書籍情報
- 出版社
- KADOKAWA
- 発売日
- 2018-03-10
- ページ数
- 328ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.6 x 1.6 x 14.9 cm
- ISBN-13
- 9784048936149
- ISBN-10
- 404893614X
- 価格
- 49 JPY
- カテゴリ
- 本/コミック・ラノベ・BL/ライトノベル
謎の遺跡、未知の生物――。広大過ぎる世界を知るため二人は往く。 第24回電撃小説大賞《金賞》受賞作! 世界を知りたいヨキと、世界を愛するシュカ。 二人が織りなす、少し不思議な物語。 深く、広い世界。その全てを知ろうと、天空国家セントラルは各地に調査官を派遣していた。 調査官であるヨキとシュカは、多大な個人的興味と、小指の先ほどの職務への忠誠心を胸に、様々な調査をする。 これは二人が世界を巡り、人々と出会い、(時々)謎を解き明かす物語である。 「――とかいって、なんか凄く良い話みたいだね、ヨキ」 「どうでしょうね。僕はシュカ先輩が真面目に仕事をしてくれるなら何でもいいですけど」 凸凹調査官コンビによる、かけがえのない時間をあなたに。
●西 条陽:第24回電撃小説大賞で《金賞》を受賞し、デビュー。 ●細居 美恵子:各所で活躍中の人気イラストレーター。TVアニメ『灰と幻想のグリムガル』キャラクターデザイン&総作画監督、TVアニメ『バッテリー』のエンディングイラストなど。
レビュー
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互いに断絶された世界を俯瞰しながら旅をする
地上世界よりも進んだ文明を持つ天空国家セントラルは、地上世界のあらゆる未知を調査するべく役人である 調査官を派遣し、現地の状況を調査していた。コンビを組む調査官であるヨキと先輩であるシュカもまた、 派遣された調査官ではあるが、仕事としてというより、どちらかといえばシュカの個人的興味を基準とした 『調査』を行っていた――がこのおはなしの骨格であり、それに基づく連作短編が展開されている。 技術・文明レベルの低さゆえや気象条件による移動の困難あるいは技術・文明レベルがセントラルに 迫るほどであるにもかかわらず鎖国や崩壊により各都市が分断し、相互の行き来が極端に少ないという 設定をうまく生かし、それゆえに生まれる都市ごとのレベルの差違によって擬似的なタイムトラベルと 並行世界を再現させている。 『黒い瞳』 近付く者が行方知らずとなり、山にいる動物たちが石化するため、人々が畏怖し、先住民が『黒い瞳の悪魔』 がいるとされるユヒテルの麓にある街・シュリオロールを訪れたヨキとシュカ。二人が食事をした食堂の 看板娘であるアリスはユヒテルの向こうに何があるのか強い興味を持ち、主人の反対を押し切って ヨキとシュカとともに行動するが……というおはなし。ただ単純に、地上世界を凌駕する オーバーテクノロジーを持つセントラルの科学技術をもとに、恐ろしい言い伝えの原因を明確に するだけでなく、短い文章の中に複数のオチを用意しているのはさすがである。 『アルナイルの自動複製機』 二十年前、砂漠の中に突如として隆起し、わずか七日間で形成された宗教都市グレートインゴッドを訪れた二人。 文明レベルが相対的に低い方であるにもかかわらず、近辺では採掘できないはずの鉄がふんだんに使われ、 尖塔からこんこんと水が湧き、街を潤おしていた。ヨキとシュカの二人はある理由により現地に住まう 研究者の少女ラシャと出会い、ラシャはすでに斯様な奇跡の原因を突き止めていたが、文明レベルと 比べてテクノロジーがあまりに超越していたがゆえにオーバーテクノロジーの理由を宗教的な ものにし続けるため、為政者により異端審問にかけられようとしていた。一方、二人がセントラルの調査官で あることを見抜いたラシャもまた、何かの秘密があるようで――というおはなし。 