作品情報
二つの五輪が、家族の沈黙と生きづらさを結び直す。
小学館の単行本。戦後から現代までを横断し、介護や暴力、希望を家族史のかたちで描き出す。
書籍情報
- 出版社
- 小学館
- 発売日
- 2020-11-26
- ページ数
- 358ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 14 x 2.6 x 19.4 cm
- ISBN-13
- 9784093865982
- ISBN-10
- 4093865981
- 価格
- 1089 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
2021年へ!時代を貫く親子三代の物語 スミダスポーツで働く泰介は、認知症を患う80歳の母・万津子を自宅で介護しながら、妻と、バレーボール部でエースとして活躍する高校2年生の娘とともに暮らしている。あるとき、万津子がテレビのオリンピック特集を見て「私は・・・・・・東洋の魔女」「泰介には、秘密」と呟いた。泰介は、九州から東京へ出てきた母の過去を何も知らないことに気づく。 51年前――。紡績工場で女工として働いていた万津子は、19歳で三井鉱山の職員と結婚。夫の暴力と子育ての難しさに悩んでいたが、幼い息子が起こしたある事件をきっかけに、家や近隣での居場所を失う。そんな彼女が、故郷を捨て、上京したのはなぜだったのか。 泰介は万津子の部屋で見つけた新聞記事を頼りに、母の「秘密」を探り始める。それは同時に、泰介が日頃感じている「生きづらさ」にもつながっていて――。 1964年と2020年、東京五輪の時代を生きる親子の姿を三代にわたって描いた感動作!前作『あの日の交換日記』が大好評!!いま最も注目を集める若手作家・辻堂ゆめの新境地となる圧巻の大河小説!! 【編集担当からのおすすめ情報】 今作は、半分は母・万津子が青春時代を過ごした1950年代、60年代を舞台にしています。紡績工場の女工たちの過酷な労働や、炭鉱で働く男性たち、夫から虐げられる女性の日常が、鮮やかに、ときに生々しく描かれていきます。 万津子が話す大牟田弁は、著者の大牟田出身のお祖母様が監修してくださったとのこと。さらに当時のことをたくさん取材したという当時の背景描写も相まって、20代の著者が書いたとは思えないリアルさには、どこか懐かしさすら感じられるほどです。 景色も価値観も、めまぐるしい速度で変化していく東京。女性の社会進出や、LGBTQ、人種問題など、個性の在り方、捉え方は、日々アップデートされていきます。この作品は、時代とともに変化する生き方の指針にもなる傑作だと思っています。(このあたりはネタバレになってしまうので、ぜひ、読んでお確かめください!) 2020年の東京オリンピックは幻の中に消えてしまいました。明るい未来を2021年に託し、この作品を送り出したいと思います。 辻堂さんがひときわ力を入れて書かれた今作が、さらに次の世代へと読み継がれる作品になりますように。祈りを込めて編集しました。ぜひ、お手にお取りください
レビュー
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タイトルに惹かれました
読み始めから引き込まれています 辻堂さんの作品は読み応えあり、異次元ではなく理解できます 他の作品も読んでいます
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こころの闇を照らして再生してくれるのは家族の力
あとがきで荻原浩さんがお書きになっているとおり「自分とは違う世代、自分ではない性別の人間に、どれだけ(もっともらしく)なりきるかが、創作者の肝である」との見解がまさにそのまま本作への賛辞となります。1964年と2020年(実際は1年後ですが)の東京五輪を見事に連結させて、その間で生きるひとつの家族史を描きました。 集団就職で紡績工場の女工となったのちの母親の唯一のレクレーションはバレーボールでしたがお見合結婚で寿退職するものの次々と苦難が押し寄せます。アルコール依存症の夫によるDV、炭塵事故での夫の死亡、出戻りにつらく当たる実家の父母や兄弟、長男の発達障害、幼子を抱えて逃げるように行った東京での苦しい暮らし。そして晩年は自らは認知症を患います。当時はただただ「酒癖」「しつけ」「ボケ」などの言葉でかたずけられていたこころの病が何十年もの時を経てようやく真相に行きついたりもします。 息子とのバレーボール特訓は見事に孫娘で結実しますが、さてハッピーエンドとなりますか?は読んでのお楽しみです。家族がいればたぶん誰もが突き当たる様々な問題はまさに自分ごととして突き刺さってきました。 来月からは神奈川新聞で小説の連載も始められるとのことですのでそちらも楽しみにしています。
