日本の文学賞

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ベランダに手をふって (講談社・文学の扉)

ちゅうでん児童文学賞

ベランダに手をふって (講談社・文学の扉)

葉山えみ

田園の町を舞台に、子どもたちが生き物を見つめながら少しずつ世界を広げていく児童文学。日常の習慣や家族との距離感の中に、成長の手触りが静かに浮かぶ。

児童文学成長家族観察

作品情報

ひと夏のまなざしが、子どもの成長をそっと照らす。

葉山えみの『明日の帆をあげて』は、のちに『ベランダに手をふって』として刊行されたちゅうでん児童文学賞受賞作。田園の町で生き物と人の気配を見つめる少年のひと夏を、やわらかな視線で描く。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2021-01-27
ページ数
178ページ
言語
日本語
サイズ
13.5 x 2 x 19.5 cm
ISBN-13
9784065220511
ISBN-10
4065220513
価格
1370 JPY
カテゴリ
本/絵本・児童書/読み物

父親が亡くなってから、毎朝登校するときに母親と手をふり合うのが日課になっている輝(ひかる)。そんな朝の「決まり」を同級生に見られからかわれる原因になる。輝は、そろそろ手をふり合うのを卒業したいという想いと母親を傷つけたくないという想いのはざまで葛藤する。時を同じくして、輝は、同じく父親を事故で亡くした同級生の田村香帆(たむらかほ)とよく話すようになる。香帆は母親と二人で再出発するために、運動会で行われる保護者との二人三脚競争に強い想いをかけていたが……。 第22回ちゅうでん児童文学賞」大賞受賞作品。(選考委員:斉藤洋、富安陽子、鷲田清一の各氏) 日常的な、そして、おとなになってからは、それをいつやめたか覚えていないような習慣、それを象徴的にとらえた、少年の半年間の成長記。こんなにじょうずに日常を描ける新人作家がいるだろうか。──斉藤 洋 この年頃の子ども達ならではの微妙な心の動きや振舞がとても自然で、この作者は子どもをよく知っている人なのだなと嬉しくなります。本物の子どもを描ける人なのです。──富安陽子 全篇に漂うのは、人がたがいにいたわりあうその思い。ふとした仕草や表情の向こうに思いをはせる、そういう心のたなびきが温い。が、いつもすっと相手に届くものでもない。シャボン玉のように宙でつぶれ、どこかに消え失せもする。そういう切なさが、温みとないまぜになって描かれているところが、この作品のいちばんの魅力だ。――鷲田清一

1981年生まれ、東京都出身。 2020年、デビュー作である本作『ベランダに手をふって』(応募時『明日の帆をあげて』から改題)にて、第22回ちゅうでん児童文学賞大賞受賞。 東京都生まれ。桑沢デザイン研究所卒。

レビュー

  • 少年少女の心の通い合いを軸に、子どもと家族の成長を描いていた良作です。

    幼いころ父を亡くした主人公輝と、一年前に父を亡くした同級生の香帆の心の通い合いを軸に物語は進みますが、タイトルにもなっている、ベランダに立って子どもから手をふられているはずのお母さんの登場シーンは非常に少ないです。ただ、母に寄り添いながら静かに頑張る香帆や、息子を失ったものの残された孫とのふれあいを楽しみにしている祖父母、新たな命の誕生を待ちわびる叔父夫妻たちの姿を見、言葉を交わして、人として確かに成長していく輝の姿を描き、そして最後のシーンを描くことで、全て子どもたちにその成長を言祝いだような作品に仕上がっています。 文章は軽やかですが、同時に非常に繊細に物語が配置されており、レビューを長文にしても長所を上手く伝えきれないのが残念です。いい作品に出合わせていただきました。ありがとうございます。

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