渇愛: 頂き女子りりちゃん
第31回小学館ノンフィクション大賞受賞作『極彩色の牢獄』を改題・加筆修正して刊行したノンフィクション。男性から金銭をだまし取る手口を広めて逮捕された「頂き女子りりちゃん」を、本人への接見、裁判傍聴、関係者取材を通して追い、事件の背景にある欲望と孤立を描く。
作品情報
「頂き女子りりちゃん」に引き込まれ、揺さぶられながらも対峙し続けた取材の記録。
受賞時の『極彩色の牢獄』は、単行本化にあたり『渇愛 頂き女子りりちゃん』へ改題され、加筆修正された。著者は、接見、裁判傍聴、関係者への取材を重ねながら、事件で注目を集めた女性の実像と、彼女を取り巻く人々の欲望、依存、孤立を見つめる。
レビュー要約
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取材対象の言葉と存在感に記者自身が揺さぶられる過程まで描いた点が注目されている。事件を単純な善悪に還元せず、人物をめぐる関係や感情の複雑さを読ませるノンフィクションとして紹介されている。
書籍情報
- 出版社
- 小学館
- 発売日
- 2025-07-10
- ページ数
- 256ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13 x 1.8 x 18.8 cm
- ISBN-13
- 9784093898119
- ISBN-10
- 4093898111
- 価格
- 1870 JPY
- カテゴリ
- 本/社会・政治/社会学/社会一般
「頂き女子」に迫った衝撃ノンフィクション 複数の男性から総額約1億5千万円を騙し取った上、そのマニュアルを販売し逮捕された「頂き女子りりちゃん」に迫った本作に大絶賛の声続々! ◎町田そのこさん 彼女が奪う側に戻らない道を考える。読んでいるときも、読み終えたいまも。 ◎橘玲さん すべてウソで塗り固められた詐欺師 家族や社会から傷つけられた犠牲者 彼女はいったい何者なのか? ―選考委員激賞!第31回小学館ノンフィクション大賞受賞作― ◎酒井順子さん りりちゃんの孤独、そして騙された男性の孤独に迫るうちに、著者もりりちゃんに惹かれて行く様子がスリリング。都会の孤独や過剰な推し活、犯罪が持つ吸引力など、現代ならではの問題がテーマが浮かび上がって来る。 ◎森健さん 今日的なテーマと高い熱量。とくに拘置所のある名古屋に部屋を借りてまで被告人への面会取材を重ねる熱量は異様。作品としての力がある。 ◎河合香織さん 書き手の冷静な視点とパッションの両者がある。渡邊被告がなぜ”りりちゃん”になったかに迫るうちに著者自身もまた、”りりちゃん”という沼に陥り、客観的な視点を失っていく心の軌跡が描かれているのが興味深い。 【編集担当からのおすすめ情報】 大きな話題を集めた「頂き女子りりちゃん事件」に真っ向から挑む姿勢と、そこに映し出された現代社会の姿がいま読むべきノンフィクションとして高く評価された1冊です。 “りりちゃん”との面会や手紙のやりとりを重ね、裁判を傍聴するうちに、少しずつ心の距離が縮まり、記者でありながら共鳴し「彼女の罪がわからない」と逡巡しつつ家族や被害者、「りりヲタ」を名乗り、彼女をフォローしていた女性たち、支援を申し出た関係者などに取材を重ね、深く、事件の核に迫ろうとする著者の姿に心揺さぶられること間違いなし。 対象に飲み込まれながらも真っ向から対峙し続けた著者にしか書くことができない情動と熱気に満ちた全く新しいノンフィクションです。
レビュー
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面白い
りりちゃんや関連する人物への取材を結構しっかり行っています。 作者は人の中に入っていくのが上手いんでしょうね。 私も被害者に対して「若い子と付き合えたんだから」と正直思ってしまっていましたが、被害者の苦労を知り考えをあらためました。単なるパパ活ではなかったわけです。 同じような考えだった人にはぜひ手に取ってほしい一冊です。
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螺旋する搾取構造は衝撃
