日本の文学賞

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教授と少女と錬金術師

すばる文学賞

教授と少女と錬金術師

金城孝祐

薬学部の研究室を舞台に、髪と神をめぐる奇妙な攻防をコミカルかつ過剰な熱量で描く。第37回すばる文学賞受賞作。

大学研究身体ユーモア奇想

作品情報

常軌を逸したエネルギーが、問題作を問題作たらしめる。

第37回すばる文学賞受賞作。2014年に集英社から単行本刊行。

書籍情報

出版社
集英社
発売日
2014-02-05
ページ数
184ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784087715507
ISBN-10
4087715507
価格
720 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

常軌を逸したエネルギーで全選考委員を圧倒し困惑させた、すばる文学賞史上、最大の問題作。「毛」をめぐり、不思議な力を持つ少女と錬金術師が暗躍する、髪と神の支離滅裂で命がけの戦いがはじまる。第37回すばる文学賞受賞作

レビュー

  • 意味不明

    最初から読み進めるのが苦痛でした。 しかしせっかく購入したのだから、と我慢して半分ほど読みましたが、そこで挫折。 結局、最後まで読み気になれなかった。 ハチャメチャで、意味不明。これが、すばる文学賞作品? と首をひねりました。

  • 行間に宿るフェティシズム

    第37回すばる文学賞受賞作。 読み始めてすぐ演劇からの影響を強く感じる。学生演劇の脈のなさと、支離滅裂な場面転換、そして若々しさ。 それを小説という形で完遂できる書き手はそんなにいないし、かなりの力量が必要だったと思う。 数々の映像的に解釈したくなる場面が、読後に走馬灯のように思い起こされるのは良いものだ。 文芸一途な識者にとってそれはとても鮮烈なことなのかもしれないが、ある程度演劇を通過していると既視感もあるだろう。 しかし、それを読み物としてまとめあげる手腕には敬意を示さなければならない。 場面場面をフェティッシュに、書ききっている。 惜しむらくは、登場人物の台詞がラストに向かって既視感とともに求心力を失って飽きてしまう点。 そしてフェティッシュに表現するときに、少しの照れがある気がする。 そんなにシリアスにまとめなくてもいいのに。 この物語はあまり笑いと軽さを許してくれない。 もっとポップに開きなおってくれれば。

  • マジックリアリズム。

    第37回すばる文学賞受賞作品。 なんというか……人に勧めにくい作品。 マジックリアリズムの手法を用いている。受賞後の対談でもガルシア・マルケスの名前を出しているので偶然こういう作風になったのではなく、絶対に意図的。そしてその手法をただただ芸術的方面にだけ使っている。つまり、エンタメ的に面白くするためには欠片も使っていない。純文学系新人賞の受賞作品なので別に問題はないが、読者がつくかは疑問。 こういう小説手法を知らない人は十中八九「はあ? わけわからん」と挫折する本になるだろう。というか知っていても正直、そう言いたくなった。やりたいことはわかるが伝わらない、というか。 ちなみに対談では『百年の孤独』のレメディオス(2)に言及していて(多分)、彼女もいきなり昇天して天使になるじゃないかと語っていたが、それとこの作品の教授の対比……言われるまで気づかなかったが、そう比べると面白い気がしなくもない。 でもやっぱりマルケスの小説の方は「わけわからん」とはならなくて、それが何かははっきりはしないけれど何かが確かにこっちに伝わってくる、不思議なことに。決して自己完結的ではない。 全編を通して読んでいて笑うべきなのか真面目な顔して読むべきなのか全くわからなかった。これはシリアスな笑い、なのか……? 勿論ラストは胸が痛んだし、真面目なシーンだとは思うのだが。毛の真理の話とか、え、マジで言ってるの? となる。 ただ荻ちゃんの秘密に対する伏線はよかった。秘密が明かされてからは、荻ちゃんのいままでの発言はただの不思議っ子でも中二病でもなく、ちゃんと意味があるんだということがわかって。 あと表紙について。すごく目立つ。ほんとに毛が落ちてるのかと何度も勘違いしてしまった。背景が白地だからこそ起こる目の錯覚、なのだろう。これは素直に面白いと思った。 次作を出すならあとほんの少しだけ「人に伝える」方面にも力を割いてもらえればなと。純文とはいえ、このままじゃついてくる読者の幅が狭すぎになるだろう。そうすればいきなり化けるくらい、面白くなる素質があると思う。 最後に、著者の経歴を読んでこういう作品を書くのもなるほどな、と妙に納得した。芸術爆発! の作風もさることながら、こういう経歴だからこそ荻ちゃんの秘密を重要なものとしてとりあげ、それは孤独を伴う酷く痛ましいものだと描くことができたんだなあと。

