日本の文学賞

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女騎手

横溝正史ミステリ&ホラー大賞

女騎手

蓮見恭子

阪神競馬場の落馬事故をきっかけに、女性騎手・夏海が事件の真相へ挑む競馬ミステリ。

競馬女性騎手落馬事故事件捜査ミステリ

作品情報

競馬界を揺らす事故の真相を、女騎手が追う。

第30回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作として2010年に刊行。

書籍情報

出版社
角川書店
発売日
2010-09-25
ページ数
301ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784048741149
ISBN-10
4048741144
価格
300 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

阪神競馬場で一頭の馬が暴れ、レース中に起きた落馬事故。勝利した女性騎手・夏海は、重傷した幼馴染みのため、事故を調べ始める。馬の所属する厩舎は経済的に困窮、馬主と調教師が対立していた。そして、再び事件が

1965年大阪府堺市生まれ。大阪芸術大学美術学科卒。

レビュー

  • 業界ミステリとしては手堅くまとめられています

    競馬業界を舞台にしたミステリであります。 文章は平易なのに遅々として読み進められず、話に入れなかったのは当方が競馬に対する関心が薄いせいでありましょうか。 業界ミステリとしては手堅くまとめられていますから、競馬ファン、業界モノファンなら手に取って損はないかと。

  • 女騎手は、なぜ事件を解明しようとするのか?

    作者は、競馬に関する知識はあるが、競馬への愛情はない。読後の第一印象。 競馬というシステムの中で、ミステリが成立する要素だけを追究したのだろう。競馬ファンなら、騎手が身体的に危険で、精神的に厳しい職業であることは承知している。彼(女)らは中学を卒業した年齢で競馬学校に入り、50歳を過ぎても騎乗を続けるベテランが存在する。作者は、そのモチベーションへの理解が欠けているように思う。 舞台になる競馬の(清濁を含めた)魅力が伝わってこないために、主人公の行動理由が希薄になる。物語の展開に同意(感情移入)できない、と感じる人は多いかもしれない。 もちろん、本書はミステリ小説で競馬ファンのみが読者対象ではない。しかし、作者が数年、競馬を楽しんだ経験があれば、勝負の世界をめぐる暗部のみに焦点を当てた結末は導かれなかったように思われ、残念である。

  • 若干ネタバレあり・長文申し訳ない

    第30回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作「女騎手」です。 巻末には簡単な選考経過と最終候補4作に対する選考委員の方々の選評も載っています。 (文庫版ではどうかわかりません) そこからも分かるのですが、この作品は原題を「薔薇という名の馬」といい、 刊行に当たって改題したとのことです。 が、一読した後考えるとこの改題に必然性を感じませんでした。 また、どうしても女性騎手が主人公でなければならないという必然性も、最初それほどは感じませんでした。 女性作家が、競馬をテーマにミステリを書き、その主人公も女性騎手であるという 舞台設定によって人目を引こうというちょっといやらしいタイトルに見えました。 主人公の紺野夏海は往年の名騎手の娘としてデビューするも伸び悩む女性騎手です。 彼女は客寄せパンダのような「女性騎手」ではなく、ただの「騎手」として見られたいと思っています。 はてこれは僕の深読みでしょうか、皮肉を感じます。夏海の願いはタイトルそのものから裏切られています。 こう思った瞬間から感じ方が広がってきました。 夏海は強いです。競馬界にあっても時に先輩に口答えし、レースでは危険を恐れず体を張る 負けん気の強さがあり、そこらの男では敵わない空手の達人であり、 騎手としての自分を取り巻く状況がどんなに悪くても前を向く芯の強さがあります。 本書のラスト、最後の秘密を暴くために夏海はある人物と対峙します。 夏海はここで初めて涙を流します。彼女の説得と涙を、しかし相手は女の論理と一蹴します。 相手の最後の言葉に、僕はためらいながらも頷かざるを得ません。 夏海は事件の真相を解きはしましたが、最終的に敗れたのです。 ここに来てこのタイトルは必然だったのかもしれない、と思いました。 メイントリックは小粒、という選者の評もありましたが 馬を酷使から守るために、馬が「あるもの」を嫌うように仕向けようと 一種虐待じみた調教を施すというのがそれで、ちょっと倒錯した馬への愛みたいなものが、 大変のど越しの悪い読後感を残します(^^; 僕は競馬ファンとして、競馬の持つ闇から目をそらしてはいけないと考えてはいますが、 この一件に限らずこの作品にはそれがことさら露悪的に描かれているようで、ちょっと胃もたれもしますね。 この作家さんは本当は競馬ファンなのかどうなのか、それこそが自分の謎だったかもしれません(笑) あるいは競馬ミステリとはそういうものかもしれませんが。 作中にちりばめられた競馬知識は大変精緻で、競馬ファンにもほとんど違和感なく読めると思います。 よほど丹念に取材されたのだろうかと思いましたが、 ある用語は丁寧に説明されたかと思えば別の場面では、 門外漢には通じない可能性がある用語が不意に出てきたりするところから、 日常的に使っているからこそつい出てしまうのかとも思いました。 それだけに金杯の五日後に「寿杯」なる架空の古馬京都芝1800のG3をでっちあげてしまったのは… 後から見れば実は最初から明らかで僕の不覚だったのですが、終盤にかかって初めて 事件に関係するレースが全て架空のレース名だったことに気付き、驚き、脱力しました… 実在のレースと混在させる理由、「金杯」が舞台ではいけなかった理由が分かりません。 意味がないと思いました。 逆に登場する騎手・調教師ら厩舎関係者や馬主・競走馬はもちろん架空の存在である一方で 「社台」「メジロ牧場」「早田牧場」「サンデーサイレンス」「ナリタブライアン」といった 牧場名・種牡馬名は登場し、一線を引く位置には少し違和感がありました。 しかしこれだけ分厚い作品世界を作られたことは素直に賞賛したいと思います。

