愛を描いたひと イ・ジュンソプと山本方子の百年
韓国の画家イ・ジュンソプと日本人妻・山本方子の歩みを追うノンフィクション。戦争と分断の時代に交わされた愛と芸術を描く。
作品情報
愛を描いたひと:イ・ジュンソプと山本方子の百年は、受賞歴にふさわしい密度で人と世界の関係を見つめる。
大貫智子の『愛を描いたひと:イ・ジュンソプと山本方子の百年』は、受賞対象として確認できる作品である。公開書誌や出版社情報で単行本化を確認できる場合は識別子を記録し、単独書籍として確認できない場合は雑誌・掲載媒体の識別子を流用していない。
レビュー要約
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手紙や作品を手がかりに、個人史と東アジアの歴史を結びつける構成が評価される。
書籍情報
- 出版社
- 小学館
- 発売日
- 2021-06-25
- ページ数
- 381ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 14 x 2.8 x 19.4 cm
- ISBN-13
- 9784093888226
- ISBN-10
- 4093888221
- 価格
- 1980 JPY
- カテゴリ
- 本/趣味・実用/絵画
第27回小学館ノンフィクション大賞受賞作 イ・ジュンソプは韓国の国民的画家である。 朝鮮半島の平原(現在は北朝鮮)に生まれ、日本統治時代に東京で絵を学び、朝鮮戦争により釜山へ避難。1956年にソウルで没した。 その人生は映画や演劇の題材とされ、美術の教科書にも掲載されている。 しかし、日本で名を知るものは少ない。 その妻・山本方子は日本人である。方子は、貧困と混乱の極みにあった朝鮮半島に夫を残し、幼な子とともに日本に帰国した。 夫への愛を胸の奥にしまい、ひたすら子供のために暮らしを支えた。 筆者は、韓国での現地取材に加え、方子へのロングインタビュー、夫婦が交わした数々の手紙から、運命に引き裂かれた夫婦の実像を描く。 カラー口絵に26点の絵・手紙を収録、未公開書簡も多数掲載。 第27回小学館ノンフィクション大賞受賞作。 この作品を通じて彼という画家の存在を多くの人たちに知ってほしいと純粋に願う――辻村深月(作家) 太く短く生きた情熱的な画家と、日々を懸命に生きた寡黙な妻。その非対称性が胸に迫り、日韓の微妙な関係性まで映し出しているように思えた――星野博美(ノンフィクション作家) 朝鮮戦争時に、家族に怒濤の勢いで押し寄せてくる歴史の荒波が、あたかもそこにいるかのような臨場感で迫ってくる――白石和彌(映画監督) ※いずれも選評より。 【編集担当からのおすすめ情報】 【第27回小学館ノンフィクション大賞 受賞の言葉】 幼い頃からノンフィクションは好きだった。しかし自分が書くことになるなど、考えてみたこともなかった。 日本統治時代の出会い、北朝鮮・元山での新婚生活、朝鮮戦争による韓国への避難、そして国交がなく果たせなかった家族の再会。これだけ壮大なストーリーをどこからどう伝えたらいいのか。ある時は優れたノンフィクション作品、ある時は恋愛小説に筆運びを学ぶ日々だった。気が付けばソウル特派員時代の2016年に取材を始めてから4年以上が過ぎていた。 何とか書き切ることができたのは、夫婦が交わした数々の手紙や作品の世界を日本でも伝えたいという使命感のようなものがあったためだろう。 日本語で書かれた李仲燮の手紙は愛情にあふれながら、しばしば苛立ちを爆発させていた。方子さんはそんな彼を画家の妻として理解し、支えようとした。2人の夫婦の物語は、民族や国家、戦争といった難しいテーマを超越していた。理屈抜きに、ただ、お互いを必要とした。取材を進めるにつれ、そうシンプルに受け止めるようになっていった。 新型コロナウイルスの感染拡大により、ある日突然大切な人に会えなくなることを私たちは知った。方子さんはそれを半世紀以上前に経験しながら、今も胸に夫を抱いて生きている。取材を通じ、人が幸せに生きるとはどういうことなのか、考えさせられた。そんな私の作品
レビュー
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中古品とは思えないです。
ドキュメンタリーを観て読みたいと思いました 中古品でしたが 新品同様 綺麗でした。 ありがとうございます。
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温かい絵の背景にあるもの
より深く知るとともに、時代が違ったら、さみしい、辛い生活をすることもなかったのに、今ふりかえると、本当に戦争はしてはいけないことだし、平和をつくるための歩みがどんなに大切か痛い程伝わりました。
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早々に届きました。
予定通りに届きました。状態も良かったです。
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イ・ジュンソプの作品世界に魅了された
書店のノンフィクション棚でこの本を見つけた。イ・ジュンソプの名前は知らなかったが、表紙の絵に興味をそそられ、ページをめくる。口絵を見て、たちまち、彼の作品世界に引き込まれた。 本書を読み、イ・ジュンソプが韓国で圧倒的な人気を誇る画家であることを知る。さらに日本人の山本方子と結婚し、二人の男の子を設けた。しかし、家族4人で暮した時間はきわめて短く、その短さに対し、彼の家族に対する想いは反比例する。 彼の絵には、妻や家族への想いと自分の人生に対する思いがびっしりと詰まっている。一度、直に作品を見てみたい。
