日本の文学賞

← 受賞作品一覧に戻る
ア・ハッピーファミリー

「きらら」文学賞

ア・ハッピーファミリー

黒野伸一

『ア・ハッピーファミリー』は、黒野伸一のデビュー作です。家族という幸福そうな言葉の裏側にあるずれや孤独を、ユーモアと苦味を交えながら描く小説です。

家族孤独ユーモア現代生活

作品情報

幸福な家族という言葉の裏側を、軽さと苦味で描く小説。

小学館から刊行された、第一回きらら文学賞受賞作です。家族をめぐる期待や思い込みを題材に、明るさの中にある違和感をすくい取り、後の黒野作品につながる読みやすさと人間観察を備えています。

書籍情報

出版社
小学館
発売日
2006-05-16
ページ数
240ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784093861601
ISBN-10
4093861609
価格
1430 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

第一回「きらら文学賞」受賞作! この坂本家には本物の「ありがとう」と「ごめんなさい」があります――。坂本家は七人家族。この家の地権者で、サプリ漬けのおばあちゃん、おばあちゃんが溺愛するひとり息子のおとうさん(ただしニート)、しっかり者のおかあさん、大仏顔のナナコ姐(長女)、美人高校生のマミちゃん(次女)、わたし(中2)、そして秀才だけどいじめに悩む長男の源五郎(中1)。その家族があゆむ、へたくそで、ばらばらで、泣きたくなるほどあったかい日々―。

レビュー

  • そりゃ、サザエさんと同じ7人家族だけど・・・。

    サザエさんちと同じ7人家族。 構成は違うけど、そんな帯の文字に騙されつつ購入。 サプリ漬けのおばあちゃん。 おばあちゃんが溺愛するひとり息子のおとうさん(ただしニート)。 しっかり者のおかあさん。 大仏顔のナナコ姐(長女)。 美人高校生のマミちゃん(次女)。わたし、ミキ(中2)。 そして秀才だけどいじめに悩む長男の源五郎(中1)。 それぞれのキャラが立ちすぎてます。 そして一見平和に見えるこの家庭にも それぞれに問題を抱えている・・・。 その問題も深刻です。 ミキによる1人称で物語は進んでいきます。 主人公だからか 一番魅力的に描かれているような気がします。 家庭の問題とそして学校での問題。 一番悩んでいるのがミキだったりするんだけど、 一番問題を冷静に見ているのもミキだったりする。 まぁ、そのミキもナナコ姐に相談しているんだけど。 現代の問題をさらっと盛り込みながら それでいて暗くならないのは ミキの性格と作者の技量かな、と思う。 ただ、女子学生を描くとちょっとステレオタイプな気が するのが難でしたね。

  • 地味な佳作

    地味だけど、いい内容でした。 ただし、私としては 「きらら」という言葉を冠した文学賞だから、もっと純愛小説っぽいものを望んでいるので 四点にしました。

  • サザエさんと同じ7人家族だけど全然違う

    第1回(2005年)きらら文学賞受賞作。 明るいお笑い家族小説のような書き出しで、ユーモア小説のように 匂わせていて、ハードな要素を盛り込む力量で、読ませます。 家族のキャラクターが立っていますね。 大仏のような顔の長女ナナコ。 美少女高校生の次女マミ。 普通の中学生三女ミキ。 突然優秀な遺伝子を受けついだ中一長男源五郎。 リストラされてニート中の父親。 膝を痛めている姑。 そして専業主婦の母親。 三女ミキの一人称で語られる物語なのですが、彼女の大人びた 思考回路や自立した精神が頼もしい。人と迎合しない性格が 貫ぬかれていて、魅力的。 時々、女子中学生ではなく、著者本人が出てきてしまうのが欠点です。 女子中学生は「男の子は複雑」などとは思っていません。 またストーリーも、家族それぞれの問題とともに、ミキの学校生活の 問題を絡めながら、よどみなく進行していきます。 特に学校の物語では、小学校からのクラスメイトの力関係や 中学に入ってからの先輩後輩の力関係などもうまく取り込み 読み応えがあります。小学校でいじめっ子だった女の子が美しくなり 女王様になっているのもおもしろい。 また、大副という、服装や自分がどうみられているかに無頓着な 女の子の存在が、現実的。そんな女の子は学年にひとりは いるものです。そして皆から疎ましがられます。 いじめにスポットを当てているようで、人間の力関係に力点を 置いたのが、成功の鍵ですね。それが人間の普遍的な行動や思考を 浮かび上がらせています。

  • いろいろあるけどハッピー

    この本の内容は一言で言ってしまうと、 「7人家族の日常、いろいろあるけどハッピーだ〜」 という感じのものです。 語り手は、7人家族の三女で中学2年生のミキ。 自分の息子に甘いおばあちゃんに、ニートになってしまった父親、一人息子を溺愛する母親、お父さんがイヤで 家を出て行った長女のナナコ姐、美人でちょっと不安定な次女のマミちゃん、秀才だけど、いじめや両親の態度に 悩む長男の源五郎、という家族構成の中、彼女は、とっても強く逞しいキャラクターとして存在しています。 彼女は、他者に迎合せず自分の道を進むことのできる強さを持っていて、さらに何か問題があった場合、逃げずに まっすぐに対峙します。 もちろん、100%できた人間ではないので、時に逃げてしまうことがあっても、ちゃんと反省して、自分の非を 素直に認める強さもありです。 そんな心の強さがあるから、この7人の家族の中で次々に持ち上がる問題も、彼女を中心に皆で乗り越えられるのだと 思いました。 家族の問題と並行するように、学校でのイジメの問題も同時進行していきますが、すべて丸く収まり幸せです。 ドタバタなお話ではなくて、読了後にホンワリとした気持ちになれる家族の話を読みたい時にオススメです。

  • 思春期を迎えた子どもがいる普遍的な家族物語

    最近気に入った黒野伸一のデビュー作、第1回「きらら文学賞」をやっと読みました。 祖母・両親・姉2人・弟の7人家族の中で、中学2年を主人公に、 家族や学校での騒動から自分を見失わない主人公ミキの周囲が収まるまでを描く。 中学生のイジメ問題もやり過ぎる悲惨なイジメではないし、 高1の姉が心を病むのも大事にまではならないので、重くならなかった反面平和な家族の話に落ち着いた。 子どもが思春期の頃家の中が大変だったという普遍的な仕上がりなので、感動までいかない。

  • すっきり爽快物語

    おもしろかったー。 家族ものって他人の家庭を垣間見る感じで とても好きなんだけど、予想を上回る面白さだった。 サザエさんと同じ7人家族の物語。 おばあちゃん、おとうさん、おかあさん 長女・次女・三女・長男。 三女の視点で物語が進んでいく。 色々な困難が三女を始め家族を襲う。 読後は後味すっきり、爽快だった。 あまり深く考えないで軽く読めるのが良かった。 読書に爽快感を求めている人にはばっちりかも。

  • 中年男性作家のデビュー作とは思えない

    それくらい主人公の私が生き生きと感じられます。 どこまで著者が化けきっているかを意地悪な目で見ていたのですが、途中で降参。 実に女子中学生になりきっている。 ラストでちいとばかし都合良く話が収束しすぎたきらいはあるものの大変面白く、一気読みしてしまいました。 女子中学生が読んでも違和感はないと思います。

  • 話の展開

    主人公の中学生が通うクラスでの人間関係の、いじめなどを軸にした離合集散の様を中心としたストーリー。登場人物が少し多すぎて、話の展開がごしゃごしゃするという難もあるが、一人一人のキャラがたっているため、楽しく最後まで読めた。

関連する文学賞