作品情報
恋歌は、朝井まかての受賞・選出作として書誌確認を行った作品。
『恋歌』は、朝井まかてによる作品で、2013年の受賞・選出作として記録されている。講談社の書誌情報で刊行が確認でき、作品単体の書籍として扱える。
レビュー要約
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書誌情報と受賞記録から、賞の文脈で評価された作品として確認できる。読者向けには、作品のジャンル性と受賞歴を手がかりに選びやすい一冊である。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2013-08-22
- ページ数
- 281ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062185004
- ISBN-10
- 4062185008
- 価格
- 2222 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
樋口一葉の歌の師匠として知られ、明治の世に歌塾「萩の舎」を主宰していた中島歌子は、幕末には天狗党の林忠左衛門に嫁いで水戸にあった。尊皇攘夷の急先鋒だった天狗党がやがて暴走し、弾圧される中で、歌子は夫と引き離され、自らも投獄され、過酷な運命に翻弄されることになる。「萩の舎」主宰者として後に一世を風靡し多くの浮き名を流した歌子は何を思い胸に秘めていたのか。幕末の女の一生を巧緻な筆で甦らせる。
1959年、大阪生まれ。甲南女子大学文学部卒業。コピーライターとして広告制作会社に勤務後、独立。2008年、第3回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞してデビュー。受賞作は『花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』と改題され、講談社文庫に収録されている。江戸時代の職人たちの丹精な仕事振りと細やかな人情を、心温まる物語に織り上げて、愛読者急増中の実力派である。他の著書に『ちゃんちゃら』『すかたん』『先生のお庭番』『ぬけまいる』がある。
レビュー
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大河ドラマみたいな骨のある歴史小説かつ強い愛の物語。
大河ドラマみたいでした。幕末作品は多々あるけれど、水戸藩が舞台のものは珍しい。 樋口一葉の師、萩の舎創始者中島歌子さんの手記をもとに書かれてます。商家のお嬢さんが、片想いを実らせて水戸藩士のもとに嫁ぐも、幕末の水戸藩御家騒動に巻き込まれて投獄されて苦労し、夫を亡くし、江戸に帰って一大歌塾の師となり、彼女なりの本懐を遂げるお話。 歴史ものとしても、普通の恋愛小説としても面白かったです。秋の夜長にふさわしい一冊だと思います。
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衝撃的な内容
史実に半ば沿いながらの内容に、強気インパクトがありました
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瀬をはやみ岩にせかるる滝川の……
ネタバレにご注意ください。 樋口一葉の師として知られる明治の歌人・中島歌子。 物語は、入院した歌子を見舞った際、書類整理を頼まれた弟子・花圃が、蒔絵で萩が描かれた文箱の中から手記を見つけるところから始まります。 序章 第一章 雪桃 第二章 道芝 第三章 星合 第四章 草雲雀 第五章 青鞜 第六章 八雲 終章 手記という形をとっているため、歌子の感情がストレートに伝わってきました。 「恋歌」という題名から、恋愛小説だと思い、読み始めたのですが、確かに歌子(本名・登世)と林中左衛門以徳(はやし ちゅうざえもん もちのり)との恋が描かれているものの、割かれたページは少なく、歴史小説と言っていいと思います。 「桜田門外の変」「尊王攘夷」「水戸藩内での天狗党と諸生党の二派の対立」「徳川慶喜による大政奉還」が、登世視点で描かれています。 天狗党の志士であった以徳の妻、登世と義妹てつの牢獄での暮らしを綴った「第五章 青鞜」では何度涙したことか。 あまりに過酷な獄中生活により、精神に異常をきたす者、病に倒れる者、足が萎えてしまう者。その一方で、己を律して他者をいたわる武家の姉妹、自らの処刑が間近であることを知りながらも粛々と学ぶ姿勢を崩さない武家の子どもたち。 野卑な口をきく首切り役人によって、毎日行われる処刑。 そうした生と死が隣り合わせにある極限状態の中で「夫以徳にもう一度会いたい」という一念だけで、自分を保ち生きる登世。 そして、解放。 「かへらじと契るもつらき別れかな 国のためとて仇ならぬ身を」という以徳の歌に対し、 「国のため君のためとぞ思はずは いかにしのばむ今日の別れ路」と返した登世。 戦場の夜も昼も以徳の胸で響き続けるような、三十一文字を捧げられなかったことを心の底から悔み、和歌を学ぼうと決めた登世の夫への尽きることのない恋情に、心が熱くなりました。 そして、「永遠のゼロ」の宮部久蔵の妻、松乃の気持ちをも代弁しているかのような一文、「以徳様が自ら腹を切って果てなかったのは、死ぬる寸前まで私の元に戻ってきてくれるつもりであったゆえだ。私はそう信じている。でもあなたは帰ってきてくれなかった」で、またも涙の大洪水。 歌子が残した手記の意味が、最後に明らかにされます。 最初の「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ」から、 最後の「君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしへよ」までの間に詠まれた数々の歌にも感動しました。 この作品には、風のないときでも風を誘い、風をとらえ、風と戯れる風情が特にいい萩の花をはじめ、私の大好きな花々もたくさん登場します。 何度も読み返したい、生涯大切にしたい本が一冊増えたことに心から感謝します。