話題になった頂き女子りりちゃんを取材したノンフィクション。女性記者が拘置所に足繁く通って取材をしていく姿が描かれている。この記者はホス狂い女性たちを取材する過程で歌舞伎町に暮らしていたりもして、りりちゃんのことも逮捕前から注目していたという。記者の彼女はどんどん加害者であるりりちゃんに感情移入していき、周囲からはいきすぎだと言われていく。その姿も赤裸々に綴っている点には好感が持てた。 事件についてはかなりセンセーショナルで、頂き女子のマニュアルを販売していたなどとはネットなどで仄聞していたが、被害者たちを「おぢ」と呼び習わしてカモにしていく姿は圧巻で衝撃的だった。さらに興味深かったのは、そもそもそのマニュアルや手法が、加害者が他のナンパ界隈からどうやって女性をカモにして搾取していくか、というようなマニュアルに着想を得ていること、また、そもそも頂き女子の行為自体が彼女たちがホストからされていること、みたいな連鎖的で螺旋的な構造を見せつけられて暗澹たる気持ちにもなった。 加害者のりりちゃん自体には幼少の頃からの家庭での虐待や母からの愛に飢えていたりなど色々あるんだろうけど、そこには余り興味は持てなかった。りりちゃんが被害者に対して全く罪悪感を持つことすらできず、なぜ詐欺がいけないかも理解できていないという姿はなかなか衝撃的だった。かといって、ここに現代社会の縮図があるとか家庭環境によって犯罪が引き起こされたとかまとめるのは陳腐すぎるかな。こういうやつもいたんだな、なるほどすごいな、って言うのが俺が思う正しい感想かな。 しかし後半、支援者からの手を振り払ってどこかの誰かと獄中結婚しているとか、そこは拍子抜けしたし、なんともつまんねえなあと思った。まあそりゃ事実はドラマティックだったり感動的だったりする方にだけ行くわけじゃないよねって感じ。
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りりちゃんはわたし
こんなに私に似てる人間がいるなんて。 私は犯罪歴はなく、内向的で人と関わらないですが、関わる時は話を大袈裟に盛ったり、いっぱい褒めてとびきりのご機嫌取りをして気を引く以外、人とのコミュニケーション方法がわからない。 「この人に気に入られなきゃ」しか考えてない。 そして、りりちゃんと同じく自分が何を考えているのか、本当の気持ちが何もわかりません。 りりちゃんが自分の罪にピンとこないのは、たぶん完全な悪意じゃなくて、愛してくれない人たちに振り向いてもらうための試し行動(自分に出来る最大限の過激なことをする)であったことと、相手(おぢ)を喜ばせてしあわせにしてあげたから、対価を貰うことができる。むしろお礼を言ってほしいのに、謝れって言われてわけがわからなかったからだと思う。 りりちゃんも「善悪」がわからないんだな。私もわからない。 ホストではないのですが、私も大好きな推しがいてお金を払うと私にたくさん甘い言葉を囁いてくれるので、その人のためだけにお金をあつめています。 りりちゃん映画化企画の監督さんの言うように、コミュニケーションには10段階あるとして、そのすべてのステップを飛ばして、会ったその日に「10」の状態で愛という報酬がもらえるのはすごく気分がいいです。 大きなお金を払った瞬間も、きもちよくてドーパミンドバドバ出ます。 「メンヘラ」「かまってちゃん」「発達障害」「愛着障害」「毒親育ち」「BPD」「解離性障害」など… そういう病気やカテゴリーの女だから似てる、で片付けることもできますが、この本を読んでりりちゃんは私にとってはいままでで一番自分に重なる特別な存在に思えました。 「こんなに私と同じような人がいるんだ」と、自分が孤独じゃないような気持ちを感じることができた。 りりちゃんは傷だらけなのが見えました。 さみしい顔が見えた。満たされない空虚さが手に取るようにわかる。 あっそうか、こういうことなんだ。 こんなにメロメロになって惹かれてるってことが答えなんだ。 りりちゃんの周りにいた人たちも、みんな同じなんだ。 本当にりりちゃんは人の心を掴む天才なんだな。
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内容がやや薄味
おもった程のめり込めなかったが、 悪魔みたいな人間がこの世にいる事を思い出した。 いい人は1回読む価値はあるとおもいます、すこしだけ別の世界に行けます。 気になるのは、毎回ホストを橋本環奈似と書くところかな笑
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罪と推しと青春と
