日本の文学賞

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ミカドの肖像

大宅壮一ノンフィクション賞

ミカドの肖像

猪瀬直樹

『ミカドの肖像』は、猪瀬直樹によるノンフィクション作品で、大宅壮一ノンフィクション賞の受賞作です。

社会歴史

作品情報

『ミカドの肖像』は、猪瀬直樹の受賞歴を語るうえで欠かせない一作です。

小学館、1986.12、606pの刊行として確認できる作品です。受賞作として、作者の関心が題名に示された主題へ凝縮されています。

書籍情報

出版社
小学館
発売日
1986-11-01
ページ数
606ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784093941617
ISBN-10
4093941610
価格
1280 JPY
カテゴリ
本/社会・政治/政治/政治入門

第18回(1987年) 大宅壮一ノンフィクション賞受賞

レビュー

  • 我が国近代の真実

    なぜ旧東京海上本社ビルの高さが99.7mに抑えられたのか なぜ原宿駅には皇族専用のホームが存在するのか 孝明天皇はなぜ若くして亡くなったのか 明治天皇像が、二重で、眉毛の濃い、凛々しい像に変更されたのはなぜか 三島由紀夫はなぜ自殺したのか プリンスホテルはなぜプリンスホテルなのか 主に不動産開発業者としての西武グループとは何だったのか・・・ 当時の関係者への聴聞を含む膨大な一次資料への取材に基づき、明治以降構築され、崩壊し、再構築された我が国の体制とその歴史に翻弄された人々、そこで交錯した思惑に、 生々しく切り込む名作。読みながら鳥肌が止まらない。

  • 近代の歴史や所産への誤解を持つ私たち

    おもしろいと思ったのは三島由紀夫の風景の部。真顔で国を憂い日本の伝統文化を守ろうと説いている三島と、彼が書いた小説の風景の知らざれる真実とのギャップである。必ずしもあの風景は日本古来というわけではなかったというところは、やはり私たちは近代の歴史や所産を正しく知ってはいないし、誤解した常識がまかり通っているのだなぁと思った。

  • Kubdle版,脱字多すぎ

    本の内容は,「ミカド」だけでなく,西武グループの成り立ちなども分かり非常に面白い。 が,ただただ,iOS用にKindle版を購入したのは失敗! 兎に角,脱字が多すぎ!まるでクイズか何かでも答えるために読んでいるようなページまである。 これではだめでしょう!出版元さん。早急にアップデートすべき。 Kindle版電子書籍を初めて買ってこれでは…。しばらく購入は控えたいと思います。 内容に対しては☆5的な感想ですが,如何せんKindleの脱字の多さに☆−2で☆3でよろしくです。

