日本の文学賞

← 受賞作品一覧に戻る
粉瘤息子都落ち択

すばる文学賞

粉瘤息子都落ち択

更地郊

上司のパワハラで退職し、引きこもり気味に暮らす野中が、大学時代の友人・忍から持ちかけられた奇妙な対戦の依頼をきっかけに、居場所のなさと友情の距離感に向き合っていく物語です。格闘ゲーム、自販機のテープ、マウンテンデューといった卑近なモチーフを通して、だるさの中に切実さが滲む日常が描かれます。

都落ち無職友情格闘ゲーム底辺青春都市と地方

作品情報

都落ちが近づく日々のなかで、ありふれた生活が少しずつ不穏に揺れていく。

第49回すばる文学賞受賞作。更地郊のデビュー作として集英社から2026年2月に単行本化されました。上司のパワハラで職を失った野中が、大学時代の友人・忍との格闘ゲーム対戦や、自販機に貼られた謎のテープをきっかけに、都落ちの現実へ引き寄せられていく過程を描きます。オフビートな笑いと切実さが同居する、令和の底辺青春小説です。

レビュー要約

  • 言葉の軽やかな奔流が単なる奇抜さに終わらず、社会への違和感や不安定な青年像を押し出しているという評価です。挑発的でありながら、登場人物の戸惑いと図太さを同時に読ませるデビュー作として受け止められています。

  • 軽妙なやり取りとオフビートな笑いが、都落ち前の暗さをほどよく和らげているという受け止め方です。妙な依頼から転がっていく物語に引き込まれ、時間を置いて二人の背中を思い返したくなる余韻が評価されています。

書籍情報

出版社
集英社
発売日
2026-02-05
ページ数
176ページ
言語
日本語
サイズ
13.4 x 1.9 x 19.4 cm
ISBN-13
9784087700442
ISBN-10
4087700445
価格
1870 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

第49回すばる文学賞受賞作。異形の“底辺青春小説”誕生! 「本当に久しぶりに、ただただ面白い小説を読んだ」金原ひとみ氏 「もっとも読む快楽を感じた」岸本佐知子氏 (選評より) 上司のパワハラで退職し、アパートに引きこもっていた野中。 ある時、大学時代の友人・忍から「毎月10万渡すからスト6の対戦をしてくれ」と謎の提案をされる。 以来、月1のメンクリ通いと週4の忍とのオンライン対戦、そして、毎日最寄りの自販機でマウンテンデューを買ってはふらふら散歩する日々を過ごしていた。 九州の実家では父親が病気で死にかけていて、母親からは早く帰るよう懇願されている。 “都落ち”が近づくある日、いつもの自販機に貼られた、意味不明な文章が印字されたテープと出会う。 [じゃあ一生オマトゥマヘーオマヘマンヘーっつてろよ。] 野中は、自分の粉瘤の血が飛び散ってしまったそれを【呪物】としてフリマアプリに5000円で出品。 すぐに落札されたことをきっかけに、野中は更なる混沌に巻き込まれていく――。 だるくて切実、くだらないのに沁みてくる、令和最強の“底辺”青春小説。 ■著者プロフィール 更地 郊(さらち・こう) 2025年、本作で第49回すばる文学賞受賞。

レビュー

  • 粉瘤って何か調べちゃうよね。

    汚えし、笑えるし、ちょっと泣けるし、また汚え。 また別の作品も読ませてくれや。 コンドームが表紙だけど下ネタはない。つーか表紙はダサい。 ダサすぎてKindleで買ったけど本として手もとに置いておきたくなった。

  • とても読みやすい

    普段読書をしない自分でもすらすらと読める程度には読みやすかった。

  • 鬱のエネルギーを見事に昇華、時代を疾走択。

    格ゲー、メルカリ、マウンテンデュー 私の個人的な興味やセンスと距離があり、読み切れるのか、途中で少し戸惑うも、ぐいぐい引っ張り、大変面白く読めた。 青年が父的なものに成長するとは、自分の言葉を本気で身につけることなのだろう。 それは身体的な受容が必要で、格ゲーで存分にトレーニングした結果が、終盤の若者との対峙に表現されたとも言える。また無難にまとめると、現代の青年期の挫折、痛みや抑うつ気分、友情を、文学に高めて結晶化させたとも言える。 こういう体裁を整えた感想をくだらないと破壊する面白さもこの小説は持ってる。じゃあ一生オマトゥマヘー…..の呪文の謎のパワーなのか。意味不明であることが構造を安定化させている。 願わくば、翻訳されて英語圏や中国語圏の文学愛好の層に、これが日本の若者のエッジだと訴求して欲しい択。この択の使い方でいいのだろうか?

  • イケてない男の子二人の変な友情

    令和のイケてない男の子の質感がやたらリアル 文体や描写が淡々としているのに面白く、一気に読んでしまいました 読後感も良いです 次回作待ってます!

  • 新しい青春小説の形

    目をひくタイトルに惹かれて購入しましたが、期待以上に面白かったです。 パワハラで辞職した主人公と、唯一?の友人である忍のやりとりが軽妙で心地よく、下手にウケを狙ったわけでもない温度感だが、やはりふいをつかれて笑ってしまったり。 あらすじを読んでわかると思いますが、この小説には驚きの展開などはさしてなく、しかし意外性のある場面の連続なので読んでいて飽きない。湿度のからっとした友情に少し泣かされる場面もありました。 唯一難点をあげるとすれば、ヤクザコント?の場面だけが、芸人のコントのように浮いていて、作者持ち前のユーモラスが発揮されていなかったかなと思いますが、間違いなく読んでそんはないと断言できます。 恋人もピストルもでてこなければ、人生が大逆転するわけでもない、そんな物語を爽やかな読後感で締めてくれる作者の力量に脱帽。 また、ちがう作品も読んでみたいな

関連する文学賞