テクノロジーの低さ故に目の前で起きる現象を暫定的ではなく恒久的に畏怖すべき存在に落とし込むこと しかできなかったために、進歩による解明を受け入れることができなかったことに対する悲劇であるとともに、 現代社会の技術で異世界を無双する転生もののテンプレートに対するアイロニーにもなっている。 『龍鱗病』 本章に登場するのはアルザイールと呼ばれるグレードインゴッド以上に文明レベルが発達していない王国。 この王国の臣民は十歳を迎えるか迎えないかの頃、一定の割合で徐々に身体が金属と化し、変化の過程で 森の中のとある一ヶ所に集まって銀の川を形成し、やがて完全に金属となる奇病に冒され、この国の 王女オルセイと医術師の娘アスハはともにその奇病に罹患していた。 ヨキとシュカは偶然別の病に冒されていた男性にこっそり抗生物質を投与して助けたことをきっかけに、 アスハの父であり、原因究明を続ける王室の医術師であるエスハルを手伝うこととなるが、 特効薬の存在の有無について情報が錯綜し――が本章のおはなし。 呪術師の言うことはある意味本当であったというオチもさることながら、金属と化する現象そのものを 『大いなるものの一部となり永遠を生きる』とし、喜ばしいことと定義する考え方は、 戦中の日本における『戦による名誉の死を遂げたのち、軍神として祀られる』という発想や、 『現状の辛さは神が与えた試練である』というキリスト教的な考えに近いものを覚える。 『電子の楽園』 この時点で文明レベルがセントラルに最も近い、社会制度は『社会主義革命が完成した未来の中華人民共和国』 を、地理的かつ歴史的には『現在以上に科学技術が発達した日本』をモデルとしたと思われる世界。 ハオことリン・ハオランそしてリアルではその姿を晒すことがないウーチェンは、脳に直接作用し、 現実と変わらないVR空間を構築するリンチェイ・ギアを装着したまま死んだイェンの死を調査しに 人民警察とは違う組織からやって来たというヨキとシュカと出会う。どうやらヨキとシュカはイェンの死に、 クラッキングの覚えを持つウーチェンに疑義を持っているようだが、ハオはある場所にヨキとシュカを 連れて行くことによってその疑いを晴らすも、そんな折ハオとウーチェンのクラスメイトである ランファ、シャオイー、リャン、イーハンの四人が『海』で肉体的に死んだという知らせが入り――という おはなし。本作で唯一『調査される側』の視点で描かれており、脳に直接作用し、現実と変わらない VR空間を構築するリンチェイ・ギアにはイェンの装着したままの死を含め、ソードアート・オンライン (川原礫/電撃文庫)に出てくるナーヴギアと、ゲーム上での死がリアルでの死と同義であるという設定に 対するオマージュなのだろう。 『エスレヘム』 上から指示されていたものの、半ば忘れかけていた、元調査官で同僚に対する遺跡のオーパーツを使った 超自然的能力による殺人を犯した犯罪者の行動分析を片付けるべく(そして退屈なデスクワークから 逃れるため)セントラルが地上で管理している地域で国がその存在を秘匿し、重罪人や国にとって都合の 悪い人物を収容しているロア監獄に赴いたヨキとシュカは対象となるレーゼル・フォン・グランデルの もとを訪れるが、監獄に到着しレーゼルとの対面直前でレーゼルが独房係を洗脳し、脱走を図ったどころか 通信を遮断して監獄を制圧し、二人の目の前に現れた上にエスレヘムの古代遺跡群へ行くことを 望み――というおはなし。 かつてエスレヘムがセントラルに迫るほどの力を持っていたこと、それ故にかつて野心的であった セントラルが脅威を覚え殲滅させたこと、そして国がモノリス(一般的には一枚岩の意だが、ここでは エスレヘムにおける力の源泉であることが示唆されている)の存在を秘匿し続けているという描写を 通じてかつては我々こそが世界の中心(セントラル)であり、覇権国家であると自認し、現在では 俯瞰と調査にのみ徹すると主張するセントラルの闇を描いている。
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シンプルな物語で面白かった
