日本の文学賞

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滝山コミューン一九七四

講談社ノンフィクション賞

滝山コミューン一九七四

原武史

『滝山団地コミューン 一九七四』は、原武史による講談社ノンフィクション賞の受賞作。

社会と記憶

作品情報

『滝山団地コミューン 一九七四』は、原武史による講談社ノンフィクション賞の受賞作。

『滝山団地コミューン 一九七四』は、原武史による講談社ノンフィクション賞の受賞作。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2007-05-19
ページ数
284ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784062139397
ISBN-10
4062139391
価格
199 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

戦後民主主義の矛盾を問う意欲的エッセイ!すべての子供は平等に取り扱かうべきだ。このスローガンの下に子供たちの心が死んだ時代があった。東京都下の団地で実際にあった事実をドキュメントする意欲作。

レビュー

  • 競争社会が生まれたから、反動的に全体主義的な理想も高まったのか。

    60年代末〜70年代に繰り広げられた首都圏、 特に都内近郊の団地化についてのノンフィクション。 団地的に均一化されたライフスタイルに加え 「個人の尊重」という核家族的価値観がいよいよ顕在化した結果、 逆転現象的に集団主義が強まったという話が興味深い。 団地的なライフスタイルは、ソ連の共産主義的なライフスタイルと 類似しているのだという指摘を読めば、 なぜ都市部で共産党や社会党が躍進したのかについて分かりやすい。 「戦後」という時代の終わりが見えはじめ 人々が大きな「変化」を求めた時代の話でもある。 そのような時代的、土地的背景で初等教育を受けて育った世代の話は 世代論としても社会学の一冊としても面白く読めた。 西武線沿線、東久留米あたりの新興団地「滝沢団地(公団)」で 当時著者の通った小学校が、本書の舞台となっている。 首都圏では中学受験にはじまるエリート主義が過熱し、競争社会が生まれた。 教育ママと呼ばれる親達が現れ、週末毎に、有名進学塾のテストに通う小学生たち。 著者自身の実体験にも基づいて書かれいるほか、 取材調査も綿密で、当時の空気がよく伝わってくる。 高度経済成長期の右肩上がりの時代の社会的背景があり そこに連動するように社会思想の変化があり そのような変化著しい世の中にあって、育児/教育環境も激変していた様子が リアリティを持って描き出されている。 競争社会が生まれたから、反動的に全体主義的な理想も高まったのか。 その時代の気配を記憶している読者にとっては、特に興味深い一冊だと思う。 ※ 読後に感じたこと…… 集団教育も、詰込教育も、ゆとり教育も、どれもこれもが言ってみれば教育実験だ。 そのような実験の影響を受けて育つのは、なにも 「ゆとり世代」と揶揄される世代だけではない。 翻ってみれば、第二次ベビーブーム世代のピークに、 都心から50キロほど離れた田舎町で生まれ育った自分自身もまた “その時代”の教育トレンドの影響を、かなり強く受けて育ったに違いない という可能性に今更のように気づき、軽く衝撃を受けた。 当時は“マイホームブーム”の時代でもあり、 その田舎町の周辺にも「ニュータウン」と称される建売住宅地が開発され広がり 同世代の子を持つ家庭が、周囲にどんどん増えていった。 小中学校も、それぞれのニュータウンには必ず新設された。 著者の時代から遅れること約10年だが、都心からより離れた地域で 本書に描かれているのと似通った状況が生まれていた。 激しい競争のなかで、著者のように頭角を現す子供もいたが、 ドロップアウトする子供も、また多かった。 ※ 鉄道会社が沿線地域をつくり そこに住民を誘致し、地域を形成してゆくというのは分かりやすい話だが 西武系の開発には独自性が高かったようで、 そのようなことを知れたのも興味深かった。 著者は鉄道マニアで、その趣味が本書のあちこちに顔をだし、 それがなんとも良いスパイス。

  • こんな時代があったよね

    著者とは同世代で、場所は違えど西武線沿線で子供時代を過ごしました。東京なのになんだか垢抜けない感じや、東急線沿線住民とのカルチャーギャップ、実感を持ってわかります。私が通っていた地域の公立小学校は、著者の学校ほどのきつい締め付けはなかったものの、クラスのまとまりを尊び、何かと言えば班活動、子供らしい素朴さを上手に演ずる子が喜ばれる、など当時の何とも言えない違和感が蘇ってきます。背景には左翼系思想を背景とする教育界での潮流があったのですね。子供時代の著者が学友から自己批判を求められ吊るし上げられる所など、まるで文化大革命や連合赤軍のリンチみたいで恐ろしいです。 著者の経験は特定の時代と地域に限られたものなのか、現代の教育現場にも通じるテーマなのか、は正直なところよくわかりませんでした。ただ、こんな時代の空気が確かに私の周りにもあったな、気持ち悪かったのは私だけではなかったんだな、と当時の無念が癒されるような読後感を持ちました。 子供は自分で環境を選べないし、外の世界を知らないと環境への疑問を持つことも難しいので、せめて変な押し付けはしないでほしい。漫画家の水木しげる先生が愛したゲーテの言葉に、「人はただ自分が愛する人からだけ学ぶものだ」とありました。教育とはそうあってほしいものです。

  • 丹念に調べられています。

    人間が自分勝手な生き物である以上、こういう結果になるのでしょうねぇ。日本が社会主義国家にならなくて幸いでした。

  • あの時代に戻った

    原さんより一回り年下の私たが、当時の七小には少なからず影響が残っていた。 卒業から36年たち、ようやく謎が解けた。 今の時代には合わない、あの当時の特定地域の特殊な環境だったんだな、と。 今は離れたが、懐かしい滝山団地の衰退は時代の流れを嫌でも感じさせられた。

  • 歴史的背景

    著者と同い年で、著者の過ごした「滝山」と隣接した市で小学校時代を過ごしました。 当時の先生たちが考えていたこと、思想的な流行などを知り、こういうことだったのかと。 その時代のまっただ中にいるときはわからないことです。班競争のことなど思い出しました。 愉快な思い出ではありません。今回、背景にあった思想を理解しました。

  • 禁じ手の「追求」

    解説の「これもまた奇怪な昭和史のひとつだろう。」という桐野夏生さんの結びが腑に落ちます。教育と時代背景が切っても切れないものであることを銘記しました。「水道方式」や「学級集団づくり」がどう活かされていくのか、その後が気になります。大西忠治先生の「核のいる学級」も読んでみたいです。

  • 読みたかったタイトルです

    状態は良いです感謝!

  • テーマは最高だが、見通しが悪く物足りない

    テーマは文句なし。映画の原案になってもいいくらい。 だが全体の構成が悪く、体験した「追求」をクライマックスにもってこれていない。 少しズレた引用も多く、登場人物が整理されていないのである程度飛ばして読むのが吉。 当時の教師へのインタビューなどの取材も物足りない。 結局、読み手が期待するような閉鎖性やコミューン性が足りないということにつきるか。

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