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発送予定日が長い
発送ありがとうございました。 無事到着しました。
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恐ろしかった・ネタバレあります
序盤の内、奏介のキャラ造形が余りに胸糞悪くて手強かった 中盤からある程度の予測は出来たが、そこいら辺りから万津子の、子への盲信?盲愛?が恐ろしくなった 喧嘩ですぐ石持つ子が、嫌われない訳はない。どうしてと問うなら「石をもってしまう事」の方に「どうして?」と考えなきゃならんだろう 良隆は、教えられた「良識」で奏介に接していたんだろうか?奏介が好きだったから構っていたんだろうか? 自分的な気になりドコロは↑だった 悪意のない身内の言葉に胸を刺されるなら、悪気のない暴力でも身体が痛むのは分かるだろうに… 障害は仕方ない。けれど、無理。危険と安全の区別すらつかない年端のいかない子を持ってたら「あの子と遊んじゃダメ」としか言い様がない 死者を悼む事すらなく、遺族の想いを顧みる事なく、自分と己の子の立場に煩悶している様が恐ろしかった… 「気付き」の後でも、「自分の立場を慮ってくれて、立てて見せてくれる、上位の後輩」に「さん」すら付けられず、これ見よがしに「自分は、本当は、スゴイ」的な話し方をして得々としてるってのもなあ…自分なら心の中で「マエノさん」とあだ名で呼ぶぞ 「救助」だったのか「加害」だったのかは不明だが「自分ならやりかねない」に気付いてしまう、もしくは、事故だったとしても、その事故は「過失<必然」だったと苦悩する、に至らなかったのに驚嘆した 生きてくうえで鈍感力は大事だ 面白くなくはなかったが、自分は本書を作者さんの意図の方向に読む事は出来なかった
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バレーボールを通じた家族の物語
どこの家庭でもあるのかなぁ。 それともうちだけか。 まるで父親が取る 母親への態度を見ているような書き出し。 現代社会で問題となる介護や 熟年離婚と言われる夫婦間の関係、 ワンオペ(一人での)育児の難しさ等を 2つのオリンピックを通じて、 3世代の物語として紡いだ作品。 主人公の母親の「泰平には…秘密」という 言葉の裏に隠された意味は何なのか。 なぜ母親は息子にバレーボールをさせたのか。 ミステリーを得意とする作家の作品だけあって、読んでいて次がどんどん気になる構成。 2020東京オリンピックの延期が決まり、 大会実施まで時間ができた今、 一人一人の人生が歴史になり、 物語になることに気が付かせてくれた本書に感謝。
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十の輪が見えてきた
戦後の臭いがする集団就職から炭鉱全盛時代の終焉、主人公である万津子のあまりに過酷な人生。そこに2回の東京オリンピックを絡ませた見事な構成。平成生まれの作者は残酷なまでの筆致で、これでもかと読者を追い詰め暗澹たる気分にさせておいて、後半一気に解放させてくれた。見事です。ばりばり昭和世代の60代後半である私にも十の輪が見えてきたなあ。
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読み始めて間もなく傑作であることを確信
読み始めて間もなく傑作であることを確信。その期待を裏切られることなく、最後まで読み通した。 結末はありがちな古典的なものであるが、決して安っぽさはなく、物語の価値を下げることはなかった。 最近読んだものの中では、以下3作品と並ぶ極めて高い満足感が得られた。 https://www.amazon.co.jp/dp/4758439621/ https://www.amazon.co.jp/dp/4103259256/ https://www.amazon.co.jp//dp/408771005X/
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それぞれの東京オリンピック
タイトルの「十の輪をくぐる」は、時を隔てた2回の東京オリンピックのことなのだが、この小説は単なるスポ根の話ではない。 「私は東洋の魔女…」とつぶやく祖母の一言から、謎解きが始まる。 ネタバレになるので多くは書けないが、シングルマザーの子育てや、地方の閉塞感、家族のお荷物になる箇所は、読んでいてあまりに不憫で胸が苦しくなった。 息子を一人前の男に育て上げた母親には、ただただ頭が下がる。 回想パートが非常におもしろかった。
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