【ネタバレ】 短編集からなり全体として短編同士が絡むという構造をしている。 往年の電撃文庫という雰囲気だったが、こちらの方がレベルは高いと思う。 キノの旅 + 2001年宇宙の旅 + 翠星のガルガンティア、といった世界観をしている。プラス現代の自然現象がエッセンスとして入っている印象。 少し物寂しい終わり方やホラー味を感じる終わり方は悪くはなかった。ミステリ的なエッセンスを感じた。ただ電子世界と最後のモンスターについては違和感を感じていた。 ①電子世界において 世界観の広がりを感じさせるが唐突過ぎた。異なる文化や考え方をした国を訪問するというのはキノの旅のエッセンスがあるものの、導入が急な上、物語の進行上必要ではなかった。最後のオチに絡んでくるのであればやむなしかと思ったが、そういうわけでもなかった。 ②モンスターについて ガルガンティア味を感じる。グロ耐性があるほうの私からすると気にならなかったが、読んでいてあまり良い印象は無かった。かなり重いテーマなので最後のオチにモンスターの秘密のようなものを持ってくるのであれば納得も出来たが、そういうわけでもない。世界観の広がりのための設定のように感じられたが、それにしてはグロテスクであり無くても良いのではと感じた。 良く考えられた物語であると思う。ただラノベの性質上、キャラクタに焦点が当たることが多いが、キャラクタにあまり魅力を感じられなかった。主人公はナレーターなので問題は無いが、それにしては最後に熱血に舵を切ってしまって違和感があった。ヒロインに関しては魅力が伝わりにくいのかなと思う。 ただ両者とも常識的な範疇だったから、不快感は少なかった。
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駄作
ここまで期待を裏切られたラノベは久しぶりです。電撃大賞、金賞を受賞したと聞いて購入したものの、物語の内容が酷い。人類の起源を超常的な存在に求めたり、大いなる存在のために人が亡くなり、最後は人間の尊厳を軽視するような怪物が登場し、嫌悪感さえ覚えます。ファンタジーであることは重々わかってはいるものの作者自身の良識を疑う内容で、読んだことを後悔しました。 帯紙にキノの旅の著者「時雨沢恵一」さんの批評が載っており、その中で「このエピソードが一番好きですが」と言われており(前文で一話目のことを指していると説明されています)、この批評を書かれた時は苦労なされたのだろうなと、つい笑ってしまいました。このラノベ、出だしはいいのに段々と内容が浅薄なものになり、短編連作のトリを飾る四話目は、正直なところ一点もつけたくないほどに醜悪な展開なので……読まれる方は覚悟が必要かと。
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世界と人の多様性を映し出す五篇の不思議と苦さ
第一章の様子に,各地の伝承を科学の力で解明する…のかと思いきや最後でゾクリ. かと思えば,次の章ではガラリと変わり,超技術や龍が舞うファンタジ,そしてSFと, 異質に映る篇もありますが,それが却って世界の広さや人の多様性を表しているようで, 章ごとに風景も見せ方も違ってくる物語は,どれも少しの不思議と苦さを漂わせています. また,好奇心や探究心を語り,その闇に呑み込まれていった愚かな者が居る一方で, 一瞬は暗部に触れながらも,自身の立ち位置とやるべきことを再認識する主人公たち. 見果てぬ世界の謎を解き明かす,その長い長い物語は誰もが途中入場,途中退場であり, それでもいつかはエンドロールを,せめてワンシーンだけでもと,未知との出会いを求め, 小さな何かに価値や美しさを見出す思いは,誰かから繋がれ,繋いでいくものなのでしょう. ただ,終盤にて明かされる女性上司の秘密は,確かにワケありが匂わされていたものの, かなり唐突だった感があり,かといって大きくは広がらず,やや消化不良に終わった印象. 挿絵についても,カバーや巻頭のものと比べ,特に女性陣が幼く見えるのが気になりました.
