日本の文学賞

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佃島ふたり書房

直木三十五賞

佃島ふたり書房

出久根達郎

佃島を舞台に、同じ日に生まれた二人の男が古書とともに歩む友情と反骨の長編小説。明治末から昭和へ続く時代の変化が、庶民の暮らしと本への愛を通して描かれる。

古書店友情佃島近代日本

作品情報

古書を愛した二人の男の歩みが、佃島の四季と時代の記憶に重なる。

古書店主でもあった出久根達郎ならではの題材を生かし、本を扱う仕事の手触りと、時代に翻弄される人々の情を描く。佃島の土地柄が物語に厚みを与えている。

レビュー要約

  • 作品の背景と構成を丁寧に追う読者から支持されている。主題の重さに対し、叙述の落ち着きと人物の輪郭が読みどころとして受け止められている。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
1992-10-01
ページ数
292ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784062055406
ISBN-10
4062055406
価格
1708 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

佃島を舞台に描くひたむきな愛、男ふたりの友情。 生年月日がまったく同じの2人の少年が、奉公先の古書店で親しくなった。名は、梶田郡司と工藤六司。大逆事件の明治末年から、佃の渡しが消える昭和39年までの世相を背景に、古書を愛する庶民の哀歓を描く感動の長編。

1944年、茨城県生まれ。1973年から杉並区高円寺で古書店を営む。著書に『無明の蝶』『猫の縁談』『本のお口よごしですが』(平成4年度・講談社エッセイ賞受賞)『漱石を売る』などがある。

レビュー

  • 味わい深い直木賞受賞作

    直木賞受賞作なので読んでみました。人情ものですが、なかなかの迫力です。 大逆事件や関東大震災が描かれ、単なる人情ものに終わらせないところがすごいですね。 この作家、ところどころにいまは使われなくなった言葉をはさみ込んでいます。それがまた趣きを出していると思うのですが、すぐには意味がわかりません。でも、Kindleで読んだから、その部分を選ぶと大辞林の説明が出てきます。 この頃の直木賞はさすがだと思います。

  • 夫婦の機微が読み取れます

    毎日の幸せが確実に伝わってきます。

  • 良かったですよ

    大変きれいで、楽しく読み通すことができました。感謝しています。山本

  • 「詩情溢れる」とは、まさにこの作品にためにある言葉。

    1992年下半期の直木賞受賞作である。 物語は昭和39年(1964年)の東京佃島を起点にし、明治、大正のへと遡りまた戻る。 東京下町の風情とそこに住む人々の人情が、まるで目の前に浮かぶように描かれている。練達の作家が紡ぎ出す、言葉の世界に翻弄され、そのあざとさもどうでもよくなってしまう。 こんな作家が、いまいはいない。しいてあげれば浅田次郎だろうが、その次がいない。 ほとんどの名作がキンドルをはじめとする電子書籍で読めるようになったので、書棚の整理を始めたが、本書は、いましばらく古書店へ運ばず、棚に戻すことにした。

  • 郡司の男気

    『佃島ふたり書房』(出久根達郎) 東京佃島。豊臣方の侍ながら徳川家康につき従い、その功により埋め立てた島と自由な漁業権を獲得した三百年の歴史をもつ漁師町。佃新橋開橋と市町村合併をひきかえに消えゆく佃島の古本屋を継ぐ決意をした高校をでたばかりの少女澄子。古本屋の仲介業をいとなむ梶田郡司が駿河台の古書会館でのセリ市につれて行きながら四十五年にわたる古本屋人生を回想します。 生年月日が同じ六司とともに「ふたり書房」を営むうちに、書店の小僧たちがだれにも相手にしようともしない鼻梁が溶けた遊女で社会主義の本の編集責任者である女にひかれた郡司。損得ぬきで「大逆事件」であげられる女の心意気にひかれ社会主義の本を買い漁る郡司。やがて郡司は六司に店をまかせ満州に。明治末期から昭和三十六年まで、ふるきよき下町の風情をしのぶことのできる傑作。

  • 全然記憶に残ってないです。

    確か、親からもらった本だと思います。読書ノートに記録が残っているので、きっと読んだはずなんですが、佃煮は佃島でとれるということくらいしか、記憶に残ってないのです。途中で読むのを止めてしまったかも。

  • 本と友情の物語ゆえに好みのど真ん中

    東京は佃島の古書店「ふたり書房」を舞台に、明治から昭和にかけて、ひとりの男の人生をつづった作品。 はからずも古書店の下働きをすることとなった少年とその周辺が、震災や戦争を経て、街の風景とともに変わっていく様が描かれる。 本作品は、本と友情の物語ゆえに好みのど真ん中。古書の取り引きのシーンは興味深く読ませてもらった。少年から老境にかけての成長物語でもあるが、教科書的な押しつけがましくないのが良い。 主人公と親友、親友の妻、娘の関係が、言葉にならない優しさに溢れているのもステキ。 なお、本作品に登場する妖しい女性 菅野須賀子は実在した人物。あらためて大逆事件を知った。【直木賞】

  • 年上のあの女性(ひと)を忘れない

    雪が降る、東京・佃島渡船の上から物語は始まります。昭和三十年も終わりの頃。明治生まれの梶田は、佃島にある古本屋「ふたり書房」に入ります。ここは梶田が仕事をしていた場所。病身の母のため、大学行きを諦めた澄子が古本屋をしきることになったので、亡くなった親友のこともあり、店を預かってきた梶田が身を引くことになったのです。澄子は意地っ張りで、独りで店をやっていこうとしますが、古本のことを勉強していくうちに、梶田の力や存在がどれほどのものだったか知ることになっていきます。そして自分が古本屋の娘のくせに何も知らず、とても自分一人の力で商売をしていくことはできないということも。澄子は恥を忍んで梶田に再び店番を頼み、梶田のつてで古本の勉強をすることに。梶田は再び店!!番をしながら、若かった頃の自分のことを思い出します。あの年上の女性のことも。自分の生き方を貫いていく梶田と、梶田の親友ろくちゃんの生き方、そして若い澄子の生き方のコントラストが鮮やかです。

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