日本の文学賞

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スワンソング

島清恋愛文学賞

スワンソング

大崎善生

終わりへ向かうものの美しさと痛みを、記憶と喪失の感覚に重ねて描く長編小説。人が別れを受け入れていく過程を、静かな筆致で追う。

喪失記憶別れ再生

作品情報

終わりへ向かうものの美しさと痛みを、記憶と喪失の感覚に重ねて描く長編小説。

終わりへ向かうものの美しさと痛みを、記憶と喪失の感覚に重ねて描く長編小説。人が別れを受け入れていく過程を、静かな筆致で追う。

書籍情報

出版社
角川書店
発売日
2007-09-01
ページ数
342ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784048737890
ISBN-10
4048737899
価格
1650 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

情報誌編集部で同僚だった由香を捨て、僕はアシスタントの由布子と付き合い出す。しかし、由香から由布子への嫌がらせが始まり、由布子は鬱状態に。由布子にすべてを尽くす日々。そこに由香自殺の知らせが届くーー。

レビュー

  • つらすぎる本だけどそういうのが読みたい人にはバッチリ

    私はこの本がものすごく気に入りました!とあまり大声で言えるような内容では無いのですが、とにかく好きです。 私自身あまりポジティブ思考な人間では無いので終始由香と由布子の考え方と行動には共感しか無かったです。由香は突然振られてからの転落具合が凄まじいですし、それに対してどんどん責任と申し訳なさを感じてネガティブになっていく由布子も読んでいて共感しかなかったです。 主人公はまぁ…他のレビューだと優柔不断やらクズだとか何とか言われていたりしますが、結構あれがリアルなのではないのでしょうか?むしろ主人公は二人のメンヘラの女の子を抱えてよく走りきったと思います。結果は最悪でしたが。 由布子のレタス自殺の話も由香が毎年誕生日プレゼントでくれる酒の話も何もかもが好きです。 最期はとんでもない爆弾を用意していますが私はそれもすごく大好きです。そりゃないぜ…的な終わり方だとは思いますがw

  • とにかく切ない 「大崎ブルー」

    恋愛小説といえば、著者が多数上梓しているが、どの作品も独特のテイストに満ちている。男女ゆえの迷いや後悔が、独特のタッチで甘く切なく展開していく様を、私は「大崎ブルー」と呼んでいる。 どの作品も、読後に酩酊感を残すのが著者ならではだが、本作は20代から30代に差しかかる様々な葛藤を織り交ぜて展開していくのが最大の魅力だ。決して甘いばかりではなく、厳しい現実に打ちのめされるシーンあり、その意味では他の大崎作品と一線を画している。それゆえに、ラストシーンの空気感、「大崎ブルー」は、特別な青さをはなっいる。

  • 悲しく美しい。

    すごく悲しくて綺麗なお話だった。 ヒラヒラと舞う雪、東京の暗闇、長野の森の銀色。 そんな美しい光景がよみがえる。 三角関係や昔の恋人の自殺など、ありがちな設定かもしれない。 でも、この本の純粋すぎる強い愛に、思わず涙させられた。 良・由布子・由香の3人は、とても純粋で脆くて、優しい人物なんだなぁと思う。 3人とも寂しくて、愛されたくて、愛する人に優しさをあげたくて、不器用に生き抜いた。 あたしがもしも、この3人のどれかの立場だったら。 同じ行動をとれるだろうか。 こんなに純粋に、強い心で、愛を貫けるだろうか。 このお話を読んで、そんな事を考えました。

  • 重さに押しつぶされそう

    悲しい話に共感することを楽しみに読書や映画・テレビを見るひともいるだろう。 現実生きていくのは大変だから、ハッピー・エンドの話で夢をみたいひともいる。 後者のタイプの自分には、この小説は最初から最後まで重苦しくて、救いがない気分だった。 こんなに苦しい三角関係を続けるなら、せめてアルバイトの由香子が職場を変わればと思ってしまう。 タイトルは瀕死の白鳥が出す、悲しい声といった意味なんだろうか。 多分感動したひとと暗いと思ったひと、評価が二つに分かれる気がする。