  • 競馬の描写は丁寧なものの…

    10年09月の単行本 の文庫化.『第30回横溝正史ミステリ大賞』の優秀賞で,著者のデビュー作です. プロローグのあと,レースの直前から物語がはじまるのですが,そこで主要人物らが一斉に登場, そこへ,競走馬や調教師に厩舎スタッフが加わり,競馬の仕組み上,組み合わせは常に変わるため, 名前はもちろんですが,誰(馬)がどこの所属でと,その繋がりの把握にしばらく苦労させられます. また,ミステリではあるものの,探偵役でもある女騎手が,ただ淡々と動き回っているだけに映り, いくつかある転換の場面も盛り上がりに乏しく,今ひとつ地味で緊張感や高揚感には欠ける印象です. さらに,エピローグ部分にあたる最後のやり取りにしても,理解に苦しむのは否めないところで, この場面,そして締めの『一言』で,それまでのものが一気に崩れ去ってしまった感さえあります. 実現の可否はさておき,そのトリックについては,『競馬の仕組み』がうまく取り入れられており, 他にも,レースや競馬社会の様子も丁寧に描かれていただけに,物語と人物の魅力の弱さが残念です.

  • 主人公を応援したい!

    女性の騎手を探偵役に、 レース中に起きた不可解な事件と、 競馬を取り巻く環境に潜む闇を描くミステリ。 また、男性社会に女性がひとりでがんばるパターンの話かと思いきや、 この女性騎手の主人公がいいんです。 女性、ということに悩みながら、しかしそこに甘えるのではなく、 ただストイックにレースに挑み、ときに悩み、ときに逃げたくなりながら、 馬と社会に向き合う主人公には、 誰もが共感できるところがあると思います。 競馬場の描写に臨場感があるんで、 なんとなく作者は男性だと思っていたら女性作家さんなんですね。 続篇も早く文庫にしてほしいです。

  • 蓮見恭子なる作家の正体は一体誰なのだろう?

    蓮見恭子なる作家の正体は一体誰なのだろう? とにかくかなりの競馬通だ。 デイック フランシスをめざしているらしいが、英国と日本の競馬事情は異なる。 競馬界(特にトレセン内)のデイテールは半端じゃあない。 競馬専門誌の記者でもここまでは、という処まで書き込んでいるのは圧巻。競馬入門書としても一流かもしれない。 ミステリーとしては評論家が色々書いているのであえて触れないが、競馬を学習するには近年珍しい一冊かも。

  • 微妙かな

    物語としては面白いです。 ただ主人公の心情が細かく描かれていなくて、どうもいまひとつ入り込めませんね。 競馬の世界のミステリーはとても良いのですが、残念です。 最後の場面がまるで取ってつけたようで、別に無くても良かったように思いました。 すごく違和感があったので・・

  • 競馬マニアならいいのかな?

    競馬のことなど、全く知らない素人ですので、出てくる状況がわからなかったり想像が付かなかったりする一方、「へー、競馬ってそうなんだ!」「騎手って、そういう日常なんだ」などと感心することがありました。 で、小説としては、特に最初に人物が一度にたくさん出てきてしまって、わけわからんってなったのが辛かったっす。 その前半部分を終えると、やっと何がこの小説のテーマかがはっきりしてくるし、馬をめぐる人々の生活模様が興味深くて楽しくなったのですが。 推理小説なので、事件が起こって、主人公が解決へと導くんですが、やっぱり馬と競馬のことがわからないので、「ふーん、そうか」と淡々と受けてしまったし、納得をしたという風でもなかったです。

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