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ヒロインが清浄すぎるかもしれない
第150回直木賞受賞作品(2013年下期) 樋口一葉の師・中島歌子が自らの生涯について書き記したものを弟子である一葉ともう一人の女性がその手記を読むことでストーリーが進む。 次から次へと物語が思いもよらぬ方向に展開していくので読み進めたくはなるのだけれど、どこかこれが手記であり、書いている人の思いが表に出るためなのか、ヒロインが自分をきれいに書きすぎなのではないかと思える。 内容はドロドロなはずなのだけど、どこか清浄なものが残されていて、自分にはそれが違和感とまではいかないが、なんか引っ掛かりを覚えるものであった。 エンディングはちょっとした驚きがあるかもしれないが、その展開すらもちょっと上品な感じがする。あえていうなら、女性は本当の地獄をきれいな目線で描いてそれを女性は共感し自分の中で本当の地獄として再現できるのかもしれない。ふとそんなことを思った。だとしたら男性にはわかりずらい物語かもしれない。
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直木賞受賞がふさわしい大傑作。
(ネタばれ注意!!) 奇しくも本作品と伊東潤の『王になろうとした男』が、第150回直木賞にノミネートされた。 伊東潤は、既に4回目のノミネートであり、『北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録』でレビューした通り 葉室麟に続く歴史(時代)小説分野の直木賞受賞作家は、この“伊東潤”に間違いないと確信してい“た”が 本作品を読み、その確信が揺らいでいる。 奇しくもとしたのは、伊東潤も『義烈千秋 天狗党西へ』で、本作品のテーマである“天狗党の乱”を描いているからだ。 『義烈千秋 天狗党西へ』は、“天狗党の乱”の中心人物ともいえる藤田小四郎を主人公に据え、筑波山での挙兵から 敦賀での投降までの過酷な行軍を描いた、いわば“天狗党の乱 正史”とも言える正統派歴史小説で、 ≪藤田小四郎をはじめとする天狗党の面々の“尊王攘夷”に懸けた鮮烈な義が、長い(千)時(秋)を超えて胸を打つ。≫ 内容だ。 但し、挙兵を契機に始まった水戸藩内抗争とも言える天狗党と諸生党の凄惨な報復・私刑の応酬は、乱後も止まず、果たして “義”は何処にあったのか?を問わざるを得ない苦い読後感の作品でもあった。 一方、本作品は、正史とも言える“行軍”の内容は直接描かれず、天狗党の藩士の妻であり、のち樋口一葉の師となった 実在した歌人中島歌子を主人公に据え、歌子が綴った手記をその弟子が読み進める構成となっている。 裕福な商家で育った歌子(登世)のお転婆振りや一途な想い、厳格ながらきっぷの良い母親や忠左衛門の好漢ぶりがテンポよく 描かれ、百人一首に詠まれている崇徳院の有名な和歌=恋歌が、ふたりを結び付ける。 物語の前半は、タイトルにふさわしい登世と水戸藩士林忠左衛門との爽やかにして甘やかな恋愛物語だ。 ふたりの恋が成就し、水戸に嫁いだ登世のその後を描く中・後半は、藩内抗争に巻き込まれた天狗党藩士の妻子達の物語だ。 前半の甘やかな雰囲気は一転し、投獄された登世・義理の妹・首謀者のひとりである武田耕雲斎の妻子達を襲う不条理にして 過酷な運命が、冷徹な筆致で書き進められる。 脈略もなく処刑されていく天狗党藩士の妻たちやあまりに過酷な境遇に壊れていく様子が克明に描かれるが その中でも斬首のその瞬間まで武家の矜持を失わない武田耕雲斎の妻と幼子の凛とした姿が・挙措が人間の愚劣な までの残虐さと時代の不条理を際立たせる形で涙を誘う。 ギリギリまで追い詰められながらも、戊辰戦争の勃発と共に天狗党と諸生党の形勢は逆転し、登世は命からがら解き放たれるが、 次に待っていたのは、天狗党による諸生党の妻子を含む徹底的な弾圧・報復・私刑だった…。 甘やかな恋愛物語を一転させ、幕末から維新に至る間に起きた時代の不条理を対比させたプロットの見事はもちろんだが、更に この作品を感動深いものにしているのは、両陣営のいたたまれない報復の応酬に作者なりの決着をつける終章のエピソードだ。 『天狗党の乱』を正面から描くのではなく、史実に埋もれていた人物を掘り起こし、いわば裏側から描くことで、またその導入に 恋物語を添えることで、更には登世の手記という形で物語を“今”につなげることで、この作品は秀逸な傑作に仕上がっていると 言えよう。 残念ながら伊東潤の『義烈千秋 天狗党西へ』は、この作品が与えてくれる感動には及ばない。『王になろうとした男』も 初期の短編集に見られるキレがない。 直木賞は、“朝井まかて”のこの作品に贈られるべきだろう。(姫野カオルコも好きだけど…)
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言葉や話し方は正確なのか?
構成の巧みさに驚いた。また小説全体は面白く読んだ。 ただ、読んでいて時として、この当時にこんな言葉や言い回しを使っていたのかと思う箇所に出会った。突然現在の若い女性が使うような言葉遣いに遭遇する。 相手を指すときの○○君という言葉もあったが、幕末の頃もこういう言い方をしたのだようか? 歴史小説をあまり読んでこなかった私の知識不足だろうか。 この後、司馬遼太郎の龍馬が行くや翔ぶが如くを読んでみようと思っている。
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歌人中島歌子の知られざる半生を知ることが出来た
又、水戸藩のことなども知ることが出来た。大河「青天を突け」が始まったばかりなので水戸藩のこともしる機会があり丁度良かった。
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幕末の水戸藩で、時代に翻弄された武士の家族
幕末の水戸藩で、時代に翻弄された武士の家族の凄惨な物語。佐幕と維新にゆれた水戸藩、その内部闘争で自らを疲弊させてしまった。そしてその家族までが巻き込まれ獄中で死んでいく、その中で夫を強く思い、明治まで生き延びた女性の物語。感動作です。