日本の文学賞

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無伴奏 (集英社文庫)

山本周五郎賞

無伴奏 (集英社文庫)

小池真理子

『無伴奏』は、1960年代末の仙台を舞台に、学園紛争の熱気のなかで出会った若者たちの恋と秘密を描く長編小説である。危うい四角関係と死の気配が、二十年後の記憶として甦る。

恋愛小説1960年代学園紛争記憶死の予感

作品情報

反戦と青春の熱のなかで芽生えた恋が、甘美で危険な記憶として甦る。

『無伴奏』は、小池真理子の長編恋愛小説で、杜の都・仙台を舞台に、反戦集会や学園紛争の時代を生きる若者たちの関係を描く。響子、渉、祐之介、エマの間に漂う秘密が、濃密な性と死の予感を伴って悲劇へ向かう。集英社文庫版は1994年刊行、296ページ。新潮文庫版も刊行され、映画化もされた。

レビュー要約

  • 時代の熱気と恋愛の危うさを重ねる構成が読みどころとされる。美しい恋の記憶だけでなく、関係の奥にある秘密と死の匂いが物語を強く牽引する。

書籍情報

出版社
集英社
発売日
1994-09-20
ページ数
296ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784087482126
ISBN-10
408748212X
価格
48 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

60年代末期の熱狂の中で出会った男と女。学園紛争、デモ、反戦集会。杜の都・仙台で芽生えた小さな恋が20年ぶりに甦る、危険で甘美でミステリアスな長編小説。(解説・佐々木 譲)

レビュー

  • 恋と時代と

    本作は、作者の小池真理子氏が、1960年代に仙台のある女子校に転入し、自身とその時代を下敷きにして書いた物語である(あとがきより)。 実は私の母が、その当時、モデルとなった女子校の生徒で、在学中の小池さんのこともよく覚えていた。ちなみに母は小池さんより2学年下で、学生運動が最も高揚していた時期に入学したという。 作品と合わせると、主人公・野間響子が、制服撤廃委員会の委員長になったのが高2生で、母は中3。響子もこの時がいちばん『闘争』として、反戦デモやアジビラ刷りに加わり、その渦中にいたが、渉と裕之介、エマらとの出会いにより、運動から徐々に疎遠になっていく。 高3生の頃には、予備校と学校をサボりながら、渉という若く美しい男性に惹かれ、ある意味、普通の少女として、恋に夢中になって日々を過ごすようになる。 思春期と時代が、響子の何者かである、という自尊心を突き動かしたものの、恋に傾倒するにつれ、何者でもなかった自分を知る倦怠と虚しさ、くすぶった熱情が、余計に渉への恋慕として注がれるようになったのだ。 響子の恋は、残念ながら成就してしまう。そして突然に喪われる。 しかし、この恋を失う過程で、響子にとって、超えられなかったのは性差ではなく、裕之介という人間であり、膨れ上がる憎しみも怒りも、祐之介の「存在」に向かうのだ。 だからこそ、響子は渉と裕之介の結びつき/セクシュアリティを、最後まで胸の裡に納めたのだろうし、20年後もきっかけはありながら、告白はしなかった。そうすることで、彼女はあの熱に浮かされ、唐突に途切れた青春を、過去にしたのだと思う。 蛇足だが、小池さんの卒業から2年後、高3生になった母は生徒会長に就いて、卒業式では答辞を読んだ。学生運動盛んな時代、母の答辞は、事前に教師たちから「検閲」を受けたという。 その青春時代から5年後、母は私を産むのだが、卒業式の写真の少女は、今も口をへの字にして、挑むように私を見ている。母が笑っていない写真は、このたった1枚だけである。

  • 渉の繊細さと優しさに恋してしまう。

    切ない青春と恋がよく描かれている。渉が魅力的で、その繊細さと優しさに恋してしまいそうだ。 青春の成就することなかった恋は、いつまでも尾を引くことを物語っている。 冗長な思わせぶりな言い回しは、鼻につくが、全体として当時の空気感と時代的背景がとても上手く心の動きにフィットしている。 ただ、生活に何不自由のない、親のすねかじりの若者が、未成年なのにたばこをバカバカ吸ったり、酒を飲んだり、大した考えも無しに反対と言ってみたり、つまらないあぶくのような日々ではあるが、それを捨象しても、みごとな小説である。

  • 映画の方が面白いかも・・

    最初に映画を見ました。 殆どストーリーは同じですが、映画の演出の方が展開が面白いかもしれません。

  • 仙台の街並みが懐かしく蘇ってきます。

    60年代後半仙台を舞台にした小説「無伴奏」、作者同様、自分も43年前大学生で 実在のバロック音楽の喫茶店「無伴奏」に通った一人です。 ビルの地下の店、二人掛けの椅子、パイプオルガンの音、そして青葉山、北四番丁、 北山、仙台ホテル2階コーヒーショップ、丸光デパート、藤崎デパート、当時の仙台 の街並みが蘇ってきます。 本書は女性の一人称で語られる一事件の物語であり、60年代後半を描いた青春小説 です。作者にとっても読書にとっても懐かしい一冊です。

  • 私の知らない世界

    特殊な恋の世界が繰り広げられています。それぞれの心理状態が極限まで追いつめられていって、とんでもない行動を起こしてしまう。自分では経験したことないけれど、人間ってあんな風になるのかなぁ。

  • とても満足

    中古といえども、中はもちろん外もキレイ。 コスパも十分。速い対応でした。

  • 著者の自己満小説

    冒頭でオチ言っちゃってるし、読者を引きこむには勿体ぶりすぎる表現が多いです。「この時こうしていれば、この後ああはならなかったかもしれない。」みたいなドラマ仕立ての文句は効果的に使わないとげんなりさせるだけです。 一読した後の感想は、小池さんってミーハーな人なんだなぁ…でした。 『恋』『欲望』の後に読んだので、性の異端的な話が好きなだけなんだろうなという印象でした。登場人物がみんな美男美女なのも女流作家の典型って感じで辟易させられました。 主人公の回想が主軸にしても、事件後の描写がおざなりな感じがします。道徳倫理に反した恋愛の結末があの展開は小説だからこそありなんだと思います。 ただただ主人公の恋物語を悲しく美しく描いてるだけに思えました。

  • 懐かしく、やや恥ずかしい昭和の香り

    仙台(地方)と東京(地方)の距離感に共感す。そうだったなぁ、たしかに・・・・と。ラジオで中村メイコが「ロストラブ」とかやっているのを、何か悔しい思いで聞きながら受験勉強していたあの頃。高校生としての自分は、入学式に紙吹雪舞い、野次で歓迎されたが、高連も高協も形を潜めシラケムード(ニヒリズムとかいっていたが)漂う、遅れてきた青年としてしか振る舞いようのない世代であったのを思い出す。 仙台については、今は、伊坂幸太郎が上手く表現している。

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