戦艦ヤマト」に(ヒロさん)/●五輪工事現場に違和感(チハルさん)/●イチエフにうまみがなくなってきた(ユウスケさん)/福島第一原発事故のコスト/120メートル排気筒を輪切りで解体「/福島第一原発」廃炉まで/作業員たちをめぐる労働環境と補償/立ち上がったチェルノブイリ収束作業員……他 解説 ―「小文字」を集めたルポルタージュ ジャーナリスト・・・青木 理

片山夏子 (かたやま・なつこ) 中日新聞東京本社(「東京新聞」)の記者。大学卒業後、化粧品会社の営業、ニートを経て、埼玉新聞で主に埼玉県警担当。出生前診断の連載「いのち生まれる時に」でファルマシア・アップジョン医学記事賞の特別賞受賞。中日新聞入社後、東京社会部遊軍、警視庁を担当。特別報道部では修復腎(病気腎)移植など臓器移植問題や、原発作業員の労災問題などを取材。名古屋社会部の時に2011年3月11日の東日本大震災が起きる。震災翌日から、東京電力や原子力安全・保安院などを取材。同年8月から東京社会部で、主に東京電力福島第一原発で働く作業員の取材を担当。作業員の事故収束作業や日常、家族への思いなどを綴った「ふくしま作業員日誌」を連載中。2020 年、同連載が評価され、「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」大賞受賞。現在、特別報道部所属。

レビュー

  • 緘口令が引かれる中、事故原発処理に当たる作業員の実態に迫る記者のレポート

    「原発作業員日誌」とあるが、東京新聞の記者が何とか現場の声を知ろうとして、聞きだしたものである。政府、東電の隠ぺい体質はすでに知られているが、記者が福島第一原発の現場の作業をする人々に聞くには、厚い壁がある。 「緘口令」はもちろん、誰がしゃべったかが分かれば「即くび」なる。迂闊な行動はとれない。 しかし、9年間も現場で働く作業員の生の声を拾っていく。筋立てたものではないので、その断片を読み、想像力を使いながら、読み取って行くしかない。それでも過酷な実態、作業員の待遇、身の処し方や事故原発に立ち向かう彼らの葛藤、家族関係が浮かび上がってくる。 記者としてももどかしいであろうが、また、もっと肉薄したい思いであったであろうが、ぎりぎりの線で不十分は承知で、実態に迫ったかなり厚いレポートである。 事故を起こした原発の後の処理的仕事であるが、誰かがやらなければならない非常に危険で過酷な現場の一端はつかめる作品である。

  • イチエフの作業員の方々の本音を纏めた労作です。

    数週間前の新聞に福島の原発作業員だった方が書かれた漫画本が売れていると言う記事が載っていた為、興味を持ちアマゾンで漫画本を閲覧した所、本書が目に付き本田靖春ノンフィクション賞受賞等のタイトルに惹かれ購入。福島イチエフに実際に携わった作業員の方々に長期間接し、丹念な取材に依って信頼関係を築き本音を纏めた労作である。何重もの下請け関係、放射線量の問題、防護服使用の過酷な作業、使い捨て同然の雇用関係、ない同然の補償関係、家族関係等の内容に胸が痛くなった。その中で体を張って何とかしようとする方々に感動を禁じ得なかった。

  • 原発問題

    原発問題の情報集めに役立ています。

  • 忘れてはいけない現実

    ヒロシマ、ナガサキ、ビキニと3回も放射能被害にあったことを忘れているのでしょうか? いまだに、避難民が困難な生活を強いられ、原発作業員も過酷な仕事を強いられていることを忘れては行けない。 地震多発地帯の日本で、原発をこれ以上増やすことは地球を破壊的する行為だ。 この本は忘れてはいけない現場の報告である。

  • 過酷な環境で作業しても所詮使い捨て....

    9年間にわたる原発作業員からの聞き取り取材を元に、本書は年毎で分類した章立てとなっているが、作業員の語る内容は必ずしも時間の経過には従っていない。様々な想いや事情により過酷環境での作業に携わることになった背景を考えるにつれて、切ない気持ちになってしまった。被ばくへの恐怖と時間と共に恐怖への慣れが増加し、遂には大量の被曝で退く事になる運命。被ばく管理の曖昧さとなかなか認定されない被ばく労災の実態が明らかになる力作。

  • 福島第一原発 「薮の中」を覗き見る

    事故発生時官邸は「メルトダウン」「炉心溶融」とは言わず「炉心損傷」と言い換えた。 それから2年後安倍晋三は汚染水について「結論から言うとまったく問題はない」 「状況はアンダーコントロール」 「0・3平方キロメートルで完全にブロックされている」 と言い切った。事実は汚染水は駄々漏れ。閉じ込める仮設タンクのパッキンの耐用年数は5年。何年閉じ込めるからわからない汚染水のタンクなのにである。 偉い人の発言は、都合のいい嘘ばかり。何しろ原発事故。下手をすれば東京電力、内閣なんか軽く吹っ飛ぶタブー中のタブー。 薮の中は見えない… しかし危険な事故処理をするのは作業員である。東京新聞の記者は9年間、原発作業員から聞き取り調査を続けそれをまとめた本である。 作業員の発言を尊重した編集であるため、重複や、専門的知識が疑われる箇所も多々ある。 まずは原発作業員の聞き取りをした東京新聞の片山夏子さんのジャーナリズム魂に拍手をおくりたい。 ちなみに、本書によれば各国の要人が集まるサミット期間中は作業が中止だそうである。 どうやら理由は、トラブルが起きると問題になるから… 本当なら稲川淳二の話よりもこわい。

  • 取材を受けた作業員ですが、

    約10年前になりますが、片山さんは誠実に取材されていたという感想ですね、私の当時のコメントが書籍として残るのは光栄の至りです。片山さんは東電や政府への対応への批判とは別にそれぞれの使命感を持ち出向いた我々作業員の生き様を伝えてくれたと思います。社会の為にと約6年間福島第一で復旧作業に従事して人々の役に立てたという足跡を伝えてくれた片山記者に感謝致します。

  • じっくり読みたい。

    日本政府と東京電力は国民に正確な情報を提供せず、「福島原発はアンダーコントロール」と安倍首相は行って東京オリンピックを招致した。 しかし、実際には課題が山積している。日々増え続ける汚染水処理問題。原子炉内の熔け落ちた燃料デブリの取り出しも当初の計画から大幅に遅れることが予想される。 フクイチがここまで到達するには、9年間に多くの下請けの人が自らの命と人生を懸けてきたからにほかならない。読み流す本ではなく、じっくり腰を据えて読むべき本だ。

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