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さわり: 天才琵琶師「鶴田錦史」その数奇な人生

小学館ノンフィクション大賞

さわり: 天才琵琶師「鶴田錦史」その数奇な人生

佐宮圭

武満徹『ノヴェンバー・ステップス』で世界に名を知られた琵琶師・鶴田錦史の生涯を追う評伝。子を捨て、性別の役割を越え、実業家としても生きた人物の激しい軌跡を、近現代の邦楽史とともに描く。

鶴田錦史琵琶武満徹男装近現代邦楽

作品情報

世界を震わせた琵琶の音の背後にある、鶴田錦史の壮絶な人生。

『鶴田錦史伝』は、刊行時に『さわり 天才琵琶師「鶴田錦史」その数奇な人生』として出版された。筑前琵琶から現代音楽へ進み、武満徹や小澤征爾との舞台で世界に衝撃を与えた鶴田錦史の生涯を、性、家族、芸道、戦後の社会の変化とともに描くノンフィクション。

レビュー要約

  • 邦楽史の知識と人物の苛烈な生涯が重なり、単なる音楽家評伝に収まらない厚みがある。鶴田錦史という人物の矛盾や強さをたどる読み応えが評価されている。

書籍情報

出版社
小学館
発売日
2011-11-02
ページ数
277ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784093882156
ISBN-10
4093882150
価格
1760 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

日本が誇る不世出の男装の天才琵琶師が蘇る 2010年、第17回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品。昭和42年、ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団創立125年記念公演で、小澤征爾らとともに、武満徹作曲の名曲『ノヴェンバー・ステップス』を琵琶のソリストとして演奏。その高い音楽性は世界的に評価されたものの、日本ではほとんど知られていない不世出の女流琵琶師・鶴田錦史の数奇な人生を綴ったノンフィクション。音楽家としての顔だけでなく、ナイトクラブの経営などで成功した実業家としての顔を持ち、大正、昭和、平成を駆け抜けていく人生は波瀾万丈そのもの。そのなかで、女として愛に破れ、子供を捨て、男装して生きるという謎に満ちた鶴田の生涯を、10年以上にわたって取材を続けた著者が丹念に描く。

レビュー

  • 全く非凡な方との出会い

    いい作品です、3度読み返しました。10年程以前新聞に紹介されていたこの作品をメモっておき、いつか読みたいと思っていたところたまたま娘からのAmazonギフトが縁で巡り合うことになりました。 武満徹さんの音楽が好きで、武満さんにこの作品とであわせて頂いた事に感謝です。

  • 底知れない人間の意志の力に圧倒されます

    主人公の鶴田錦史のことは、本を読むまでは知りませんでした。 ただノヴェンバー・ステップスという曲は知っていて その奏者であることと、数奇な人生に興味を魅かれて 本書を買いました。 結果としては、とても満足の一冊です。 大いなる人物の一生を味わってみるということは こんなに面白く、興奮することだったのだと 久しぶりに感じる本でした。 いつも、自分の祖父母を含め 人生を送ることが、恐らくは私よりも 圧倒的に困難であった世代の人の体験を聞くとき そこに無条件に敬服せずにいられないのですが (戦争体験だけでなく、個々人の運命という点でも) この天才的な琵琶師であった人物は なんと多くの人生を味わわざるを得ない人だったか、と 憧れ、畏怖、そして(もちろん)多少の羨望を 感じずにはいられませんでした。 鶴田錦史は、小学校低学年から 一家の家計を支える天才児であり、 幼い頃には年の離れた兄による厳しい躾と支配、 思春期には容貌によるあからさまな待遇の差、 青年期には夫の浮気と離縁、という さまざまな過程を逞しく乗り越えます。 そこには、フェミニズム的な心の屈折や いじけを多少は感じないではありません。 でも、自分の心に負けきってしまわない 強さを彼女は持っていた。 「男装」は、あくまでも彼女が「生き抜くため」の 強さだったと感じさせてくれるだけの明るさが 行間や、残された写真にこもっています。 自分が同じ環境に生まれたとして、 どれだけ自分の人生を受け入れ、 さらに境遇の中から某かつかみ取り、 自分の意志を持ち続けることができたろうか と、ほんの少し想像するだけでも、 彼女の偉大さと人間としての強さ、魅力が よくわかります。 人間の意志の力、心の美しさとは どれだけの深さと広さ、そして明るさを持てるのか 考えさせられます。

  • 名曲誕生の背景にある驚くべき事実

    この本は音楽面だけでなく、時代や琵琶を含む伝統音楽の歴史全体を背景として鶴田錦史という稀有な才能と履歴を持った人物の生涯をたどった評伝である。私は先に立花隆の武満徹論と言うべき『武満徹-音楽創造への旅』を読んでいたので、琵琶奏者としての鶴田錦史について大まかな知識はあった。その延長として、「ノヴェンバー・ステップス」という作品に具体的な形を与えて評価を確立した奏者のひとりとして、鶴田錦史を詳しく知ろうとして買い求めたのだが、良い意味で期待は大きく裏切られた。ここに現れてくるのは、おそらく音楽史上に例のない芸術家の精神の軌跡である。その生き方の詳細と理由は読んでいただくしかないが、彼なくして、そして尺八の横山勝也、指揮者の小澤征爾、彼の創造力を極限まで引き出そうとした作曲者・武満徹との出会いなくしてこの曲があるべき姿で世の中に定着することは出来なかったであろうと思われる。彼のだどって来た人生の出来事が、それ故に、その結実の一つが武満に新しい音楽の一側面を拓かせ、日本の音楽を世界の中に位置づける事に確実に貢献したことを、著者は簡潔で的確な文章で述べている。そしてさらに、長い伝統を持つ琵琶という楽器と音楽の形態がどのように革新されなければならないか、鶴田錦史と彼女を取り巻く人物たちが何をしたか、著者は丹念に取材して提示している。

  • もっとつきつめた何かが表現されてほしかった

    鶴田錦史は武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」の初演者の一人と知っていました。 男装の人とも、ナイトクラブ経営で成功した謎に包まれた経歴の女性だということも読んだことがあります。 それだけに興味を持って(偶然新聞掲載の本の広告を見て)読みました。 ざっと一生を駆け抜け記載した評伝という感じでしょうか。 彼女が隠したかったものを暴露ものではなく、描写することはできなかったのか。 何とも煮え切らない印象が残りました。 鶴田錦史という一人の女性は、この本の中でもやはり遠い存在のままです。 本を読み終え、数少ないCDに残る彼女の演奏をもう一度聴きたくなりました。 やはり演奏家は演奏を知るだけで良いのかもしれません。

  • ガラスの仮面より面白い!

    戦前から平成まで、琵琶を巡る二人の少女の数奇な運命。 なんてドラマティック! これがリアルなんだから、すごい。 作者の短い力強い文に引き込まれて、一気に読みました。 お薦め本です!

  • この本に出会えてよかった。

    強く美しくある一人の人間の生きる讃歌に涙なくしてよめませんでした。ただ、ただ、ありがとうございます。

  • 凄まじいノンフィクション。

    こんなすごい方がいたのか!と驚くと同時に、 近代音楽に対する日本の中の評価ってホントに低くて、 知ろうとしないと知りえないことがたくあんあると感じました。 ぜひ、武満徹のノベンバーステップスをバックサウンドに。

  • 変なおばさん

    戦後の激動の時代に大成功した事業家であり、女であり、琵琶の天才。そして、美貌の妻を持つ。はっきり言って、かなり変わったおばさん。とても興味深く読んだけど、彼女がなぜ彼女となったかはいまいち不明。私の想像力不足?

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