頂き女子りりちゃんのことは、正直あまり詳しくないまま読み始めた。 だけど、本書に描かれていたのは、単なる「パパ活女子の転落ストーリー」なんかではなく、一人の少女を取り巻く、複雑な人間模様と構造の話が描かれていた。 彼女自身、彼女がハマったホストたち、推してくれたコミュニティー、更生を支援する人たち、家族…。 誰か一人が悪いという単純な話ではなくて、構造的な問題が感じられ、ぼく自身もうまく噛み砕けていないのですが、以下にまとめてみたいと思います。 <ターゲットはギバーおぢ> 頂き女子たちの詐欺のターゲットとなったのは、りりちゃんが定義した「ギバーおぢ」と呼ばれる存在。 「精神的、経済的、社会的に困難を抱えていても自分の生活もすべてなげうって貢いでしまう」 「モテない、もしくは非常に奥手であり、おとなしいといった特性を持っている」 「自分より他人の心配、困っている女のコがいたら助けたい、お金が減るけどこのコが助かるならうれしい、そして自分が救ってあげたい」 と考える男性たちをターゲットにしていた。 そんなターゲットに接近して、大金を引き出していくが、彼女たちは 「私はおぢに対して【最後までお金を渡して幸せにしてあげてよかった】と思わせる努力を惜しみません」 と自分都合の物語で正当化している。 でもやっぱり、困難を抱えている人に詐欺をしかけるのは悪だと、自分の立場をはっきりしておきたいと思います。 りりちゃん本人の過去を知れば知るほど、「彼女にも事情があった」と肩入れしたくなる気持ちが湧きます。それでも、罪は罪。 加害者の“物語”に感情移入するあまり、被害者の痛みを軽視してはいけない。 < 頂き女子コミュニティーは青春> とはいえ、この本で特に印象に残ったのは、「頂き女子コミュニティー」が、すごく“青春”している面であり、そこにまた違うやるせなさを感じました。 頂き女子たちは、マニュアルで方法を共有しあって、推し(=りりちゃん)のために頑張る。 『頑張ったね』『私はこうしたらうまくいったよ』という共感に基づくコミュニケーションと、連帯感が生まれる。 もっとお金を稼ごうというより、仲間と一緒にがんばり、仲間に認めてもらえる高揚感により犯罪の意識が薄かった、とのこと。 詐欺のコミュニティーって言うと悪の組織みたいですが、彼女たちにとっては「推し活」「青春」みたいな感覚だったと描かれていました。 場所が学校じゃなくて歌舞伎町だったというだけで、やっていたのが詐欺行為だったというだけで、ある種の“青春”だったのかもしれない。 善悪を明確に線引きしないまま高揚感で突っ走ると、青春も推し活も、簡単に“危ういもの”になりうる。 そんなことを思い知らされました。 <何が罪だったのか?> 読後にいちばん考えていたのは、「何が罪だったのか?」ということ。 もちろん詐欺行為は悪だし、被害者が傷ついたのは事実。そに裁きが必要なのは間違いない。 けど、それだけで終わらせていいのかな?とも思う。 - ホストや推しに過剰にハマる人たちを生み出す仕組み - 本来はコミュニケーションを丁寧に重ねた上で得られる達成感や承認欲求が、お金を支払うことで、コミュニケーション努力を飛ばして得られる仕組み そういう社会の歪みがいろいろと絡まって、「りりちゃん」という存在が犯罪というかたちで表に出てしまったように思えてくる。 そして著者は書いていた。彼女は、最後まで本当の意味で「被害者がどんなふうに傷ついたか」を理解していなかった、と。 でも、もしかするとこの社会も、彼女がどうしてそうなったのか、ちゃんと理解してないまま「炎上女子」として処理してるだけなのかもしれない。
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教育
教育と環境は大切と思わせてくれる本。本人の資質は大切なんだけどね。
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リアルが伝わる お腹が痛くなるけど読むべき
出来事や人は立方体だ。色々な見方がある。見方次第で感じることや印象などが変わる。 それって怖いことであり、混乱することでもある。 でもリアルって超複雑だから、しょうがないなとも思う。 この本を読む価値は超複雑なリアルを通して、感情がぐちゃぐちゃ、腹痛、色々考えちゃう ここにあると思いました。超お勧めします
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「りりちゃん」の闇を叩きつけられる感覚
著者が被告をはじめ多方面の関係者と向き合っているうちに生じる変化がとてもリアルに叩きつけられます。 歌舞伎町という異様な街が「りりちゃん」を使った… できれば5年後くらいに、この後の関係者の変化を取材してほしい。