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優しくって少しばか (集英社文庫)

すばる文学賞

優しくって少しばか (集英社文庫)

原田宗典

危うい男女の関係を、重なり合い、すれ違い、傷つけ合う感情の揺れとして描いた短編集で、佳作入選作はその第一作品集に収められている。

男女関係危うさ短編集すばる文学賞佳作

作品情報

重なったり、離れたり、擦れ違ったり、傷つけたりする、危うい男女の関係を編んだ作品集。

集英社文庫版では、男と女の危うい関係を縒り合わせる六つの中短編として紹介される。第八回すばる文学賞佳作受賞作を収録した原田宗典の第一作品集として位置づけられる。

書籍情報

出版社
集英社
発売日
1990-01-19
ページ数
296ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784087495362
ISBN-10
4087495361
価格
1 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

男は、いけない。女もいけない。いけない二人が一緒にいるから、なおいけない。けれど1人じゃまたいられない…。ついたり、離れたり、危うい男女の関係を編んだ作品集。(解説・川西 蘭)

レビュー

  • 珠玉の短編集

    「優しくって少し ばか」ポエム様な改行を使って進むなんて事ない男女の一風景ですが、幻想的な雰囲気をもってストーリーは進みます。それでいて微笑ましく、そして暖かい気持ちになれる短編です。 私が一番気にいっている作品は「雑司が谷へ」です。 妙にリアリティがあって、 「原田氏は本当にこんな事を体験したんだろうか?」 とあらぬ想像をしてしまいました・・・。男の非情さと女の脆さ、二人の温度差が読んでいて痛々しい程です。 「テーブルの上の過去」はこういう気取った、よく言えば洒落た作品を書くと原田氏の凄さが分かります。 阿刀田高氏を彷彿とさせる少し背筋がぞっとするようなミステリー集だと思いました。

  • 不気味な男女の物語

    表題作の「優しくって少し ばか」を含む、六つの短編から成る短編集だ。 表題作は地の文に読点(、)が打たれておらず、やや読みにくい。 作者がなぜこの文体を選んだのかはわからないが、物語は主人公の一人語りで進んでいく、 男女の物語だ。少し、だれた感じを出そうとしたのか。 残りの五編は、表題作と違って、いずれもサスペンス仕立ての男女の物語だ。 いずれの作品も、女性の不気味さが巧みに描かれている。 女性が不気味になるのは、嫉妬心や中絶が直接的な原因になっている。 例えば、恋人である男が、別の女性と恋愛関係になっていることに気がつくとか、 妊娠から中絶に至るまでに、その男の本性を見てしまうといったことだ。 これらの短編の中で、個人的には「西洋風林檎ワイン煮」がもっとも不気味で、気に入った。

  • とても20年前の文庫本とは思えないスタイリッシュさ

    私の好きな作家が愛読書として 紹介していましたので手にとってみました。 1990年、今から20年前に発刊された 文庫なのですが、文章がスタイリッシュというか 小ジャレていて、とても20年前のものとは思えませんでした。 ひょっとすると、バブル全盛期でしたので、時代の勢いがそうさせたのかもしれません。 短編で構成されており、どの話もベースは ”うじうじした男性”と”強い女性”が織りなすストーリーになっています。 全編において 「オンナって怖い生き物だな。オトコの手には負えないな。。。」と痛感させられました。 男が読むには、ちょっぴりこわ〜い作品でした。

