作品情報
人が暮らしてゆく一日の奥に、奇妙で生々しい現実がひそむ。
講談社から刊行され、のちに講談社文芸文庫にも収められた作品集。「夢の柵」「一日」などを含み、黒井千次の静かな観察眼がよく表れた一冊。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2006-01-01
- ページ数
- 269ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062131162
- ISBN-10
- 4062131161
- 価格
- 1995 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
暮らしの中の明暗、日常を描く好短篇集。 日常の中の不安と不思議さ、病、介護など人生の最後に人が向き合わなければならない問題。日々の生活の中の楽しみと苦しみ。現代人の日常を描く小説集。
レビュー
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生々しい奇妙な現実
黒井千次の老いをテーマにした短編集。 表題の夢の柵、陰の家、眼など2005年師走の書かれた12編。 だれもが迎える老い、そしてその日常起ること、そう言うものかと思うと同時に 何か黒い重いものを突き付けられているような感じがする。 その中で面白かったのは、記録と一日と影の家。 黒井千次は短編もうまい と感じいった次第。 このような小説が心にずんと沁みて来るのも齢のせいかなあと思ってしまう。
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ある意味、老後への希望の書
“老後”ってどんなもんだろうなって年代になって、そういや文学に“老後”を映し出す作品ってないなぁと思ってたら、こんなドンピシャなのがあった。まだ俺は40代なんだけど、60、70になっても淫夢見るのか、なんて事すら知らない訳で。この短編集を通して漂う“もう社会の中心に今後なる可能性のない自分”って言うんでしょうか(もちろん若くても、社会の中心なんて意識は“セカチュー”みたいな欺瞞は別としてほとんどの人にないんだけど)、その老後とか老人って、割と見方がステレオタイプじゃない?でも、この短編集はそうじゃないんだよね。やっぱ、これまで生きてきた延長線上として“老後”ってのがあって、大半の人は死ぬ前に“老後”ってのを経験する訳だしね。この短編集読んでて、あまりにこれまで“老後”ってのがナチュラルに表現されてこなかったんだなって気がした。ここには老人からみた若者や社会に対する憤懣みたいなことだけじゃなくて、老人からみた同世代への反発、違和感とかもあるし、年齢とか性別みたいなクラスターでなんでも括っちゃうのはアバウトすぎるってのがわかる。あと、これ読んで怖いなぁと思うのは、もう取り返しのつかない夫婦の関係ね。お互い諦めきっているんだけど、時々ほとばしる「なんでこんなのと一緒になっちゃったんだろ」って悔恨ね。やっぱ時間って不可逆的なもんなんだよな。一方でこれ読んで良かったのはジジイになるのもそんな悪いことじゃないな、って思えること。状況的にはチンケだったりセコかったりイジイジしてたりする部分ももちろんあるんだけど、主人公が基本みんな楽観的っていうか、処世術身に付けているっていうか、たくましさ、飄々としたところが感じられて、微笑ましいっていうか心強いっていうか。現役よりはゆったり流れている時間っていうのも羨ましいし。ある意味、老後への希望の書ですな。十二編を執筆順に並べた構成も良かったです。
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一日 夢の柵
読書会の課題なので 読んでみましたが つまらなくて 途中でやめてしまった。 読書会はお休みしました。
関連する文学賞
- 野間文芸賞 第59回(2006年) ・受賞