作品情報
現代社会の裏側にある信仰と民衆の問題を、新聞企画として掘り下げた。
『宗教を現代に問う』は、毎日新聞の企画として菊池寛賞を受け、のちに書籍化された。宗教を個人の信仰に閉じず、社会、政治、生活の構造と結びつけて問う点に意義がある。
書籍情報
- 出版社
- KADOKAWA
- 発売日
- 1989-09-01
- ページ数
- 313ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784041636084
- ISBN-10
- 4041636086
- 価格
- 143 JPY
- カテゴリ
- 本/人文・思想/宗教/宗教入門
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レビュー
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70年代半ばの日本宗教事情
1975年秋から翌年末まで毎日新聞に連載され、菊池寛賞を受賞した記事を、1989年に文庫本化したもの。記者たちは、神は見えにくくはなったが現代でも死んではいないと感じ、当時スキャンダル報道が主であった日本の宗教に関する報道姿勢に挑戦し、宗教論ではなく、可能な限り現在の宗教の内部に入って徹底してルポする態度をとり、大塚久雄らの賞賛を得ている。本書で扱われるのは、伝統宗教の衰退と再生の試み(国際的な仏教・禅ブーム、水俣・被差別部落での宗教のあり方、住職の兼業・後継者難、過疎への対応、辻説法、諸宗派の宗門内争い、命がけの修行、修験道、日蓮宗不受不施派、沖縄のユタ・アブンマ・ウタキ・ニライカナイ信仰、宗教の商業化、霊園ブーム)、信仰宗教の国際的な興隆と社会問題化(エホバの証人、ザ・セブンス・デイ・アドベンチスト、GLA、統一協会、霊友会、立正佼成会、創価学会、異言の興隆、大台教会、松緑神道大和山、ほんみち、ゴミソ、孝道教団、世界真光文明教団、天照皇大神宮教、日本敬神崇祖自修団、弁天宗(笹川良一・松下幸之助らが崇拝)、能勢妙見山、生天光神明宮)、隠し念仏・カヤカベ教・隠れキリシタン、科学者・医者やヒッピーの宗教回帰傾向・まじないブーム等である。連載時期ゆえに、戦争体験や全共闘体験を持つ人物が現役で登場し、時代の移り変わりを感じるが、そこで問われている問題自体は、現在でも十分アクチュアリティを持つ。記者たちの真摯な取材ゆえだろう。個々の宗教の分析にもう少し踏み込んで欲しい面はあるが、読み物としても面白く感じた。
関連する文学賞
- 菊池寛賞 第30回(1976年) ・受賞