  • 限りない喪失の物語

    ケータイもメールもなかった時代の恋愛小説。 男の身勝手さと曖昧さが導く、二つの恋のそれぞれの結末は限りなく悲しい。 そんな物語の中に、「摘蕾」とか「アルマジェミア」=「双子の魂」とか、 う〜ん…と感じさせるエピソードが散りばめられ物語の伏線として話を紡いでいくので、 結構引き込まれて読んでしまうのである。 原題は「摘蕾の果て」だったらしい。 「摘蕾」は見事な薔薇の花を咲かせるために、前年に全ての蕾を摘んでしまう育成法だという。 だとすれば、この小説の結末は、極限の美を授かった薔薇の花を咲かせるものになるはず。 しかし、私はこの小説の結末はそのようなものとは思えなかった。 最後まで、限りない喪失の物語のように思えるのである。

  • 物悲しくも透明感に溢れたストーリー

    ある人のblogで、 「気分が落ちているときにはお勧めできないが」 と紹介されていたので読んでみた。 確かにけして明るい話ではなく 息苦しいほど切ない物語ではあるのだが 透明感に満ちたストーリー。 コインランドリーのシーンは心に残った。 絵葉書や摘蕾のエピソードも良かった。 水割りの大好きな音が嫌いになるというのも、物悲しく感情移入しやすい。 わかれるのは相手も自分も否定することなのか。 裏切ることでしか始まらないのか。 個人的には、筆者が札幌出身ということで 雪や寒さ、都会の描き方に大して感じていたことに納得がいった。 日本語と、その曖昧さと複雑さで描かれるありきたりの風景の なんと美しいことか。 真摯であることの神々しさ。 出逢うこと、関わることの奇跡と煩わしさ。 私たちの、持っているもの。 孤独な都会の片隅で壊れかけていく人たちが 美しい筆致で描かれている物語。

  • 小さな小さな気持ちの変化にこそ、この小説の真髄がある

    強烈に支持する人と、上っ面を読んでイマイチという人に絶対的に分かれるであろう作品。 このストーリーの結末には何も待っていない、そんな気がします。 展開にすらあまりこだわっていないのでは?そんな気もします。 それよりもこのストーリーの過程にこそ大崎さんが描きたかったことが詰まっているような気がします。 微妙なココロの変化が生み出す人と人との関係。 人はどれほどまでに人のことを想えて、優しくなれるか。 それを小説の中で挑戦しています。でもきっとある程度の経験がないと書けないであろうこのストーリー、いつか聞いてみたい。

  • 重いけれど、胸に突き刺さる余韻

    25歳の主人公良ちゃんと由香は交際も3年になり、同じ職場では結婚も意識される関係だ。 そこにアルバイトで入ってきた21歳の由布子に良ちゃんの心が動いてしまう。 よくある三角関係で終らないのは、この3人がまだ携帯も無かった時だったのと、3人の人格によるものがあまりにも哀し過ぎる恋愛になってしまった。 人によってはあまりにも救いようがないこの恋愛が重すぎて抵抗がある人がいるように思う。 でも、適当に恋愛することは、恋愛の至上である喜びも深さをももたらしはしない。 だからこそ、この3人が適当に折り合いを付けて恋愛せず、一人の相手を執拗に求めざるを得なかった焦がれる想いに目を逸らすことがどうしても出来ない。 別れを受け入れた時自殺を選んだ由香も、そこに辿り着くまでの彼女の荒廃もやるせない。 その由香を無視することが出来ず、精神が崩壊してゆく由布子も、原因が分かるだけに、立ち直らせる言葉が見付からない。 もちろん良ちゃんにしても、男が苦手な感情を扱う不器用さから最初は伝わりずらいが、由香も由布子も真面目に恋愛してたことが後半じわじわ伝わるだけに、この本が一層重くなり、胸を掻き毟る切なさが充満してゆくのだ。 一人の人と深く恋愛出来たらいいのに、よりによって2人が重なってしまう悲劇。 自分の身体が引き千切られるような痛みを伴なう相手と別れなければならない恋愛の苦しさに、人が人を求める普遍なテーマだけに、重いけれど胸に突き刺さる。

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