作品情報
ノベル大賞で大賞・読者大賞となった、清水朔の『神遊び』。
『神遊び』は、清水朔による作品。ノベル大賞の対象作として、作品の構想や語り口が評価された。読者は、文学賞, 人間, 物語を軸に、受賞当時の文学的関心をたどることができる。
書籍情報
- 出版社
- 集英社
- 発売日
- 2003-02-28
- ページ数
- 240ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784086002394
- ISBN-10
- 4086002396
- 価格
- 300 JPY
- カテゴリ
- 本/コミック・ラノベ・BL/ライトノベル
神遊びをすると怖いものに遭う!? 祭りの夜に神社に向かった少年たち。小さな冒険が心の奥の秘密をさらけ出し、悲劇が…'01年ノベル大賞受賞の表題作に2編を加えた、異色のオムニバスストーリー。
レビュー
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ダムに沈む田舎の村、夏祭り、不思議な言い伝え、ちょっと怖いノスタルジーに満ちた物語です
2001年ノベル大賞、読者大賞をダブル受賞した作者のデビュー作「神遊び」に、2003年に「空蝉」「カタシロ」を加えコバルト文庫から刊行、さらに「神送り」を加えた全4作です。 ジャンル的にはラノベだそうですが、一般作と言っても通るしっかりした作品でした。 田舎の夏祭、その裏で密かに伝わる”神遊び”という願掛け、それを行ったために死んでしまった仲間、そのトラウマを抱えたまま大人になった小学校の同級生たちが小学校校舎で行われる最後の同窓会に帰ってきます。最後というのは村は来年ダムの底に沈むことになっているからです・・というノスタルジーに満ちた物語。 「神遊び」1994年の夏、同窓会が終わった後で仲間たちは神社の裏山にある亡くなってしまった仲間の墓に参ります。過去の事件のいきさつが語られます。 「空蝉」仲間の1人だった美里ももう大学生。姉と一緒にアパート暮らしをすることになります。アパートの近くにはちょっと変わった神社があって、祭りの神楽に使われる数種の面の中で毎年どれかが消えてしまうといいます・・。 「カタシロ」時代は戦前に遡ります。仲間内の1人のおばさんが、子供の時にやはり”神遊び”を行った、それを示唆したのは謎めいた美青年の山人でした。そこでもやはり1人の子供が山から滑り落ちてしまうのですが・・・。 「神送り」村がダムに沈んでから17年後、子供が亡くなってから33年後。山の上にあった神社はすでに遷宮されて別の町に移され、今は廃屋となった建物だけが残っています。久々に帰省してきたかつての仲間の1人は息を切らせて長い階段をのぼった後、そこで不思議な巫女に出会います。 どれもよかったです。ほんのりとしたホラー色もありそちら方面や民俗学的なものが好きな人は気に入ると思います。作者が影響を受けたのが酒見賢一「後宮小説」、京極夏彦「姑獲鳥の夏」、小野不由美「東亰異聞」と聞くとその雰囲気がわかるのではないでしょうか。作者の他の作品も読んでみたくなりました。
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時も人も慣習も懐かしい!
著者は、私の次女と同じ大学の出身の人。入寮締め切りに間に合わなかったので、次女を連れてあわててアパート探しに行った日、あまりもの田舎風景に、唖然としたものだ。アパート探しの時の不動産屋さんとのやりとりなど2編目の『空蝉』と共通した経験もあり、「えっ、あの辺て、不動屋さん、みんな同じタイプ?」と、思ったものだ。 それはそうと、あの周辺をバックに、これだけのものを構築してしまった著者に敬服する。集落のありよう、深く潜んでいく人間関係、強いものと弱い者の表と裏。ほんとによく描けている。それにお祭り風景、たとえば、おばあさんばかりの巫女さんのお神楽。・・・やっぱり、華やぐに違いない。他人の目にどう映るかなんて問題でなくなるだろうな。 暗く哀しいドラマのすぐ近くで、太鼓が鳴り、神輿がかつがれ、神楽が奉納される、にぎやかなさんざめき。そのあたりの舞台装置は巧みだ。 ただ、登場人物の力関係が、似たり寄ったりかなと思う。明とちびぞう、美里と歩、美里と姉、そして、『神遊び』と『カタシロ』の二つの少年グループの在りようが、なんだか、似てるよなと思ってしまった。作者の意図? 最後にちょっと疑問。『神遊び』の洋三と、『カタシロ』の、洋ちゃんは、同じ人なのだよね!
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