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時代の激流の翻弄された日韓の二人とその家族
2021年6月刊。この著作のことは前にもチラッと見たことはあったんだが、今読んでみようと思ったのは先日のある記事がきっかけである。この著作の著者:大貫智子氏が今春~毎日新聞社から韓国中央日報に移籍し初の日本人東京特派員になる~という記事・・・私は彼女が昨春にもある記事が問題になっていたことも憶えていたので、「ああ、あの記者か」とすぐ分かった。昨年の記事~それは一橋大学の加藤圭木ゼミ生たちが編纂したムック本『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』やそれに基づくイベントに関して当事者たちに取材することなく書いたコラムを公開したもので、私もこの件に関してはSNS上で明確に批判したが、その後当該記事は毎日新聞ウェブ版からは削除され毎日新聞政治部長と広報担当者から当事者への直接謝罪も行われたとのことだが、大貫氏本人からの謝罪は今もないという。この件自体は確かに大貫氏に非があるだろうし本当の解決もしていない状態だが、しかしそれをもってこの記者を全否定することは私にはない。なので改めてこれを読んでみようと思った次第・・・ 前置きが随分長くなったが、これは韓国の国民的画家:李仲燮(イ・ジュンソプ)とその日本人の妻:山本方子の愛の交流を描いたドキュメンタリー。非常にいい著作だった。読んでよかったと思う。何より私は李仲燮という画家のことを初めて知った。巻頭に付されたカラー図版で諸作品を見ていると、その画風はピカソやルオーなどの影響が見て取れるし、くっきりした鮮やかな色彩感と表現の分かりやすさはその死後に国民的人気を博するようになったのもよく分かる。朝鮮の元山に広大な土地を持つ両班(ヤンバン:貴族階級)の次男として1916年に生まれ、やがて日本に留学~与謝野晶子・鉄幹らも創設者に名を連ねる自由な校風の東京:文化学院で学ぶ中で山本方子に出会うが、彼女も父親が後の三井倉庫となる堅実な企業で常務取締役まで務めるようになる裕福な家庭の子女である。言わば「ええしのボンとお嬢」のカップル。朝鮮人と日本人の夫婦でも、先日読んだ「密航のち洗濯:ときどき作家」の尹紫遠とその妻:登志子とはかなり境遇が違う。しかし、そうした彼らが帰郷先の元山で朝鮮戦争による混乱に巻き込まれ避難先の釜山でも困窮化、ひとまずは妻子だけ日本に帰国~その後、李仲燮も何とか渡日しようとするが未だ日韓に国交がなく臨時ビザのような形で一週間再会できた後は再びの離別~やがて希望もなくした彼は極度の栄養不足で心身を壊して40歳前に一人寂しくあの世に旅立ったというのは、芸術家らしい一生とはいえ余りに侘しい。著者は2022年に100歳で亡くなった方子さんへの三度のロングインタビューとその家族や李仲燮の友人の画家・作家などへの取材を通してこの評伝を書き上げているが、むしろ夫の死後も彼への思いが一生変わらなかった方子さんのほうが主軸となっている。ちなみに「方子(まさこ)」という名前は、大韓帝国最後の皇太子:李垠(イ・ウン)に嫁いだ日本の皇族:梨本宮家の長女:方子にちなんで名付けられた可能性を著者は指摘するが、私もその可能性は高いと思う。 そうした二人が日本の植民地支配時代に出会い、朝鮮半島の激動に翻弄され、貧困と離別の果てに永遠の別れが待っていたというのは、何とも切ない。だからこそ、その後韓国で様々に演劇化などもされ、広く二人の物語が共有されるようになったんだろう。この著作は「第27回小学館ノンフィクション大賞受賞作」らしいが、それも納得の力作であった。 しかし一点だけ指摘しておくと、著者の歴史認識を巡る記載の中で「反日」という言葉の安易な使用など、私に言わせれば「いかにも毎日新聞記者らしい」その視点には若干の違和感を抱きながらの読書ではあった。それは毎日新聞編集委員:澤田克己氏が書いたものを読むときの「ある種の引っかかり」と共通する。私はそれを全否定もしないし全肯定もしない。立ち位置の違いを認識しながら読む。それだけのことである。そしてこの著作はとてもいい。おすすめである。
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描かずにはいられなかったひと
イ・ジュンソプの妻、方子の話が数年前、映画になっていたこと、またこのような画家がいたことも、本書で初めて知りました。戦前、ジュンソプの日本留学中の出会いから、太平洋戦争中、機雷の海を越えての結婚、その後の朝鮮戦争での悲惨な避難生活や国交断絶による家族離散など、あまりにもドラマチックで、思わず引き込まれました。 韓国と日本の国交断絶により夫と引き裂かれた方子の悲しみや奮闘もさることながら、どんな状況に置かれても、どんな材質のものにも描かずにはいられないジュンソプの姿に、芸術家の性とはこういうものなのだと感じずにはいられませんでした。 さらに、方子が韓国の美術展のために貸し出したジュンソプの作品が返してもらえなかったことなどは、状況は違えど映画「黄金のアディーレ」を思い出し、時代や政治に翻弄される美術作品とは、といったことについても考えさせられました。本書には多数の作品の写真が掲載されていますが、いつか日本で彼の回顧展が開かれ、直接見る機会が訪れることを願っています。