作品情報
『子産』は、宮城谷昌光の作風が凝縮された受賞作。
春秋時代の名宰相・子産を主人公に、政治の理想と現実を描く歴史小説。徳、法、外交の均衡を求める人物像を通じて、古代中国の国家運営を生き生きと描く。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2000-10-10
- ページ数
- 373ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.7 x 2.8 x 19.5 cm
- ISBN-13
- 9784062103824
- ISBN-10
- 4062103826
- 価格
- 700 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
信義なき世をいかに生きるか 孔子に敬仰された賢相・子産と武にすぐれたその父・子国。父子2代にわたる勇気と徳の生涯を辿る珠玉の歴史叙事詩! ──哀れな国だ。 子産の目は憂色にみちている。君主の時代が終わり、大夫たちが主権を争う春秋時代のなかば、中原の小国・鄭は晋と楚という2大国の間で向背をくりかえしていた。いまや民は疲弊し、国は誇りを失おうとしている。乱世の戦場にあざやかな武徳をしめす名将・子国の嫡子に生まれ、この時代最上の知識人となる子産は、信義なき自国の悲哀をみつめながら波蘭の人生へと踏みだしてゆく。
1945(昭和20)年、愛知県蒲群市に生まれる。早稲田大学文学部英文科卒業。1991年、『天空の舟』で直木賞候補、同年、同作で新田次郎文学賞受賞。同年、『夏姫春秋』で直木賞受賞。2000年、司馬遼太郎賞を受賞。作品として他に『王家の風日』『侠骨記』『孟夏の太陽』『春の潮』『花の歳月』『重耳』『晏子』『孟嘗君』『介子推』『沈黙の王』『玉人』『長城のかげ』『楽毅』『青雲はるかに』『太公望』『華栄の丘』『奇貨居くべし』などがある。
レビュー
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生き残る外交
子産の外交力
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政治の難しさとおもしろさ
古代中国春秋時代のお話。 上巻では主人公の子産(僑)はほとんど出てこず、その父親の子国と子駟が鄭の政治を回している。 鄭は北は晋、南は楚から圧力を受け、非常に難しい立ち回りを迫られる国。 宰相の子駟が国の実権を握り出してから流れが怪しくなってきた… ここから子産がどう国政に関わってくるのか…楽しみ! 戦争1つとっても本気で相手国を攻め落とす意図がなかったり、勝っても負けても相手に気を遣ったりと、政治の世界は複雑。勉強になる。下巻も読みます。
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中年男性は必読
春秋時代の鄭という国が生き残るためにどのような外交策を行ったかが描かれています。仕事で自分たちが置かれた状況と非常に類似していたのですごく参考になりました。
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読後感
子産の幼少から成人ぐらいまでの成長過程が、春秋時代の鄭で父 子国、叔父 子駟の穆公一族による政治的な背景を元に描かれていました。“徳”の大切さを学べました。
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子産ではなく鄭国史として、完全版が読みたい
小説としては満点です。ひさびさにはらはらどきどきしながら二日で読めました。 著者のファンになりました。 少し口惜しいのは、肝心の子産の活躍についての描写は、上下巻合わせてもの三十パーセント以下のボリュームで、物足りなかったです。とくに上巻は、活躍する前の時代のみで、時代環境面の描写しかありません 。(小説としてはむしろ上巻の方が面白いですが。) 原因として、読者を引きつける戦争、外交、政争が、メーンで書かれているためです。生臭く確かに読者を飽きさせないですが、子産が活躍する地味な政策面の描写が薄く、争い事と同じ様に、時代を跨いだ引用や、わき道解説分析など行っていただきたかったです。結果的に政治家子産を読もうと、本書に触手を伸ばした当初の目的には、物足りないと感じました。 この構成比なら、いっそのこと鄭国史として、再編成して欲しいと思います。大国に振り回される小国というテーマは、現代の国際情勢においても大きな課題ですし、いち個人としてもビジネスや処世術として、大変参考になるのじゃないかと思います。 論語など、後世の名著が生み出されたきっかけとなる先人の知恵が、この時代の各国の歴史に刻まれています。
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クライマックスへの序章
子産の父である子国や子駟といった、 知性と勇気溢れる魅力的人物達の奮闘振りが生き生きと描かれている。 大国の狭間で小国を如何に存続させるか。 大敗せずかといって大勝もしてはならないといった駆け引きを、 ただ背信の繰り返しと記せば読み手は当然不徳行為と理解する。 が、それは礼を貫いた結果なのであり、 大国の理不尽さこそ非礼なのである、 という宮城谷氏の解釈に現代の日本人は同意するところが大きいのでは、と感じた。 中だるみ感はあるが子産が大活躍する下巻が秀逸なので、 その導入と思って我慢して読むだけでも価値があると思う。
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よかった
おもしろかった。 他の作品もぜひ電子化してほしいです。 期待しています。
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子産の生き方に感動
今日紹介するのは、宮城谷昌光さんという方の本で、前にも「史記の風景」という本レビューした事がありましたが、素晴らしい歴史小説の書き手で、当代の日本作家の中国もの小説ということでいえば文句なく日本で一、二の書き手さんの本で、問題なく誰にでもお勧めしたい本です。宮城谷さんの小説は、いずれも主人公が精神的に成長していく様がしっかりと描かれ、精神のありようや、心胆のおきようとはかくあるべきだというような理想の形が小説の面白さの中に奇麗に通っているので、いつも読みながら姿勢がすっと正しくなるかのような感覚があります。 今回の御紹介の「子産」もその例に漏れず、春秋戦国時代を通じて一番の知識人といわれた子産の生涯が、子産の父の代から書き起こされていますが、どこを読んでいても気持ちが澄んでいく感じがしました。また、その中のここかしこで精神と礼のあるなしによって周囲が栄えたり没落していく様が描かれていて、これらを読むと毎日の自分の周囲への発言や対応に対してあれこれ考えさせられるものがありました。 子産が生まれた鄭という国は、中華の真ん中にあり、交通の便もよくどこにでもいける代わりにどこからも狙われる土地ともなり、子産がいた時代には北の晋と南の楚のいずれからも攻められ、北に攻められれば南を頼り、南に攻められれば北を頼り、どちらにも贈り物をし続けなければいつ国が滅びるかもわからないという過酷な状況にありました。そして、年ごとに仕える国を変え、周囲からも節度や信義のない国として扱われていました。国主の公でさえ、忍従を強いられる国である鄭。そんな国の貴族の息子ちとして生まれた子産が鄭を一つの信義の国として作り上げるまでの姿は、山あり谷あり、歴史小説としても読み応えがあります。 お勧め度は文句なく5の5てす。
関連する文学賞
- 吉川英治文学賞 第35回(2001年) ・受賞