作品情報
で評価された、野呂邦暢の『草のつるぎ』。
『草のつるぎ』は、野呂邦暢の活動のなかでに結びついた作品です。国立国会図書館サーチでは「草のつるぎ/一滴の夏 : 野呂邦暢作品集」として確認でき、講談社から2016.3に刊行されたものです。受賞歴は、作品の主題や表現が同時代の選考で一定の評価を得たことを示しています。
レビュー要約
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受賞歴からは、作品の題材への向き合い方と表現の確かさが評価されたことがうかがえる。読者には、作者の関心が凝縮された一作として受け止められる。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2016-03-11
- ページ数
- 320ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 11.6 x 1.3 x 16.2 cm
- ISBN-13
- 9784062955003
- ISBN-10
- 4062955008
- 価格
- 1965 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
「言葉の風景画家」と称される著者が、硬質な透明感と静謐さの漂う筆致で描く青春の焦燥。生の実感を求め自衛隊に入隊した青年の、大地と草と照りつける太陽に溶け合う訓練の日々を淡々と綴った芥川賞受賞作「草のつるぎ」、除隊後ふるさとに帰り、友人と過ごすやるせない日常を追う「一滴の夏」――長崎・諫早の地に根を下ろし、42歳で急逝した野呂邦暢の、初期短篇を含む5篇を収録。
レビュー
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けっして超1流ではないが見事な内面描写
夭折した芥川賞小説家、野呂邦暢の残された作品を漁っているうちに本文庫に出逢った。みすず書房でも近年、文体変化後の連作短編集「愛のデッサン」なんたらというのが復刊されたが、野呂邦暢は美文体で書こうが、下手な(?)日本語で書こうが、とにかく不器用な実直さが肌に感じられてくる稀有な日本語作家である。とくに近年、松浦寿輝とか堀江幸なんとかなどの芥川賞小説家の小器用な美文体で、うわすべりする、ふわふわしたソフト・ビニール人形のような無内容の小説やエッセイを読まされると、野呂邦暢の不器用だが、作家の奥深いところから醸成される人生の鉛色の重みが心地良い。松浦とか堀江とかは頭が良いからベルコンベア式に小綺麗な文章を量産するのだが、そこになんら魂の問題がこめられていないのがスケスケ。もっとも連中には魂の問題などはなから眼中にないのだが、文学はヌーヴォーロマンやベケットやジョイスでも人間の魂の問題に拘泥してきた歴史を考えると、その問題をはなから埒外とする最近の浮かれ女のような、なよなよとした文学者どもは、10年後にはとっくに文学史から姿を消しているだろう。野呂邦暢のように没後何10年もたって蘇ってくることなど断じてない。
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優しい文体で描かれる青春小説
浅田次郎氏の自衛隊小説のようなドラマ性はないが、九州の各所から集まった青年たちの生活が優しい文体で描かれます。 「一滴の夏」は直接的には書かれていないが、「草のつるぎ」の自衛隊生活を辞めた後の物語で続編みたいです。 出てくる人たちの九州弁は好きです。著者は九州出身なので、不自然さはありません。 なお、経歴には佐世保自衛隊勤務みたいに書かれていますが、正しい表記ではなく、陸上自衛隊相ノ浦駐屯地に勤めていたのでしょう。 作品では初期の自衛隊の雰囲気がうかがわれます。