日本の文学賞

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MISSING (角川文庫)

小説推理新人賞

MISSING (角川文庫)

本多孝好

デビュー短編集。さまざまなミステリ色の物語を収める。

短編集ミステリー記憶

作品情報

静かな海の底で、さまざまな謎が揺れる。

第16回小説推理新人賞で注目された作品。デビュー短編集。さまざまなミステリ色の物語を収める。

レビュー要約

  • 独自の発想を評価する声がある一方で、構成や読み味には好みが分かれやすい。

書籍情報

出版社
KADOKAWA
発売日
2013-02-23
ページ数
304ページ
言語
日本語
サイズ
10.7 x 1.2 x 14.9 cm
ISBN-13
9784041007075
ISBN-10
4041007070
価格
48 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品

もういない、大切な人へ 彼女と会ったとき、誰かに似ていると思った。 何のことはない。その顔は、幼い頃の私と同じ顔なのだ。 生徒に対して距離をとって接する私が、彼女にだけ近づいたのは 自然な流れだった――。 夜の海辺で、恋人と過ごした日々を回想する私。 だがその裏には、これまで見えていなかった真実が 息を潜めていた。(「眠りの海」) 「このミステリーがすごい!2000年版」第10位! 小説推理新人賞受賞作「眠りの海」を収録。 透明感溢れる哀切と驚きにみちた、デビュー短編集。

●本多 孝好:1971年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。94年「眠りの海」で小説推理新人賞を受賞。99年同作を収録した『MISSING』で単行本デビュー。「このミステリーがすごい! 2000年版」でトップ10入りするなど高い評価を得て一躍脚光を浴びる。以後、恋愛、青春小説などジャンル

レビュー

  • こういう本書き味の本をまとめたシリーズが欲しい

    非常に書き味が良い 読みやすさバツグンで有るのに 読後感も良くラノベほど軽すぎない

  • じんわりくる

    タイトルがタイトルでそういうお話集めてあるから当たり前なんですけどどうしても「人死なせるのすきだねえ」と、くどく思いながら読んでました。 ちょっと心霊的なお話もあり、夏に読むのにちょうどよいです。 それぞれの話の順番としては「瑠璃」を最初に、「蝉の証」を最後に配置した方がバランスよかったのではないでしょうか。

  • 買いかもしれませんが・・・。

    勤務していていた女子高の司書の先生から30数年前に勧められて買ったのを今の今までの積ん読で、もはや積んですらいなかったものをコロナ禍の断捨離で見つけて読みました。 内容については題名の通りに登場人物が近しい人を失った人であったり、近しい人を失ったと語る人であったりと、つまり喪失の物語を集めた短編集ですが、身近な人や、身近な人の身近な人の多くが少なからず亡くなった、還暦を目前に控えた現在では、おそらく若い頃に読んだのであれば得られたであろう感興が何割も削がれている感じがしました。

  • 少しネタバレあります

    『眠りの海』 自殺に失敗した先生の話です。海辺で、少年と焚火を囲んでいます。「先生、それはダメだろう」という恋愛を経て、自殺を決意したんです。何があったのか話を聞いた後の、少年の推理というか想像の鮮やかさが、小気味いい感じです。 『祈灯』 内容は、大学生の兄妹と、「幽霊ちゃん」というあだ名を持つ、妹の友だちの話です。「幽霊ちゃん」は、子供の頃、妹を交通事故で亡くしていて、それ以来自分をその妹だと思い込んでいるんです。その事故の真相というか、真相のようなものが明らかになるという話です。 『蝉の証』 老人ホームにいるおばあさんに頼まれて、ある人物を調べることになります。そこから芋づる式に意外な真実が現れて……という話。これはなかなか面白いです。 『瑠璃』 小学生の「僕」が主人公です。「僕」の姉がピアノをやっていて、海外に行くことになります。家族はみんな姉についていってしまいました。お留守番をしている間、親戚のルコがやって来るんです。 このルコという女の子が、破天荒な女の子なんです。玄関から入ってこずに、窓から侵入してきたり、運転できないのに、車を運転してぼこぼこにしちゃったり。 でも、ルコがずっと魅力あふれるルコの物語ではないんです。ルコも大人になって普通の恋愛をして、普通の人間になっていきます。そうした変化が描かれます。「僕」がルコに抱いている、想いの切なさが胸に残る作品です。 『彼の棲む場所』 図書館で働く「僕」の所に、教授で有名になった友達が訪ねてきます。そうして、過去のクラスメイトの話をします。 ところが「僕」はそのクラスメイトのことを覚えていないんですね。教授の抱える悪意というか、人間の内面が描かれる作品です。こちらもなかなかいい作品です。 どれも普通の日常にひそむ謎が、さりげなく明かされるような形式なので、読みやすいですし、なかなかの驚きもあると思います。