  • 日本の構造と近代化の真髄がよくわかります。

    「この都市は中心をもっている。ただ、その中心は空虚である」というロラン・バルトによる逆説からはじまります。 そして、西洋の喜劇の代名詞となっているオペレッタミカドとデュオMIKADOを補助線として、世界史との関係性から近代日本を俯瞰していくことでミカドを探索する知の旅は進行していきます。 弁証法で有名な哲学者のヘーゲルは、 資本・ネーション・国家を三位一体的な相互連関的体系として捉えていました。 この本は、まさしく、天皇制によって近代国家となった日本、国民としてのネーション、そして資本主義の有機的な結びつきを解明することが裏のテーマとなっているように思います。 終戦後の昭和22年10月14日、11宮家51名は、GHQの指令により皇室財産が国庫に帰属させられたため、皇籍離脱しました。 これにより、旧宮家は、冷酷な資本主義の洗礼に巻き込まれることとなっていきました。 現代でも品川駅前にその痕跡をみることができます。 新高輪プリンスは、北白川宮家(きたしらかわのみやけ) 高輪プリンスは、竹田宮家(たけだのみやけ) ホテルパシフィックは、東久邇宮家(ひがしくにのみやけ)の跡地であります。 本書では、プリンスホテルと旧宮家の関係性をあきらかにすることで、国家と資本主義の関係を浮き彫りにしていきます。 土地を買うために全財産をかけた。新興の資本家堤康次郎(つつみやすじろう)は、東京大空襲で、自宅が焼け落ちる中、電話をかけまくって土地を買い漁っていました。その時の修羅のような様子は、息子でありセゾングループの総帥堤清二の小説「彷徨(ほうこう)の季節の中で」を引用することで生々しく表現されています。 戦後、経済的に困窮した旧宮家は、歴史に導かれるように堤康次郎の甘い罠におちていく様子が、宮家の番頭や子息への取材で明らかにされていきます。 後世の第三者からみれば、騙されたとしか思えないようなやり方でも、経済的に困窮していた当時の旧宮家の人たちにとっては、やさしい援助者と写ったのは驚きであります。 この本には、天皇を中心とした一君万民制によって国家を作り上げた有名・無名な人たちも多く紹介されています。 その中から、富士山を日本の象徴とした国粋主義者 志賀重昂(しがしげたか)についてご紹介したいと思います。 重昂は、歴史上ほぼ無名ではありますが、彼が著した「日本風景論」によって、天皇の御真影の周縁を形づくる「昇る日輪」「けだかい松」「かがやく海」の風景シンボル郡を国民の共通認識とすることで国家成立に寄与しました。 重昂は、感情的な国粋主義者ではなく、冷徹な事実分析を通して、普遍的な思考ができる思想家であったことも紹介されています。 有色人種である日本人の生き残り戦略を模索するため、のべ四十二万四千キロにおよび世界旅行を行っています。この中で地政学的に、石油の重要性に気づき、石油を中心とした世界戦略を構築するだけでなく、石油後の現代社会を予見するような代替エネルギー研究の必要性まで言及しているのは驚くべきことであります。 また、一般大衆の描写も非常に興味深かったです。 農本主義者橘孝三郎(たちばなこうざぶろう)が汽車の中で、遭遇した純朴な村の年寄りの一団は、 日米戦争でもおっぱじめればいい。そうすりゃ景気も良くなる。勝てば金をひったくる。まけたってアメリカならそんなにひどいこともやるまい、かえってアメリカの属国になりゃ楽になるかもしれんぞ まさに、この名もない大衆の会話のとおりに歴史は動いたのです。 このような、本書における有名・無名の人たちの生活から歴史全体をみる態度は、トルストイの戦争と平和を思い起こさせます。 トルストイは、「歴史を作るのは、一人の英雄ではなく、幾百万の民衆の生活にほかならない」という歴史観でナポレオン戦争に巻き込まれたロシアの歴史的な運命を描きました。 まさに、本書はミクロの領域であるミカドを取りまく大衆の行動からマクロ的な世界史までを、歴史の遠近法を駆使して捉え、日本近代化の真髄を明らかにしている書籍だと思います。

  • 帝研究本

    帝を「ミカド」と表記し、ミカドに関連するすべての事柄について研究されています。800頁近いボリュームのある本で、悪く言えば「ミカド」についての卒業論文を読んでいるようです。しかしその内容と調査範囲は非常に広範囲で圧倒されます。 猪瀬氏の本の醍醐味はこの調査能力とヒアリング能力に尽きると思います。それらのエッセンスが万遍なく鏤められているのが本書です。個人的には西武線沿線に住んでいることもあり皇族と堤康次郎との関係を非常に興味を持って読み進めました。その他、この本を読めばミカドを中心として日本国民の習性や宗教観が明確に分かってきます。本書はミカドを媒介とした日本国研究書と言っても過言ではないと思います。

  • これから読みます。

    落合洋一さんがすすめる本の中の一冊だと知って関心をもち購入しました。

  • 力作ですが、読みやすい。

    調査にかける熱意はすごいですね。 でも、話があちこちに飛んで、やや話にまとまりがなくなっていました。 ミカドを巡るオムニバスと捉えるといいのかも。、

  • 西武グループのくだりは面白いが

    基本的に参考文献の考証が多すぎ、かつ何を表現したいのか分かりにくい。 オベレッタ・ミカドと天皇制を論じるあたりは余りにしつこすぎて、半分以上読み飛ばした。 20年前の著作なのだろうが、西武グループについてのくだり以外は読む気がしなかった。

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