  • (意外に?)深みのある、青春小説集

    原田宗典。これまで読んだことがなかった。最近本屋で平積みになっている、『おまえは世界の王様か!』が結構面白く、「それでは」と購入してみたのが本書。 本書は掲題作を含む短編集で、冒頭の作品が「優しくって少しばか」。独特の改行を用いて、それなりに効果をあげているけれど、あるいはここで読むのがいやになってしまう人もいるかもしれない。「自分の表したいことはこういう『カタチ』でないと表現できない」と考えてのことなのだろうが、やはり異質のものを受け入れるのは大変な作業。できれば、その「異質」なものを、伝統的な形式の中で表現して欲しかったと思う。 もちろん。そういう「カタチ」にも拘る原田宗典は、さすがに作品の細部にも気を配る作家で、全体的に彼の描く細部は十分な成果をあげている。一般的に言えば、「男の目から見た女の不思議」なんてモチーフの作品は読むに耐えないものが多い。しかし、本書においては「男から見た女」が、かなり「リアル」なカタチをもって描かれている。それは細部に拘る原田宗典の技術だろう。 解説で川西蘭が、短編を描くには技術が必要で、かつ技術があればなんとか書ける、という趣旨のことを言っている。原田宗典も『おまえは世界の王様か!』によれば、自ら描く短編象を常に頭に置きながら技術を身に付けてきた人。気持ち悪い描き方になりがちなモチーフを技術でクリアする。そういう点から考えると、本作は作家志望の人にも面白い本なのだと思う。尚、本書は86年に単行本として刊行。原田宗典が59年生まれなので、20代の作品ということになる。この短編集に描かれるような「オンナ」を描いた著者が、30代になって「何」を「どう」書いているのか、読んでみたいと感じさせる作品集だった。

  • 例のパン屋

    『優しくって少しばか』は主人公の男性が彼女の部屋に泊まっている時の独り語り。主人公も彼女も風邪をひき、会社を休んでぐったりとしながらおしゃべりをしている。とりとめのない話だが、そこには新鮮さがあり、安心感が漂っている。また、文章も多用される間、音の響き、言葉のつながりが重視され工夫されている。「優しくって少しばか」なのは、主人公の独り語りに出てくる「例のパン屋」のことである。他、『西洋風林檎ワイン煮』、『雑司ヶ谷へ』など、男性の視点から見た女性のミステリアスな部分が巧妙に描かれている。

  • ずっと読んでみたかった本

    某声優さんが好きな本にこの本のタイトルをあげていて、昔から気になっていたので購入させていただきました。 発行されたの今から20年以上前の為、ちょっと今とは時代背景が違いますが、新鮮なきもちで読むことが出来ておもしろかったです。 表題作の「優しくって少しばか」は男女の会話で成り立っています。 男性視点での会話で文章が作られているのですが、句読点が極端に少なく、個人的に読みづらいです。だけど、そこがいい!という感じ。 シャワートイレの表現がなかなか面白かったですね。 表題作以外の短編も面白かったので、他の作品も読んでみたくなりました。

  • 悩む男心と女心

    男女の心のかけひきの本です。読むと、「あ〜、わかる」みたいな感じですかねえ。 全てに当てはまるのは、誰一人として年齢が出ないこと。 評価が結構高かったので読んでみましたが、私には少々向かなかったようで 全体的に、男性の目線から書かれていますので、男性の方が読まれたほうが共感得られると思います。 恋愛等でお悩みの方、時間つぶしにご覧になるのもいいかもしれません。。。

  • 原田氏の幅を感じる作品

    先ず最初の「優しくて少しばか」は彼の人となりを表した作品と位置づけられるかもしれない。彼の作品群の中では、最も克明に心理描写が行われている。その心の中に一瞬に繰り広げられそして次の瞬間には消えている感覚、感情、思考を余すことなく文章に置き換えるこんな作業を行った結果、彼は、心の中の思考のスピード感、連続性を表現するために句読点を使用しないという新しい表現方法を見出したのでは無かろうか。主人公の感覚、思考に同化出来た部分では、通常の文章とは異質の臨場感を味わうことが出来た。しかし、主人公と一旦感覚・思考がズレた途端、文章を追う事すら非常に困難となるのである。実に面白い読感だし、彼の実験的なチャレンジを素晴らしいと思う。 2作目の「西洋風りんごワイン煮」では、一転して某TV局タモリ司会のホラーサスペンス短編の脚本を思わせる作品。 3作目の「雑司ケ谷へ」。これは、非常に興味深い作品で、男が感じとる女の描写としては相当高いレベルではないかと感じさせられた。 4作目は、ショートホラー 5作目「ポールニザンを残して」は、とにかくお洒落な物語。 6作目は、ある過去に対する現在の認識を変えることが出来れば、それは過去を変えたことと同じだという面白い切り口で描かれたもの。 以上、著者の自画像とも思える作品が冒頭にあることによって、後の作品の味わい方が全然違ってくる。そんなことを実感しましたよ。

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