作品情報
19世紀ベルリンの霧の中で、医学生が事件の輪郭を追う。
第13回江戸川乱歩賞受賞作。1997年の大衆文学館版では「次郎長開化事件簿」と合わせて収録され、海渡英祐の代表作として再読されている。史実の手触りと事件の謎を並走させる構成が強い。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 1997-10-01
- ページ数
- 573ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062620956
- ISBN-10
- 4062620952
- 価格
- 1080 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
明治21年冬の伯林(ベルリン)。留学中の若き医学徒の森鴎外はドイツ娘との恋に煩悶の日々を送るが、古城でおきた伯爵殺害事件に遭遇、突明にのりだす。二重密室、背景に鉄血宰相ビスマルク――乱歩賞受賞の名作と、明治になり、老境に入った清水の次郎長が新時代の青年と、持込まれる怪事の数々を解く傑作。
昭和9年(1934)、東京に生まれる。満州で育ち、東京大学に入学後、高木彬光の『成吉思汗(ジンギスカン)の秘密』の執筆の資料整理を手伝いながらミステリーの習作を始め、卒業とともにプロ作家の道を歩み出す。36年にスパイ小説『極東特派員』と『爆風圏』を発表、42年(1967)『伯林(ベルリン)─一八八八年』で第13回江戸川乱歩賞を受賞、推理作家の地位を確立した。著書は『燃えつきる日々』『謀略の大地』『次郎長開化事件簿』『新門辰五郎事件帖』『俥に乗った幽霊』ほか多数。
レビュー
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かなりの力量のあったのが判る作家の二作を併録した合本。
「伯林ー一八八八」ベルリン留学中の森林太郎、後の森鴎外が殺人事件に巻き込まれ…というお話。 はっきり言って本格推理小説としてはそれほど出来がいいかどうかは疑問ですが、それを小説としての巧さで補っている印象を受けました。なによりベルリン留学中の森鴎外を主人公にした推理小説を書こうとした著者の着眼点が素晴らしいと思います。今読んでも十分通用する作品。 「次郎長開化事件簿」大政奉還の頃の日本を舞台にした歴史サスペンス。こちらもミステリとしては少し落ちるかもしれませんが、明治の文明開化の頃の滾る日本の様子がよく判り、行間から匂いたってきます。読んでいて大変楽しめました。 両方とも★5つさしあげますが、ベルリンと過去の日本で大部雰囲気が違うのに描き分けが巧みでこの著者の才筆ぶりを感じました。文章が通俗的過ぎるようにも思いますがその分読みやすかったです。今までスルーしていた己の不明を恥じるとともに、他の著作も読んでみようと思った次第。是非ご一読を。
関連する文学賞
- 江戸川乱歩賞 第13回(1967年) ・受賞