書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 1998-02-01
- ページ数
- 308ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784061820074
- ISBN-10
- 4061820079
- 価格
- 649 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
第6回メフィスト賞受賞作。 「私は確信する、空虚を嘆くべきではないと。私は空虚の意味で無なのではなく、創造者的虚無だ。その無から私自身が創造者として一切を創り出すのだ」(シュティルナー著『唯一者とその所有』より) 全ては何の脈絡も無く唐突に始まった。過去の記憶を全て奪われ、見知らぬ部屋で覚醒した私と女。 舞台は絶海の狐島。3人の惨殺死体。生存者は私と女、そして彼女を狙う正体不明の殺人鬼だけ……の筈だったのに。この島では私達が想像もつかない「何か」が起こっていたのだ。 蘇る死者、嘲笑う生首、闊歩する異形の物ども。あらゆる因果関係から排除された世界──それを冷たく照覧する超越者の眼光。 全ては全能の殺人鬼=<創造主>の膿んだ脳細胞から産まれた、歪んだ天地創造の奇跡だった。 そして……「ここはどこなの」女が存在しない口唇で尋ねる。「分からない。でもここにはあいつの邪気がない。あいつの手の届かない世界らしい」存在しない口で私は答えた。「あいつはもう2度と現れないの」彼女の不安気な問いに、私が頷く。女は存在しない男の顔を怪訝そうに覗き込んだ。「結局、あなたは誰だったの」「君は一体、誰だったんだい」私は揶揄(からか)うように問い返した。そんな事はもうどうだっていいじゃないか。もう何も彼も終わったのだから。 ……だが、まだ終わったのではなかった。真犯人はそれを知っている。本当の終焉はこれからなのだ。
1955年9月1日東京都生まれ。和光大学経済学部経済学科卒。本作で第6回メフィスト賞を受賞しデビューを果たす。400字詰め原稿用紙に換算してわずか600枚ほどのなかに、歪んだ時間も空間も、狂った精神も物質も、混然とした善も悪も、つまり世界のすべてを圧倒的な意志と力で描き尽くした。フレドリック・ブラウンを偏愛し、次作ではさらに異形の世界の創造主となることであろう。
レビュー
-
すごいことはすごいが
唐突な展開から、物語の外枠までも崩壊、追及していく異形ミステリ。これまた変わった人向けの作品。文体がやたらと力強く、格調だかいのが少し気になるが。