作品情報
『白の断章』は、鏡征爾による講談社BOX新人賞の受賞作。
『白の断章』は、鏡征爾による講談社BOX新人賞の受賞作。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2009-05-01
- ページ数
- 361ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062837088
- ISBN-10
- 4062837080
- カテゴリ
- 本/コミック・ラノベ・BL/ライトノベル
流水大賞受賞作! デビューにして奇跡! 胸に絶望の闇をもつ俺は、こめかみに蝶の自傷痕をもつ少女と出会った。復讐の果てに俺たちがたどりついたのは会ってはならぬ怪物だった。悪夢の循環はまだ続く。
レビュー
-
初の大賞って良くも悪くも
少女の復讐譚と少年の再生の物語。 ちょっと高尚めな文体は、読んでいくうちになれました。 青春ミステリとしても出来はよく、極致をいっていると思います。 問題はそれが、やや書きすぎな描写によって、手に取られにくくなっていることでしょう。 初の大賞というのは良くも悪くも叩かれるものかもしれませんが、それだけが問題ではないというか。 あんまり売れなかったんでしょうね。 ただ講談社BOX系列の新人やメフィスト、ファウストなんかの界隈では、 ここ数年でも最も才能を感じた一人なわけで。 長らく新刊が出ていないようですが、ファンの一人として応援しています。
-
サッカー版DDD
この作品は損してます。というのも指輪物語が最初の数ページで読むのを諦める人が多いのと同様の理由です。 本作品も指輪物語もエンタメしてるのに最初の取っ掛かりがしにくいのです。そこさえ乗り越えれば奈須きのこさんの「DDD」のサッカー版のような作品なので普通にたのしめっますよー。
-
きつい。
満を持して「あの」悪名高い賞から始めて大賞が出た!こいつは事件だ! ……という期待をもって買って読むと、ひどい目に遭います。 まず、とにかく読みにくいです。 美しさ、繊細さを演出するにはあまりに小難しい文章の羅列はもはや自己陶酔を通り越して見事なまでに失敗という感じ。 けして日本語的に難解という意味でなく、無意味にこねくり回した描写が連続するのでいちいち目が滑るのです。 本はじっくり読む派の自分でも何度も投げ出してしまうので、ついに流し・飛ばし読みしました。 目指すものはわかる気がするんですが、やめとけと言いたくなります。 内容も特段これは!というほどでもなかったです。 それでもまあ普通に出版された本ならここまで言いたくはないのですが、なぜ「あの」賞から「これ」が生まれたのか、最先端を自負する人たちの基準が本当にわからない。 西尾維新、佐藤友哉らが輝いていた時期から迷走を繰り返してついにここに至ったかと思うと溜息が出ます。 そういう背景もあって評価はかなり低くしました。 ……というのが出版された頃の感想で、今見てみるとこの作者さん、次の本を出してから数年途絶えてますね。 やはり無理があったということでしょうか。
-
圧倒的
第五回目にして初の大賞。系列のファウスト賞から含めると九回目にして初の快挙。かの太田克史氏が出した、最初にして最後の受賞者 これだけで相当な期待が作者にかかった筈だ。だが読了して、了解した。 とにかく、すごかった。だが、何がすごかったのか、読み終えた今でも、正直よくわからない。もっといえば、一言なんかでは言い表わせないような、そんなタイプの熱量とか過剰さみたいなものが、この作品にはある。 圧倒的だったという言い方がたぶん一番しっくりくる。 この作品は正常なようでいて、色々ありえない。まず暗黒の復讐譚にガッチガチの熱血スポ根がぶち込まれ、しかも奇妙に組み合わさっている。映像的で感覚的な美しい描写に、突如としてユーモアが紛れ込み、暗く沈みすぎない。近代小説の文学的伝統を踏襲しつつ出発し、ライトノベル的な物語へと接続したかと思うと、また文学に回帰する。 それが、なぜか閉鎖的でなく開かれたものとして、圧倒的な読後感を生む。文学を「ファウスト系」で割ってぶっ壊した感じ、といった方が感覚的にはわかりやすいかもしれない。だが、ファウストや既存のエンタメなどをぶっ壊したものではないのだ。 感覚的なタイプな印象は受けるが、一定のバランス感覚も備えている(この世界観で「殺人する少年」を成立させる為に或る仮構を施したのは見事としかいいようがない。復讐譚熱血スポ根のギミックは、スタンガンという装置を使うことで作品の世界観を安定させなければ、成立しなかったはずだ) よくも悪くも、才能でブン回している感はある。人を選ぶことも間違いない。だが作者の天才すら感じた傑作だった