  • 荻ちゃんはきっと美少女

    意味が分からないのに読むことが苦痛にならない不思議な作品 本にちょっとしたジョーク?が挟まれていて笑った

  • 群像っぽい

    すばる文学賞受賞作は、いくつかの傾向に分けられるんじゃないかと考えている。 1.女性が性愛について書いたもの・・森瑤子、楡井亜木子 、安達千夏、金原ひとみ、高瀬ちひろ 2.男性がオーソドックスなリアリズムで書いたもの・・「狭小邸宅」、「海猫ツリーハウス」、「パワー系181」、「いちげんさん」、「灰色猫のフィルム」(文体は特殊)、又吉栄喜の作品 3.非リアリズム・方法に意識的な「純文学」・・清水アリカ 「革命のためのサウンドトラック」、清水博子 「街の座標」、「塔」、「白の咆哮」、「フラミンゴの村」など あと、「若い女性が書いたもの」、というジャンル(松本侑子、中島たい子)もあったが、これは女性の書き手が珍しくもなくなったので廃れ、有名人が書いたもの(辻仁成、大鶴義丹)についても同様になくなった。本にする前にブログがあるしね。 前置きはこれくらいにして、今作は文体の勢いで読ませるタイプの作品で、類似の作品を上げるなら丸岡大介「カメレオン狂のための戦争学習帳」、とか木下古栗「本屋大将」、高橋文樹 「アウレリャーノがやってくる」だとかか。 ちょっとナンセンスな展開に、人によっては魅力的に感じる衒学的な文体、と、よく考えたら森見登美彦とか万城目学とか、エンターテイメントしてる若い男性作家もこういう「ジャンル」では結構いるんだよな。 まあ何というか、シリアスな「物語」なんて書けません、っで、おちゃらけてみましたー、というようなノリは、若い男の物書きではわりとありがちで、そういう意味では既視感の強い作品だった。

  • 水と油は混じらない。

    大半の読者は26ページのとある登場人物が来てからの地の文の饒舌っぷりに吃驚するところだろうが、 この小説はここからエンジンがかかり始め、それからあらぬところを奔走し、仕舞いには謎のカタストロフを迎え幕を下ろす。 しかしながら「意味不明! ようわからん!」だけで終われない奇妙な魅力も持ち合わせている。 例えばところどころでひょっこり顔を見せる現代詩を思わす切れ味の鋭い文章であったり、マジック・リアリズムの向こう側に辿り着いたような奇妙な描写……急に炎上する男、天使の如く昇天する教授……、モノクロームで語られる花畑の炎上とそこに降る雨……、それらが文脈と筋をことごとく無視し、躁鬱症状のように狂ったように挿入されていくところにはなんとも言えぬ魅力を感じることも出来る。 これだけで終われれば星4つというところだが、序盤に出てきた化け学的なセンテンスと、オカルト――というかいっそファンタジー――じみた要素が噛み合っておらず、どちらの側に立つにしろ説明不足であること。またどこからどこまでが起こっている「現実」で、どこからどこまでが起こっていない「白昼夢」なのか、説明材料としてもうまく機能していないところが挙げられる。 文章は衒学的で、その筆で持って綴られていく「現象」はなにかしらのメタファーのように感じられるかもしれないが、それも『絵画的な構図』の見立てで終わっており、『物語』として一本筋の通ったものにはなっていない。 この小説で鍵となる「油」と「光」と「毛」を足してみた所、答えが「ハゲ」になったので、 そこに「化学」と「錬金術」をかけたら、著者好みのシュールレアリスティックな描写で満ちた小説を描けた、といったところだろうか。 次の作品では「水」と「油」がうまく混じった作品が読めれば、嬉しい。

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