  • 少し辛口ですが

    短編集であり、それぞれの話が独特の雰囲気と 後読感があり面白かった。 ただ少し厳しめに言うと登場人物の発言の影に 作者の考え方だとか思考が見え隠れして 物語を楽しもうとしてもどことなく没入できなかった。

  • タイトルの意味が分かった。

    「彼の棲む場所」がこの中では一番面白かったです。文章が端的というか的確な部分で終わっているのでそれが切なさをより際立たせている印象を受けました。無駄な物は切り捨てる感じ。そういう文章のお蔭か、切ない話ばかりですがサラッと読み終わりました。「眠りの海」はどうなの?って思ったけど、話が進むにつれだんだんとひねりが効いてきて唸りました。短編が作者の発表順と知って納得。短編が進むごとに内容が良くなっている感じがします。いや、隠し玉をもってデビューしたの?とか思ってしまいました。

  • 少し不思議な

    著者のデビュー作品含む短編集。日常を描きながら日常から少し離れたミステリー。 穏やかであったり突然であったり、死との関わりを多く表現。そこから何を感じるかはそれぞれだが、普段はあまり意識しない心の裏側に触れるような気持ちになった。

  • ならば、さっさと歩き出そう。

    ピリッと来るのが唐辛子、ツンと来るのがワサビ。同じ辛さなのに、日本語とは奥が深い表現世界だと思う。 半額のシールが貼られたマグロのお刺身。家で切って食べようとするとワサビを切らしていた事に気が付く。銭形警部の出てこないルパン三世のような喪失感。子供のころは嫌っていたのに、今になってみればワサビの無い刺身は未完成だ。 でもワサビの辛さを表現するとき、もっとスッとする表現は無いものだろうか。口の中で齧ると喉の奥から鼻に向かって刺激と辛味と香りが絶妙なバランスを保ちながら通り抜ける。これを一言で表すと「ツンとくる」なんだかもったいないし、子供たちにも伝わりにくいだろう。 -------------------- 僕は手のひらを握り締めた。そこにある一本の線が、本当にその人の運命を決めてくれ るというのなら、僕は今これから神を崇拝したっていい。 -------------------- 本多孝好さんの繊細でどこか切ない描写は、その世界に一瞬でタイムワープさせる。特に、切ない恋愛小説で出てくる心境や環境の表現は、映画館の巨大スクリーンをたった一人で鑑賞しているような自分だけの世界観に浸ることが出来る。 病室の窓が開いてカーテンがなびく、著者のフィルターを通せばそれは、風の重さや季節の表情、空気の匂いで語られる。意識と無意識の間の感情すらも言葉にしてしまう。個人的にはシンプルな描写が好きなのだが、その言葉選びにはにやけてしまう。 -------------------- 夏場にはカップルに占領される土手にも、まだ涼しい風の吹くこの季節には誰もいなかった。靴底が砂利をする音と川の流れる音だけが聞こえた。川面が向かいの家の灯を映していた。 -------------------- 「MISSING」には5つの短編が収められている。生徒と教師の恋、無理心中、自殺、死んだ妹になった姉、結婚詐欺、不倫などの重たいテーマで、「死」について描かれる。 生きる者の心に半永久的な何かを残そうと死にゆく執念が、なぜか愛おしく、爽快感さえ覚えてしまう。晴れることの無い罪悪感と一緒にこれからを生きる人と、それぞれの事情があって死にゆく人。それなのに、どちらにも共感し、どちらにも同情してしまうのは何故だろうか。 -------------------- 「じゃ、さっさと出かけよう。夏は待ってくれないよ」 -------------------- 残された人が背負う荷物。その中身について正解かを判断するのは出来ないけれど、どちらにも事情があって、都合がある。背負ったモノの正体とこれから歩む道筋。どう繋いでいくかは、生き残った僕たちにしか選べない。それでも、生きていた間に徳を積んだ利子か何かで、生きる者の背中か足元かを照らして欲しいと願うのは、弱さと言うのだろうか。答えは出ずとも次の死は待ってくれない、ならば、さっさと歩き出そう。

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