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とても楽しめました
ヨキとシュカの冒険をいつまでも見ていたい。 そう思わせるのは、二人のキャラクターが織りなす小気味良いやりとりや、公務員という少し冷めた立場を受け入れつつ、自分たちの出来る範囲で最善の策を講じようとする様に、リアルな人間味を感じるからだと思います。 また、各話ごとにハッする瞬間があり、良い意味で期待を裏切られる仕掛けが施され、最後まで楽しく読み進める事ができました。 続編があれば必ず読みたいと思います。
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世界を知りたい人、世界を愛する人へ
”世界を知りたいヨキと、世界を知りたいシュカ。” 天空国家セントラルに所属する調査官の二人。 未だ解明されていない地上の謎を解き明かすため、凸凹コンビの二人はバディを組んで旅をする。 第24回電撃小説大賞 金賞受賞作で、西 条陽先生のデビュー作です。 5編の短編連作ですが、それぞれの話で訪れる国の世界観や不思議な現象、最後の1ページまで全く予想できないオチに吸い込まれていきます。 神話や文明、科学技術の雑学も織り込まれ、よくこんな設定とオチを思いつくなーとワクワクしながら読み進められました。 第一章『黒い瞳』 第二章『アルナイルの自己複製機』 第三章『龍鱗病』 第四章『電子の楽園』 最終章『エスレヘム』 未知の現象の調査をする中で2人は様々な問題を抱えた人々と出会います。 不思議を探求する好奇心、目の前の人を助けたい想い、天空国家公務員としての役目・限界。 これらの感情と葛藤しながらも、この世界とこの世界で必死に生きる人を愛する気持ちを大切にし、 信念のままに行動する2人にリアルな人間味を感じ、読んでいると温かい前向きな気持ちになりました。 いつも食欲旺盛だけどいざというときに頼りになる女上司のシュカ。 好奇心旺盛でちょっと根暗男だけど、上司思いの部下ヨキ。 凸凹コンビである二人も、お互いに理解し思いやり合っているのはわかっているのに 敢えて言葉にせず目で通じ合っている様子で、そこがなんかいじらしくも信頼し合っている感じで良いなーと思います。 そしてシュカが可愛いすぎる。 総じて、 ・最後の1ページまでわからないミステリー展開 ・バディもの ・キャラクターの小気味いいやりとり このあたりがどれか好きな人は読んでおいて損はないと思います。 個人的にはキノの旅とか、氷菓とか好きなので、不思議な世界観とかゆるいミステリーが好きではまりました。 続編を楽しみにしてます。
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イマイチ
つまらないです。 短編集ですがどのエピソードもアイデアやオチが弱く、驚きも感動も無い。 文章力も低く、この手の作品に重要な情景描写が弱いため作品世界に浸ることが出来ない。
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良い意味で平均的
ランダム・ウォーカーというだけあって、各章の舞台設定はてんでバラバラ。 しかしただ一つセントラルという存在が一本筋を通していて、そこを起点に主役二人がパラレルワールドを探索するような物語だと感じました。 主役二人は時折感情的な人間臭さを見せるものの、やっぱり公務員な立場ゆえに論理的かつ効率的に淡々と物事を進める印象のほうが強く、物語の全体的な味わいはやや薄めになってしまってるかも。 逆にそのおかげで、刺激の強いグロ描写になりそうなところもソフトに読めてしまうのは良い作用だったとも言えます。 一応の完結という形にはなっていますが、続編が出れば読んでみたいです。 ちなみに184p、247pに校正漏れがありましたので記しておきますw
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